先日、テレビで放映された「時計じかけのオレンジ」「太陽がいっぱい」等1970年前後の映画をみて、急に映画「卒業」を観たくなりました。「卒業」は今でもはっきりとストリーが思い出せるほど強い印象を持った映画で、何か「青春との決別」という言葉がぴったりくる映画でした。若さの象徴の「ナイーブさ」と大人の持つ「形式とエゴ」。何かひな鳥の巣立ちにも似た感じです。
そして、映画のストーリー、俳優たちの演技はもちろん素晴らしいのですが、この映画の音楽も強烈でした。
本ブログ卒業の季節にで「サウンド・オブ・サイレンス」(The Sound of Silence)を紹介していますが、「サイモン&ガーファンクル」(Simon & Garfunkel)のこの映画で使われた曲は映像とともに忘れられません。
ポール・サイモンとアート・ガーファンクルの二人は、1964年にグループディオ名「サイモン&ガーファンクル」でデビューしました。ですので、「サウンド・オブ・サイレンス」は映画卒業の主題歌以前に知っていました。
「サウンド・オブ・サイレンス」は1965年に発売され、ビルボード(Billboard)誌で1966年1月ランキング第1位を獲得しました。
サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)|サウンド・オブ・サイレンス(The Sound of Silence)
https://www.youtube.com/watch?v=f7McpVPlidc (YouTube)
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この曲の歌詞は、全く哲学的で理解はできませんでした。ただ、歌の英語の単語そのものはは解りやすく、意味はわからないけれど良くカラオケでは歌っています。
1965年ごろは、「ボブ・ディラン」の「ライク・ア・ローリング・ストーン」や、「バーズ」の「ミスター・タンブリン・マン」がヒットしていました。「フォーク・ロック」が、はやっていた時代でした。「サウンド・オブ・サイレンス」もまさにフォーク・ロックの代表曲だと思います。
「ミセス・ロビンソン」は、映画の主人公ベンが恋人エレンが結婚することを知り、結婚式の行われる教会に向かって車を走らせるシーンにも使われていたと思います。
初めは軽快なリズムで演奏されていたものが、車がガス欠か何かでエンストするのに合わせて、スローダウンして止まってしまう、というように、シーンに併せて演奏されていました。
サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)|ミセス・ロビンソン(Mrs. Robinso)
https://www.youtube.com/watch?v=fU9U421k27E (YouTube)
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アン・バンクロフトが演じたロビンソン夫人は、まさに青年の純な「青春」を卒業させた元凶で、演技はまさに強烈でした。ベンを誘惑しているときはとてもなまめかしく魅力的で、別れ、そして娘との交際を阻む時は、凄く醜悪な姿で映っています。素晴らしい女優ですね。
そして、この「ミセス・ロビンソン」もすごく乗りのよい曲で、いつまでも記憶に残っています。
スカボロー・フェアが流れるシーンは、エレンがベンからエレンの母親ロビンソン夫人との不倫を告白され、ショックを受け大学に戻って行ったのを、ベンが赤のアルファロメオのオープンカーで追っていくシーンだったと思います。ベンが、エレンを追いかけていく時の、後悔と関係の複雑さ、そしてエレンへの愛等、複雑な気持ちの中エレンのもとに向かうベンの、メローな感じが演奏でよく伝わってきました。
サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)|スカボロ・フェア(Scarborough Fai)
https://www.youtube.com/watch?v=He-LXx0dsL4 (YouTube)
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このスカボロー・フェアの歌詞「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」(parsley, sage, rosemary and thyme)の繰り返しには、次のような意味があるそうです。
現代人にはよく理解できないが、象徴的意味に満ちている。パセリは今日まで消化の助けになり、苦味を消すと言われており、そして中世の医者はこれを霊的な意味としても捉えた。セージは何千年もの耐久力の象徴として知られている。ローズマリーは貞節、愛、思い出を表し、現在でもイギリスや他のヨーロッパの国々では花嫁の髪にローズマリーの小枝を挿す慣習がある。タイムは度胸の象徴であり、歌が書かれた時代、騎士達は戦いに赴く際に楯にタイムの像を付けた。歌での話し手は、4種のハーブに言及することで、二人の間の苦味を取り除く温和さ、互いの隔たった時間を辛抱強く待つ強さ、孤独の間彼を待つ貞節、出来ない仕事を果たす矛盾した度胸を具えた真の恋人、そして彼女がそれらをできた時に彼の元に戻ってくることを望んでいる。
中々、深いです。この意味を知って、映画でこの「スカボロー・フェア」の使われたシーンを思い出すと、いかに映像と曲が融合してこの「卒業」という映画を魅力あるものにしているかあらためて感じました。
繰り返しになりますが、この映画「卒業」は、映画のシーンとバックに流れる「サイモン&ガ―ファンクル」の曲そのものもさることながら、本当にうまく合す形で、まさに一体となって、この映画のシーン、シーンを私たちの記憶に残していると思います。