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「厚木からの長い道のり」~小澤征爾と大西順子、そして村上春樹


今年のノーベル文学賞も決まりましたが、英国などのブックメーカー(賭け屋)の予想でも一番人気であった村上春樹は、またしても受賞を逃しました。ここ数年は最有力候補の一人ですので、また来年に期待したいものです。

ノーベル文学賞はカナダ女性作家アリス・マンローさん (MSN産経ニュース)

その村上春樹の仲介で、指揮者の小澤征爾とジャズ・ピアニストの大西順子との共演が実現したことは、以前に東京JAZZと女性ピアニスト(1)で触れました。

満場のスタンディング・オベーション、
奇跡の『ラプソディ・イン・ブルー』に、拍手はいつまでも鳴り止まなかった。
ClassicとJazz、小澤征爾と大西順子、そして村上春樹。
その夜、それぞれの魂が響きあい、困難を乗り越え、
ナチュラルな喜びに満ちた音楽が誕生したのだ。
小さなジャズ・クラブからサイトウ・キネン・オーケストラとのステージへ。
良き音楽のために、道は続いて行く…..

出典:季刊誌「考える人」2013年秋号

この文章は季刊誌「考える人」に掲載された16ページに渡る村上春樹の寄稿、「厚木からの長い道のり~小澤征爾が大西順子と共演した『ラプソディ・イン・ブルー』(サイトウ・キネン・フェスティバル松本Gig 2013年9月6日)」の冒頭ページの文章です。

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この寄稿の中では、熱烈な大西順子のファンである村上春樹によって、彼女のエピソードやその音楽を愛する思いが綴られています。その中で特に強調しているのは、

僕が大西順子の音楽について素晴らしいと思うところはいくつもある。しかしいちばん強く惹かれるのは、その独自のリズム感覚かも知れない。

といったことです。そしてこの寄稿のタイトルでもある「厚木からの長い道のり」のエピソードについては、

僕は一度、小澤征爾さんを誘って、都内のジャズクラブに彼女の演奏を聴きに行ったことがあり、そのときは「いや、すごい音楽家だね」と感心されていました。そして「彼女の最後のライブが厚木の小さなジャズクラブであるんですよ」という話をしたとき、「じゃあ、おれも行く」ということになりました。そして大西さんが最後に感無量のおももちで「残念ながら、今夜をもって引退します」と聴衆の前でしみじみ話しているときに、突然すくっと立ち上がって「おれは反対だ!」と叫ぶという異例の事態、というかハプニングになったわけです。

といった話が最初にあったようです。そして9月6日のフェスティバルにおける大西順子(トリオ)と小澤征爾指揮のサイトウ・キネン・オーケストラによる「ラプソディ・イン・ブルー」の共演に辿り着いた訳です。彼女にとっては一日だけの復活ライブでもありました。

サイトウ・キネン・フェスバル松本のホームページには、その経緯について小澤征爾と村上春樹の二人による文章が掲載されています。

なぜ “ラプソディー・イン・ブルー”を大西さんとやるか、について (小澤征爾)

信じられない展開 (村上春樹)

そんな「世界のオザワ」や「世界のハルキ」によって賞賛されている大西順子の最後となっているアルバムは「Baroque」(2010年8月米国Verbよりリリース)です。このアルバムのエピソードの公式映像があります。

大西順子 / 『バロック』 EPK エピソード1:バンド
http://www.youtube.com/watch?v=XjeVinsoiYY (YouTube)

大西順子 / 『バロック』EPK エピソード2 :アルバム
http://www.youtube.com/watch?v=zity_Grzcu4 (YouTube)

大西順子 / 『バロック』 EPK エピソード3 :大西順子
http://www.youtube.com/watch?v=xJcHe6fRtdE (YouTube)

Baroque

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大西順子は1989年にバークリー音楽大学を卒業しています。

SEIJI OZAWA HALL

SEIJI OZAWA HALL(著作権者:Daderot.さん、ライセンス:CC BY-SA 3.0、http://ja.wikipedia.org/wiki/タングルウッド)

一方の小澤征爾は1973年に38歳でボストン交響楽団(The Boston Symphony Orchestra、略称:BSO、アメリカ5大オーケストラのひとつ)の音楽監督に就任しています。そして2002年に退任するまでの30年近くも務めています。一人の指揮者がこれだけ長い間同じオーケストラの音楽監督を務めた例は極めて異例のようです。
毎年夏にBSO主催でボストン近郊の町タングルウッド(Tanglewood)で開かれる音楽祭(五嶋みどりのタングルウッドの奇跡はここでの出来事です)は有名です。そこには「SEIJI OZAWA HALL」も建てられています。

大西順子がボストン時代に、一人の聴衆として小澤征爾の指揮するBSOの公演を観たか否かは定かではありませんが、充分有り得る話です。

現地では日系アメリカ人の「Seiji Ozawa」として誤った紹介もされることがあるようですが、ボストンに深く根ざした一人だと思います。先日、ボストン・レッドソックスがワールドシリーズを制覇した時は、熱狂的なレッドソックス・ファンの一人として、フェンウェイ・パーク球場の観客席に小澤征爾の姿があったようです。
そんな小澤征爾のBSO時代のドキュメンタリー映像があります。

小澤征爾 わが街ボストン 1/7
http://www.youtube.com/watch?v=lckbT9M4zTQ (YouTube)

「サイトウ・キネン・オーケストラ」は小澤征爾の師である桐朋学園創立者の一人である斎藤秀雄の門下生を中心に、毎年8~9月に「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」で編成されるオーケストラです。この、夏の終わり頃に開かれるイベントは日本版「タングルウッド音楽祭」の趣も感じます。

Seiji Ozawa – SAITO-KINEN K136
http://www.youtube.com/watch?v=pph8EIsc0q0 (YouTube)

復活のセレナード~小澤征爾&サイトウ・キネン・オーケストラ・ベスト・セレクション

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村上春樹の小説には必ずと云っていい程、一つの楽曲が印象的なモチーフとして使われています。当ブログでは、以前、ノルウェイの森巡礼の年を紹介しました。音楽に造詣の深い村上春樹の仲立ちによって実現した「ラプソディ・イン・ブルー」ですが、機会があればTVの再放送(9月30日にNHK-BSプレミアにて「小澤征爾 復帰の夏 ~サイトウキネンフェスティバル松本2013~」として放送済み)やCDなどで聴きたいものです。

Boston POPs

Boston Pops Symphony Hall

 

「ラプソディ・イン・ブルー」については、こちらも有名な「ボストン・ポップス・オーケストラBoston Pops Orchestra)」による名演があります。このオーケストラはBSOの団員が夏のオフシーズンに編成を変えたもので、基本的なメンバーは同じようです。

 

 

 

ラプソディ・イン・ブルー1/4 フィードラー
http://www.youtube.com/watch?v=D-WVRA-Vfn4 (YouTube)

ラプソディー・イン・ブルー~ガーシュウィン・アルバム

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東京JAZZと女性ピアニスト~ジャズ細うで繁盛記(1)


今年で第12回目を迎えた東京JAZZですが、9月7日(土)~8日(日)に、2日間昼夜4公演が開催されました。
2002年の第1回と翌年の第2回が味の素スタジアムicon(東京都調布市)、2004年の第3回とその翌年の第4回が東京ビッグサイトicon(東京都江東区)となり、2006年の第5回以降は現在の東京国際フォーラムicon(東京都千代田区)で開催されています。

TokyoJazz2004

東京JAZZ2004(東京ビッグサイト)

第4回の東京ビッグサイトになって初めて足を運びました。確か日曜昼のセッションだったと思います。
いつもは国際見本市などで訪れるイベントホールの特設ステージですが、ステージとの距離感も近く、5グループの演奏を堪能しました。
このブログで前にも紹介した上原ひろみTOTOB787ドリームライナーと夢のTOTO(1)(2)の記事)のステージは、今でも鮮明に蘇ってきます。

その2004年が最初の登場だった上原ひろみですが、その後2006年、2008年、2009年、2011年と5回出演しています。複数のステージを務めた年もあり、東京JAZZ最多出演アーティストではないでしょうか?

そして今年の生出演はありませんでしたが、東京国際フォーラムの地上広場で最新ライブDVD「MOVEライブ・イン東京(昨年12月の東京国際フォラム公演を収録)」の上映があったようです。このDVDは一般発売の無い上原ひろみオフィシャルサイトだけの限定商品だそうで、未だ発売前で現在予約受付中とのことです。

上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト – 「MOVE」ライヴ・クリップ

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TokyoJazz2005

東京JAZZ2005(東京ビッグサイト)

翌年の2005年には上原ひろみと同じバークリー音楽大学出身の山中千尋(やまなかちひろ、生年非公表、群馬県桐生市出身)が初登場しました。
日曜昼の部「Club “Jazzin”」がテーマの公演でした。バークリーの副学長を引退し演奏に専念しだしたゲイリー・バートン(Gary Burton、ジャズと不易流行(1)(2)の記事)やマーカス・ミラー(Marcus Miller、1959年 -、NY出身)なども出演しました。
私自身も前年に続き充分堪能した公演でした。マーカス・ミラーなどは大幅な時間延長で観客を楽しませてくれた記憶が残っています。ステージと客席の距離感も近く感じました。

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パーラメント”Blue Lounge”の会場入口(2003年12月5日)

私が山中千尋のライブを最初に観たのは2003年12月で、フィリップモリス社主催の「パーラメント(PARLIAMENT)”Blue Lounge”」というイベントのことでした。
マイルドセブン(現在のメビウス)のバーコードを貼って応募し当選した幸運でした。
200組400名を貸し切りの綱町三井倶楽部(東京都港区)に招待して、豪華な食事や幾つかのスペースでライブも楽しめるイベントの一コマでした。
更に、トラック何台かで雪を運び込み、都心の庭園に施した雪化粧のライトアップや花のアレンジメントなど、假屋崎省吾の手による空間演出は幻想的でもありました。写真が撮れなかったのが残念です。
愛煙家冥利に尽きるイベントでしたが、最近ではあり得ない企画の様に思います。

その山中千尋ですが、バークリーに進む前に卒業した桐朋音楽大学でクラシックを学んでいます。彼女の原点とも云えるクラシック曲を素材にしたアルバム「モルト・カンタービレ」を8月にリリースしています。
新たな「山中千尋ワールド」を確かめてみて下さい。

山中 千尋|トルコ行進曲
http://www.youtube.com/watch?v=yvh3j8riFRk (YouTube)

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この最新アルバム発売記念の全国ホールツアーが予定されています。
東京は9月19日(木)町田市民ホールicon(東京都町田市)、9月20日(金)紀尾井ホールicon(東京都千代田区)、9月23日(月、祝日)渋谷区文化総合センター大和田さくらホールicon(東京都渋谷区)となっています。

山中千尋 ニューヨーク・トリオ 全国ホールツアー2013 告知

チケットぴあ一般発売 | 山中千尋 ニューヨーク・トリオ | 2013/9/19(木) | 町田市民ホール(東京都)icon
一般発売 | 山中千尋 ニューヨーク・トリオ | 2013/9/20(金) ・ 2013/9/23(月・祝) | 紀尾井ホール(東京都) / 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(東京都)icon

上原ひろみや山中千尋よりも前の1989年にバークリーを卒業し、一世を風靡した女性ジャズ・ピアニストに大西順子(おおにしじゅんこ、1967年 -、京都府出身)がいます。
2000年に一旦活動を休止しますが、その後復帰し2009年の東京JAZZに初登場しています。
しかし、昨年惜しまれながら、再びプロ演奏家としての活動から引退しました。
彼女の衝撃のデビュー作となったのは1993年の「ワウ(WOW)」です。ジャズとしては異例の5万枚のセールスがあったそうです。

Junko Onishi|The Jungular
http://www.youtube.com/watch?v=YZ4LfHNPWBs (YouTube)

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その彼女が、ボストン交響楽団(The Boston Symphony Orchestra)の音楽監督を長年(1973年 – 2002年)務めた小澤征爾(おざわせいじ、1935年 -、満州国生まれ)と の共演を果たしたとのニュースがありました。当ブログでも話題(シタールとノルウェイの森(2)の記事)にした、ジャズに造詣の深い作家の村上春樹が仲介したとの事です。

小澤征爾さん、ジャズ指揮=大西順子さんと共演 (時事ドットコム)

 

小澤征爾さんと、音楽について話をする

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『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック

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上原ひろみ、山中千尋、大西順子の三人はダイナミックで高度な演奏技術が特徴的ですが、何れもバークリーを首席で卒業した後にニューヨークに活動拠点を移し活躍しています。まさに世界を舞台にした「ジャズ細うで繁盛記」*といった形容が相応しいと思います。

さて今年の東京JAZZですが、かつてメディアで天才少女と称された若干21歳のジャズ・ピアニスト桑原あい(くわばらあい、1991年 -)が初登場しました。

東京JAZZと女性ピアニスト~ジャズ細うで繁盛記(2)へ続く

*編集部注:「細うで繁盛記」は、花登筺「銭の花」が原作のテレビドラマのタイトル。1970年1月~1971年4月に放送された。

たけしとジャズ、60年代の新宿


村上春樹の3年振りの長編小説、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が話題になっています(NHK NEWSweb)。
発売日の12日までタイトル以外一切の情報が明かされていなかったこの本ですが、既に最初の50万部は即完売し、発売1週間で累計100万部に達したそうです。
通販サイトにおける購入ページでも、発売日までは内容の紹介もされず、表紙の画像すらありませんでした。漸く画像も公開になったこのページには、一気に多くのレビューが寄せられていますが、その評価は大きく分かれているようです。購入実績が無いと書けない筈のレビューですから、それだけ多くの人が既に入手した証でもあります。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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春樹小説に欠かせないのが、重要なファクターとして登場する音楽です。
以前に私のシタールとノルウェイ森で紹介した「ノルウェイの森」は曲名がそのままタイトルとなっていますが、今回はタイトルの一部に隠されていました。
予め「巡礼の年」がリスト(Liszt Ferenc)のピアノ曲集を意味すると予測したタワー・レコードでは、そのCDを揃えていたようですが焼け石に水だったようです(Yahoo!ニュース)。
その演奏者がラザール・ベルマン(Lazar Berman、1930年 – 2005年、旧ソ連出身のロシア人ピアニスト)である事までは特定できず、発売元のユニバーサル・ミュージックでは急遽5月15日にラザール・ベルマンの演奏する「巡礼の年(全3枚組)」を再発売するそうです。

リスト巡礼の年、第1年:スイス、1.ウィリアム・テルの聖堂(演奏:ラザール・ベルマン)
http://www.youtube.com/watch?v=jVGdPx2m8yw&list=PLswpfKxK1W7_Et023FLg7eOi7GzwwTptW&index=1 (YouTube)

 





Lazar Berman/Liszt: Annes de Pelerinage [4714472]





Lazar Berman/リスト:≪巡礼の年≫全曲 [UCCG-4818]

作家として独立するまではジャズ喫茶を経営していた村上春樹ですが、一時期新宿のジャズ喫茶に入り浸っていたようです。

「ほとんど学校にも行かずに、新宿でオールナイトのアルバイトをして、そのあいまに歌舞伎町のジャズ喫茶に入りびたっていた」

出典:エッセイ集、『村上朝日堂』

村上朝日堂 (新潮文庫)

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村上春樹が、小説「ノルウェイの森」に登場した目白の学生寮を出て、西武新宿線沿線に住んでいた1968年から69年頃のことのようです。
そんな学生運動が盛んだった時代、当時の新宿のジャズ喫茶に入り浸り、そしてジャズ喫茶のボーイもしていた若者がいました。ビートたけし(本名:北野武、1947年 -、東京都足立区出身)です。

たけしとジャズ—それは、たけしと新宿の物語としても語られる。いまから40年以上も前のこと。1967年(昭和42年)、20歳の北野武は明治大学工学部(後の理工学部)機械工学科に在籍する、都会の賑やかさ、楽しさどころか、喫茶店すら知らない「あまりにも無知な、東京の田舎者だった」と、言う。
・・・・・
「最初はびっくりしたの。ジャズ喫茶にたむろする連中ってのはさ、サルトルがどうの、カフカがどうのって難しい話をして、理数系の俺には、なんかこれが教養っていうもんかぁ、文系の人は違うなぁって。
・・・・・

出典:『たけしとジャズ』ライナー(新村千穂、筆)

たけしがジャズ喫茶に入り浸るきっかけは、たまたま目にした喫茶店から聞こえてきた、勢いを持ったトランペットの音で、それがたけしと新宿、そしてジャズ喫茶の始まりとのことです。そして名曲喫茶「風月堂」やジャズ喫茶「新宿ACB(アシベ)」に入り浸り、そして「びざーる」や「ビレッジ・バンガード」でアルバイトをしていました。
名曲喫茶「風月堂」の常連には多くの作家、詩人、画家なども多くいたようで、その「卵」たちも集まっていました。名前の挙がっているのは、五木寛之、寺山修司、小田島雄志、岡本太郎などです。

一方のジャズ喫茶では、作家の中上健次が根城にした「ジャズビレ」などにはマイノリティが多かったようです。たけしがボーイをしていた「ビレッジ・バンガード」の同僚には、「警察庁広域重要指定108号」の殺人事件を起こした永山則夫もいたそうです。
そんなジャズ喫茶で流れていたのはジャズ、モダン・ジャズとフリー・ジャズであったといいます。
ビートたけしが監修したコンピレーション・アルバム「たけしとジャズ」があります。

たけしとジャズ

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たけしは次の様に語ります。

「小難しい話をしたり、通ぶった曲をリクエストをしていたあなた達! 本当は、ここにあるスタンダードな名曲こそ、聞きたかったんだろ。俺は、知ってんだ。ざまぁみやがれ、って感じだな」

出典:『たけしとジャズ』ライナー(新村千穂、筆)

その2枚組アルバムの1曲目は「ジョン・コルトレーン|マイ・フェイヴァリット・シングス」です。

John ColtraneMy Favorite Things
http://www.youtube.com/watch?v=KNmpIA_bLcE&playnext=1&list=PLPlhX_1Bcab1EYCE4mQjOXJIui8g98UOb (YouTube)

マイ・フェイヴァリット・シングス( 2)

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たけしがタクシーの運転手をしていた時にサインを貰ったという、セロニアス・モンクの「セロニアス・モンク|モンクス・ドリーム」も当然 含まれています。
Thelonious MonkMonk’s Dream
http://www.youtube.com/watch?v=eIcwq3G-jOc (YouTube)

モンクス・ドリーム 4

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HiroさんのタモリのJazz観で紹介のあったタモリは、1965年に早稲田大学第二文学部に入学し、モダン・ジャズ研究会(通称:ダンモ研)に在籍しており、新宿はホームグランドだったと思います。
しかし、村上春樹が1968年に第一文学部入学した年には既に福岡に帰郷しています。

そんなタモリの選ぶジャズのアルバム「タモリとジャズ」も聴いてみたい気がします。何しろ、評論家の植草甚一(故人)が所有していた4,000枚のジャズ・レコード・コレクションを引き取ったその人ですから。「いいとも!」と云って引き取ったか否かは定かでありません。

新宿やジャズ喫茶に殆ど縁の無かった私が、ライブのある新宿のジャズ喫茶に足を踏み入れたのは70年代になってからの事です。
「タモリ伝説」の登場人物である、山下洋輔のトリオを「新宿ピットイン(PIT INN)」昼の部で観たのが、最初だと思います。サックスが中村誠一から坂田明に代わっていました。
大音響で繰り広げられる3人のバトルが今でも印象に残っています。

山下洋輔トリオ|キアズマ CHIASMA
https://www.youtube.com/watch?v=AJxaB5BKwKs (YouTube)

キアズマ

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なお、この記事の執筆にあたり雑誌「JAZZ JAPAN」(ヤマハミュージックメディアより不定期発行)を参考にしました。2010年に休刊となった「スイングジャーナル(Swing Journal)」に代わる貴重な雑誌だと思います。

 

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シタールとノルウェイの森(2)


https://www.youtube.com/watch?v=Y_V6y1ZCg_8の続き

ビートルズの「ノルウェイの森」は、シタールが使われています。この曲にシタールを持ち込んだのは、故ジョージ・ハリスンといわれています。ジョージはビートルズ時代にインド音楽に傾倒し、ラヴィ・シャンカールに師事しました。ラヴィとジョージの二人の交流は大変有名です。

この曲でシタールを弾いているのはジョージですが、作詞と作曲はレノン=マッカートニー名義(作風はジョン・レノン?)になっています。シタールが効果的に使われた、いわばフォーク・ロックの名曲です。
ラヴィが影響を与えた最初のラーガ・ロック(インドの音楽や楽器を取り入れたロック)はこの曲といわれています。ただし別の説もあります。ラーガ・ロックの諸説は、また別の機会に紹介します。

さて、当時のビートルズの映像を紹介します。残念ながら、ジョージがシタールを演奏する様子はありません。

The Beatles|Norwegian Wood
https://www.youtube.com/watch?v=Y_V6y1ZCg_8 (YouTube)

前回、予告編を紹介した映画「ノルウェイの森」ですが、原作は村上春樹の同名の小説です。

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

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単行本の装丁は作者本人による「クリスマスカラー(赤と緑)」を使ったものだそうです。文庫本も同様ですので、この季節に如何でしょうか。

べトナム系フランス人のトラン・アン・ユン脚本・監督で映画化され、2010年に公開されました。
公式サイトがありますので、主題歌を含めて確認してみて下さい。
私は今年になってから、見ました。因みに、非常に懐かしい響きのある「映倫」のPG12指定です。

原作者の村上春樹(1949年、京都生れ兵庫県育ち)は、今や世界的ベストセラー作家です。今年のノーベル文学賞の最有力候補になり、ブックメーカーのオッズでも2倍という大本命でしたが、残念ながら受賞を逃しました。
彼は早稲田大学卒業後、一時期ジャズ喫茶を経営していたこともあります。この辺の話題も、別の機会に触れてみたいと思います。

小説「ノルウェイの森」の冒頭は、37歳の主人公の僕=ワタナベ・トオルが、ドイツに降り立つ飛行機の中で聞いたビートルズ「ノルウェイの森」により、高校時代の同級生、直子のことを思い出し、取り乱す場面から始まります。
1968~69年頃の時代背景をベースに、主人公の20歳になる前の複雑に揺れ動く心象風景と、複雑な恋愛感情が綴られて行きます。

ビートルズの「ノルウェイの森」の原題「Norwegian Wood」は、単に森を指すのではなく、英国の安アパートに良く使われている「ノルウェイ産の木材を使った家具」とのことで、その詩の内容も結構意味深なようです。
主人公が暮らした、当時の学生寮やアパートと妙に符合してくるようにも思えます。当初、村上はこの「ノルウェイの森」というタイトルが気に入らなかったようですが、そんな所に原因があるのかも知れません。

映画「ノルウェイの森」は、主人公のワタナベ(松山ケンイチ)、その神戸の高校生時代の同級生直子(菊池凛子)を中心に、東京の大学へ入学後の二人の微妙な関係と、精神的に破綻の生じた直子の京都の療養先とその周辺を舞台に描かれています。
学生運動の激しかった頃、当時の東京の大学キャンパスとその周辺の風景、そして直子の療養先と緑の多い高原(森)の情景が走馬灯のように駆け巡る様が印象的です。

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監督が漸く探し出したロケ地は兵庫県神河町の高原や兵庫県香美町の香住海岸です。これらの情景は非常に印象深く、見終わった後も残像のように残ります。
そして、その施設で直子と一緒に療養生活を送っている、元ピアノ教師レイコがギターを弾きながら、ビートルズの「ノルウェイ森」を歌うシーンも印象的です。
最後に、「風を映像として捉えたような」森の風景が、何故か深く心に残りました。

そんな映画「ノルウェイの森」には、大学教授役で糸井重里(1948年生れ)、ワタナベのバイト先のレコード店の店主役で細野晴臣(1947年生れ)、直子の療養所の寮の門番役で高橋幸宏(1952年生れ、別名:高橋ユキヒロ)が出演しています。
原作者の村上そして主人公のワタナベと同世代、この映画で描かれている1969年前後に学生生活を送り、同じ時代を共有していた人達で集結しているのが象徴的でした。
その世代の人達が、当時の記憶を呼び戻しながら観てみるのも良いかも知れません。

その細野は、日本におけるロックの先駆的バンド「はっぴいえんど」を1969年に結成しました。細野晴臣作曲(作詞:松本隆)の「風を集めて」をお聴き下さい。映画「ノルウェイの森」の1シーンと妙にオーバーラップしました。

はっぴいえんど|風をあつめて
https://www.youtube.com/watch?v=PfFEPtJE0D4 (YouTube)

シタールとノルウェイの森(3)へ続く