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昭和世代の鏡「男はつらいよ」


「男はつらいよ」の主人公「フーテンの寅」こと車寅次郎は、本ブログでKojiさんが紹介しています。

そして、今年12月27日に「 男はつらいよ お帰り寅さん」 が公開されるとのことです。

桑田佳祐が主題歌を歌います。

渥美清|男はつらいよ
https://www.youtube.com/watch?v=qjd-4rrX1K8 (YouTube)

男はつらいよ 寅さん発言集

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私は、「寅さん」が必ず物語風に語る「アリア」が大好きです。

車寅次郎らしさ 第15作 男はつらいよ 寅次郎相合い傘
https://www.youtube.com/watch?v=KtdxuPJWoqg (YouTube)

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リリーをキャバレーまで送った寅次郎は、そのあまりの環境の劣悪さに驚き、肩を落としてとらやに帰って来る。「俺にふんだんに銭があったら…」寅次郎は大ステージで歌い上げるリリーの姿を想像し、臨場感たっぷりにさくらたちへ語って聞かせる。寅次郎の切ないまでの愛情が渥美清の演技によって表現されている。山田洋次によれば[後日リリー役の浅丘ルリ子がこのシーンを見て涙を流していたという。このシーンに限らず、渥美清独特の語り口によってなされる“一人語り”はスタッフの間から「寅のアリア」と呼ばれていた。

男はつらいよ (2019-12-07T04:03Zの版)   ウィキペディア日本語版

「・・・・・・・・」「あいつは、きっとなくなぁ」「・・・・・・」
渥美清の演技ではあると思いますが、キリスト教の「愛」の教えの境地のようにも思います。「求める愛」と「与える愛」、何か相当な隔たりがあるように思います。この「寅さん」の言葉を「リリー」がもしも聞いていたらどう思うのでしょうか。

余談ですが、「ティファニーで朝食を」の1シーン、「ティファニー」で指輪を買おうとするシーン、全てが高級品でとても手が出ません。最後にお菓子のおまけでもらった指輪を出し、この指輪に「Tiffany」のイニシャルを刻印をしてほしいと頼みます。で、店の人の対応が粋です!預かってイニシャルをいれますので、明日取りに来なさい。

今、お金が豊かさの全てである時代に、両作品のこのシーンは、何か、「粋な生き方」、「奥深い幸せの味わい」を感じます。

ティファニーで朝食を|Movie CLIP|1961年

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本当に、「寅さん」の語りに引き込まれて涙が出てきます。
「寅さん」が口ずさむ、「悲しい酒」上手です。本家で聴いてみます。

美空ひばり|悲しい酒
https://www.youtube.com/watch?v=zi1yedKi3FE (YouTube)

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もう一作、とても好きな作品は、第17作「虎次郎夕焼け小焼け」です。

車寅次郎らしさ 第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
https://www.youtube.com/watch?v=crCTlvFvYek (YouTube)

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このシーンは本当にすきです。「寅さん」の身勝手なロジックで画家に絵を描いてほしいと乞う、もちろん、「寅さん」が自分のために乞うわけではない、また、この話の前に、ものの数秒で書いてしまった絵(ほうず)を7万円で古本屋が買った、という前段がある。
もちろん、最後のシーンではこの画家はちゃんとした「ぼたん」の絵を、芸者「ぼたん」に書いてあげるのですが。

もう、ワンシーン。青観と志乃です。

青観と志乃 第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
https://www.youtube.com/watch?v=ZTDwaR9bMR8 (YouTube)

画家役は宇野重吉、その画家の初恋の人役は岡田嘉子です。

岡田嘉子は戦前好きな男性とソ連へ駆け落ち、亡命した。そして大変な苦労をした。その実生活を踏まえて、「志乃」がこう話します。

私、近頃よくこう思うの。人生に後悔はつきものなんじゃないかしらって。
ああすればよかったなあ…という後悔と、
もうひとつは、
どうしてあんなことしてしまったのだろう…、という後悔…

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

この言葉は、岡田の人生そのもの「感」、生き様の上にある重い言葉として観ている私たちに強烈なインパクトを与えます。

この、「夕焼け小焼け」は、渥美清、宇野重吉、岡田嘉子がそれぞれの生き様、人生観で、演技を超えた作品の「品」を醸し出しているように思います。「夕焼け小焼け」は何度でも観て飽きないです。

そして、この映画には、宇野重吉の実子「寺尾聡」も出演しています。寺尾聡は今や、本当に渋さがまして素晴らしい俳優ですが、「夕焼け小焼け」では、宇野重吉と並べるといかにも青い感じです。(それも演技なのかもしれませんが)
そして、指輪つながりの曲。

寺尾聡|ルビーの指環
https://www.youtube.com/watch?v=4O-Y1VIM74I (YouTube)

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「ルビー」はその赤い輝きで石の価値を認めさせていますが、第47作目「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様」にこんなシーンがありました。

寅次郎、えんぴつを売る|第47作 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様
https://www.youtube.com/watch?v=AGrrbHayUew (YouTube)

靴の会社で営業をしているおいっ子の満男が、仕事がつまらないと愚痴をこぼします。それを聞いた「寅さん」は、そのへんにあった鉛筆を満男に渡して「オレに売ってみな」と言うのです。

満男は「この鉛筆を買ってください」「消しゴム付きですよ」と特長をアピールしますが「僕は字を書かないから鉛筆なんて必要ありません」と寅さんはすげなく断ってしまいます。

満男が「こんな鉛筆は売りようがない」とさじを投げると、寅さんは満男から鉛筆を取り上げて「この鉛筆を見るとな、おふくろのことを思い出してしょうがねぇんだ」と、鉛筆にまつわる話をしみじみと語り始めます。

鉛筆を「モノ」として売ろうとした満男と、鉛筆に「命を吹き込み」その無形の「価値」を伝えた寅さん。「営業の極意」だと思い、そして、もっと広義には、「物」に対しての「夢」とか、「価値」の与え方、持ち方、を考えさせられたように思いました。

世の中は、「AI」、「IoT」、「5G」、とどんどん技術革新がすすみ、個人から、家族、会社、国家、すべての「人」「物」にかかわることがデータ化され、ネットワーク接続され、より快適さと、利便性が高度にサポートされた社会インフラが提供される環境へと進んでいます。

レオナルド・ダビンチも基本、自然、人、物のすべてを詳細に解析し、データ化し、それを科学、芸術の分野で表現したと考えられますので、しかも、それは圧倒的な革新性をもって表現されています。

今の、世の中の進んでいる基本的な方向性、科学技術の流れが、間違っているとは思いません。スポーツの世界でも、アスリート自身、気候、環境、食事など、あらゆるデータを解析して、トレーニングし、最高のパフォーマンスを出せるようになり、今までの、「根性論」などは、「悪」でしかありません。

「昭和」、戦後の昭和は、「0」からの出発で、これ以上生活環境が悪くなることはない、というベースから、将来に向けて、いろいろ「夢」を描けた時代だったと思います。そして、「平成」「令和」ときて、今後私たちはどんな「夢」を持って生きているのでしょうか、、

「男はつらいよ」は、日本人、昭和世代の鏡のような気がします。