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AORの隠れた名盤かもしれません「藤田朋子」


随分前にセルジオ・メンデス、そしてブラジルへの憧れ「横倉裕」として紹介しました「横倉裕」ですが、今でもアルバムはよく聴いています。
そのサウンドから夏に聴くのにピッタリかと思います。

横倉裕は数年前にNHK BSでオンエアされた「東京ジャズ」に出演の、「セルジオ・メンデス」のバック・バンドにキーボーディストとして参加していたのには驚きとともに、ブログのタイトルを思い出し嬉しくなったのを覚えています。

先日友人との会話で横倉裕の話となり、今はどのような活動をしているのかが気になりネットで探しはじめ、YouTubeで検索すると上位に表示されたのが「藤田朋子」でした。

何故?、が最初でしたが、表示された曲を聴いてみると、その良さに気に入ってしまい、今度は藤田朋子で調べていくと、なんとファースト・アルバムのプロデュース、アレンジが横倉裕でした。

どうしてもTVドラマ、「渡る世間は鬼ばかり」のイメージしかなかったもので、あまりのサウンドの良さに驚いたのかもしれませんが、YouTubeにアップされている曲も少なく、是非アルバムを聴いてみたいと思いファースト、セカンドの2枚のアルバムを購入したのですが、何れもこのドラマのオンエアがスタート前のリリースでした。

1988年のNHK連続テレビ小説「ノンちゃんの夢」でテレビ・デビューし、広く知られ人気となりましたが、ファースト・アルバムのリリースはその翌年で、その時の活動の方向性がどうだったなどはわかりませんが、女優の片手間に歌手といったレベルでないアルバムのクオリティーの高さは流石です。

因みに、横倉裕は1992年に「シーウィンド(Seawind)」のボーカルだった「ポリーン・ウィルソン(Pauline Wilson)」のアルバム「愛の瞬間(Intuition)」を、同レーベルのポニー・キャニオンからリリースしており、曲調は違うかもしれませんが、その路線を狙ったのかもしれません。
のちに再発の「オンリー・ユー 」も同曲が収録されています。

愛の瞬間

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オンリー・ユー

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ではアルバムの紹介です。

藤田朋子 | THE WOMAN IN ME

THE WOMAN IN ME

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1989年10月リリースのファースト・アルバムです。

全10曲中2曲が「キャロル・キング」、そして「ポール・マッカートニー(Paul McCartney)」の大ファンだったからか「ビートルズ」のカバーで、残り8曲がオリジナルです。
横倉裕は9曲のプロデュース、アレンジを担当していますが、作曲は1曲のみです。

また、全曲とも歌詞は英語です。

藤田朋子 | Wait For Me
https://www.youtube.com/watch?v=Rw2g91mBczg (YouTube)

この曲は作詞が「Kate Markowitz」、「 Christina Truliol」で、作曲が「ドン・グルーシン(Don Grusin)」、そしてアレンジが横倉裕です。

藤田朋子 | Summer Without You
https://www.youtube.com/watch?v=9B2UjaV0olM (YouTube)

この曲はセルジオ・メンデス繋がり?か、作詞が「ラニ・ホール(Lani Hall)」で、作曲、アレンジが横倉裕です。
また、心地よいナイロン・ギターはブラジル出身の名ギタリスト「オスカー・カストロ・ネヴィス(Oscar Castro-Neves)」です。

横倉裕が好きな方には他の曲もお薦めです。

藤田朋子 | COLORS OF LOVE

カラーズ・オブ・ラヴ

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1990年9月リリースのセカンド・アルバムです。

アルバムのプロデュースは作詞家の「奈良橋陽子」他となっていますが、サウンド・プロデュースとして、ロサンゼルス在住でプロデューサー、キーボーディスト、作曲家として数多くの日本人アーティストに曲を提供している「ジョーイ・カーボーン(Jody Carbone)」、ギタリストの「鳥山雄司」、そして横倉裕も2曲で参加しています。

また、作曲については大ファンだった「タケカワ・ユキヒデ」が2曲提供しています。

ファースト・アルバムに比べるとポップスだけでなくロックなどを取り入れるなどサウンドの幅が広がった内容になったのではと思います。

また、こちらも全10曲中9曲が歌詞は英語です。

藤田朋子 | Shooting For The Stars
https://www.youtube.com/watch?v=eEN47vJJFbM (YouTube)

この曲は作詞が「Lorraine Feather」、作曲、アレンジが横倉裕です。
今回紹介した3曲では一番横倉裕を感じさせる曲かと思います。

ここ最近は音楽系の雑誌でも日本の「シティ・ポップ」が取り上げられ話題となっていますが、この2枚のアルバムもシティ・ポップとも言えるかもしれませんが、英語の歌詞などからAORと言えるかもしれません。

30年近く前のアルバムではありますが、まだまだ聴いていない隠れた名盤があるものだと思いました。

あと、同時に購入したのですが、この2枚の中からバラード曲とシングル盤からのベスト・アルバムもお薦めです。
全11曲中、横倉裕関連の曲が6曲収録されています。

藤田朋子 | MORMENTS

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<お知らせ>「YUTAKA」と「ブラザジア」が復刻



2013年6月にセルジオ・メンデス、そしてブラジルへの憧れ「横倉裕」(2)で紹介したアルバム「YUTAKA」と「ブラザジア」が、ユニバーサルの「GRP MASTERS COLLECTION」シリーズで、7月23日にCD復刻しました。

【GRP MASTERS COLLECTION】フュージョン名盤が1,000円(税抜)(TOWER RECORDS ONLINE)

 

YUTAKA

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セルジオ・メンデスと共演する日本人ミュージッシャン「横倉裕」によるブラジル音楽を味わってください。

(編集長)

セルジオ・メンデス、そしてブラジルへの憧れ「横倉裕」(2)



セルジオ・メンデス、そしてブラジルへの憧れ「横倉裕」(1)の続き

NOVO解散後、「横倉裕(よこくらゆたか)」は大学を中退し、音楽の活動拠点をアメリカへと移します。そして、ロサンゼルスでは憧れでもあるセルジオ・メンデスのもとで、ピアノ、和声学などを学びます。
また、フュージョンに和楽器を取り入れた日系3世のバンド「ヒロシマ(HIROSHIMA)」をはじめ多くのミュージシャンとの交流を深め、なかでも「デイヴ・グルーシン(Dave Grusin)」との交流が、ファースト・アルバム「LOVE LIGHT」のリリースとなります。

横倉裕は4枚のアルバムをリリースしています。

横倉裕の4枚のアルバム

左から、LOVE LIGHT、YUTAKA、Brazasia、Another Sun。

  • LOVE LIGHT (1978年)

アメリカへと移った5年後にアルファ・レコード(alfa Records)よりリリースされたファースト・アルバムです。
当初は日本のみの発売でしたが、のちにアメリカでもリリースとなります。
また、のちにCDも発売されますが、購入したレコードとはジャケット・デザインなどが変更されてしまいました。

  • YUTAKA (1988年)

デイヴ・グルーシンに認められ、フュージョン・サウンドの代表的なレーベル「GRPレコード(GRP Records)」の日本人初の所属アーティストとなり、名前も「YUTAKA」と改名してリリースされたセカンド・アルバムです。
GRPはグルーシン・ローゼン・プロダクションズ(Grusin Rosen Productions)の略称です。
プロデュースは横倉裕とデイヴ・グルーシンの実弟「ドン・グルーソン(Don Grusin)」2人の共作で、このアルバムより琴も横倉裕が演奏しています。
また、ボーカル曲には「シーウィンド(Seawind)」の「ポリーン・ウィルソン(Pauline Wilson)」を起用するなど、ロサンゼルスのトップ・ミュージシャンが参加しています。

Yutaka | Colors Of The Wind
http://www.youtube.com/watch?v=0oGp9wPo-0A  (YouTube)

Yutaka(feat. Pauline Wilson) | Waem And Sunny Sunday Morning
http://www.youtube.com/watch?v=1oVk-drg5GU  (YouTube)

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  • Brazasia (1990年)

横倉裕プロデュースによるこのアルバムは、Brazasia(Brazil + Asia)というタイトルからも前の2作に比べブラジル色が強まった内容となり、ボーカル曲も増えています。
タイトル曲「Brazasia」はカナダ出身のジャズ・シンガー&ピアニストの「キャロル・ウエルスマン(Carol Welsman)」がカバーするなど、横倉裕を代表する曲です。このアルバムでもポリーン・ウィルソンとのデュエットが心地よく、ポリーンのファンにもお勧めも1曲です。

Yutaka(feat. Pauline Wilson) | Brazasia
http://www.youtube.com/watch?v=Ntrydq4E8Jg  (YouTnbe)

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  • Another Sun (1993年)

このアルバムも横倉裕のプロデュースですが、3曲を憧れでもあり師でもあるセルジオ・メンデスと共同プロデュースしています。
やはりブラジル色が強いのですが、このアルバムでも琴が心地よく演奏されています。

Yutaka | Rain Dance
http://www.youtube.com/watch?v=DNb3luoezYc  (YouTube)

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残念なことにこの4枚以降はアルバム活動はなく、これらCDも既に廃盤となっていますので入手は難しいかもしれません。
この4枚のCDの再発売を望む声も多いのではと思います。

アルバム制作は4枚で終ってしまいましたが、以降もセッションマンやコンポーザー、プロデューサーとしての活動は行っており、セルジオ・メンデスのグループにいた「ケヴィン・レトー(Kevyn Lettau)」のアルバムへの参加や、前記「ポリーン・ウィルソン」のアルバム「Intuition」のプロデュースなどで名前を見ることができます。

その後の活動については情報も無く詳しくはないのですが、2006年に、「カルロス・“ユタカ”・デル・ロザリオ(Carlos “Yutaka” Del Rosario)」という名前に改名し、セルジオ・メンデスのバック・ミュージシャンとして活動しています。
テレビで見たのですが、2011年の東京Jazzにセルジオ・メンデスが出演した際もキーボーディストとしての参加をクレジットで見ました。
憧れのセルジオ・メンデスとの仕事は本人としては良いのかもしれませんが、ファンとしてはアーティストとしての才能があるだけに、またアルバムとして横倉裕を聴いてみたいです。

セルジオ・メンデス、そしてブラジルへの憧れ「横倉裕」(1)



今回紹介するのは、アメリカでキーボーディストとして活躍するYUTAKAこと「横倉裕(よこくらゆたか)」です。
私が横倉裕を初めて聴いたのが、ファースト・アルバム「LOVE LIGHT(ラヴ・ライト)」でした。1978年リリースですから、まだレコードの時代でした。
購入の切っ掛けは、当時よく聴いていた「デイヴ・グルーシン(Dave Grusin)」プロデュースによる日本人アーティストのアルバムという情報だけで、初めて聞く名前でした。

LOVE LIGHT | YUTAKA

LOVE LIGHT | YUTAKA

早速レコードに針を落としてみると、「これ程、洗練された東洋音楽と西洋音楽の融合があったであろうか」とアルバムの帯にも書かれているように、A面の1曲目の「Breath Of Night(夜気)(作曲:喜多嶋修)」からスティーヴ・ガッド(Dr.)、エイブラハム・ラボリエル(Ba.)を中心としたリズムをバックに、尺八、琵琶と和楽器によるメロディーがこれほど心地よいものかと驚きました。

そして横倉裕といえば「琴によるフュージョン」と言われるように、2曲目より琴が登場します。琴もこのように聴くと良い楽器だなと実感しました。
ただ、このアルバムでは琴は「喜多嶋修」が全て演奏し、横倉裕はフェンダー・ローズ*をメインにキーボード、そしてボーカルとクレジットされています。

アルバムとしても良い曲ばかりですが、やはりB面1曲目のタイトル曲「Love Light」が大好きです。この曲は「パティー・オースチン(Patti Austin)」とのデュエットによるボーカル曲で、1981年にはビルボード・シングルチャート(HOT-100)で最高81位、R&Bチャートで最高位61位を獲得しています。
私は、パティー・オースチンをこのアルバムか「ボブ・ジェームス(Bob James)」の「Two」のどちらかで知ったかと思います。

横倉裕 | Breath Of Night
http://www.youtube.com/watch?v=ZFsUBFyIbV0  (YouTube)

横倉裕(feat. Patti Austin) | Love Light
http://www.youtube.com/watch?v=97L5H5TjYqg  (YouTube)

横倉裕は、1952年、東京の世田谷生まれです。
「セルジオ・メンデスの音楽が無かったら僕は多分、音楽を始めていなかったでしょう…」と語るように、セルジオ・メンデスを通してブラジル・サウンドの影響を受け、成蹊高校時に「マザース・ウォーリー」という「セルジオ・メンデス&ブラジル ’66(Sergio Mendes & Brasil ’66)」を意識したバンドを結成します。そして、1970年の第4回ヤマハ・ライトミュージック・コンテストへ出場し、部門優勝するなど注目されます。
成蹊大学在学時にはこのバンドを母体とした「NOVO(ノーヴォ)」というバンドを結成します。
ただし活動期間は1972~73年と短く、キング・レコードよりシングル盤2枚のリリースのみ(アルバム曲も制作していたがお蔵入り)で解散してしまいます。

NOVOについては、2003年にシングル曲やお蔵入りの曲をまとめたCDがリリースされた事を、後に知ります。
当時、私は買そびれましたが、2013年6月に新録音2曲を含めたCDが再発売されることになりました。
この「NOVO COMPLETE WORKS」**にはデビュー・シングルの「愛を育てる」も収録されています。
この「愛を育てる」は、作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦による旭化成のCMソングとして「トワエ・モア」が歌った曲です。旭化成がスポンサーのフジテレビ系列の人気番組「スター千一夜」で流れていました。
と言っても1971年ですから若い方は知らないかと思います。
この曲をNOVOでは横倉裕がアレンジを担当し、セルジオ・メンデス&ブラジル ’66を感じさせる曲となっています。

NOVO | 愛を育てる
http://www.youtube.com/watch?v=4oPWl6fnb08  (YouTube)

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NOVO解散後、横倉裕は大学を中退し、音楽の活動拠点をアメリカへと移します。

セルジオ・メンデス、そしてブラジルへの憧れ「横倉裕」(2)へ続く

* 編集部注:フェンダー・ローズは、フェンダー社のローズ・ピアノのことです
** 編集部注:「NOVO COMPLETE WORKS」の発売予定日は、2013年6月26日です