エヴァ・キャシディの軌跡と奇跡(3)~「The Other Side」


エヴァ・キャシディの軌跡と奇跡(2)の続き

今まで紹介したエヴァ・キャシディの曲は、フィギュアスケートのエキシビションで使われたり、彼女の名声を高めた曲と云えます。基本的には有名な曲を彼女流の表現で歌い、それまでの誰とも違う表現力で惹きつけられます。
その歌声の余韻は聴いた後も残り、そのエヴァの世界に暫く浸ることができます。
特に、フォーク調のバラード曲は、そのピュアな歌声と相まって最大の魅力だと思います。多くのフィギュアスケーターに好んで使われるように、伸びやかな声とゆったりとしたスケーティングの演技が良く調和するのではないでしょうか。

エヴァ・キャシディを知る上で1枚だけアルバムを選ぶとしたら、最初に「フィギュアスケートと音楽と(1)」で紹介した2012年リリースの20曲入りベスト盤「The Best of Eva Cassidy」がエヴァ入門用としてはお薦めですが、彼女本来の歌へのアプローチを感じ取るアルバムとして、ライブ盤の「Live at Blues Alley」が個人的にはお気に入りです。

 

The Best of Eva Cassidy

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Live at Blues Alley

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このアルバムの「Amazonレビュー」の一部を紹介しておきます。

1996年1月にジャズクラブ、ブルーズアレイで行われたこのライヴの聴衆をうらやまずにはいられない。エヴァ・キャシディのボーカルには、アレ サ・フランクリンのソウルとビリー・ホリディのくすんだメランコリーとジャニス・ジョプリンの生々しい情熱がひとつに溶けあっている。だが、その声が二度 とレコーディングされることはない。このライヴのあった年の暮れにエヴァは癌で帰らぬ人となった。
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エヴァのリリースしたアルバムはわずか4枚しかなく、うち1枚は他の3枚のコンピレーション盤である。そんな彼女の 歌声に病みつきになったリスナーにとって本作はマストアイテムと言える。(Mark Walker, Amazon.co.uk)

1996年1月2日と3日に行われたこのライブこそ、その後の彼女の信奉者に残された貴重な音源となったことは一つの奇跡だったのではないでしょうか。初日の録音は必ずしも満足のいくものではなかったようですが、その映像と併せて生前の彼女を知る貴重な手掛りだと思います。
映像の方はホームビデオで撮影されたと思われるカメラワークですが、彼女の一つの側面を映し出していると思います。未だ、結果的に彼女の命を奪うこととなった病気には気が付いていない頃でした。

アルバムにも収録されたジャズ的アプローチやブルース調の曲の説得力にも触れてみて下さい。

エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy) | チーク・トゥ・チーク(CHEEK TO CHEEK) – Live At Blues Alley
https://www.youtube.com/watch?v=CEDZqsBZgso (YouTube)

エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy) | ストーミー・マンディ(Stormy Monday) – Live at Blues Alley
http://www.youtube.com/watch?v=CIaHrU8Hetk (YouTube)

このアルバムの選曲等にはエヴァ本人も関わったようだが、完璧主義だったと思われる彼女には必ずしも満足がいかず、リリースもためらったようです。しかし、このアルバムのプロモーションの最中であった7月に体調の異変により精密検査の結果、余命数ヶ月の宣告を受け抗癌剤治療を受けるようになったそうです。
保険に加入していなかったエヴァの為に、友人たちが9月に開いたライブでは1曲を歌うのが精一杯だったとのことで、それが人前での最後のパフォーマンスとなりました。その後、メリーランド州にあるジョンズ・ホプキンス病院に運ばれますが、2ヶ月後に自宅で息を引き取ります。

その後のアルバムは彼女の意図とは別に第三者により手が加えられ、その収録楽曲は必ずしも本人の好みと一致してはいないと思います。
しかし、本人が発表を望まなかった録音もまた未発表音源の一つとしてアルバム化されているようですが、少しでもエヴァの残された歌声に接したいファンにとっては、それもまた一つの楽しみでもあります。

このライブ・アルバムから4年前の1992年に、ゴー・ゴー・サウンドの先駆者チャック・ブラウンCharles Louis “Chuck” Brown、1936年 – 2012年)とのデュエット・アルバム「 The Other Side」がリリースされています。当時は殆ど無名に近いエヴァ・キャシディですが、大御所と対等以上にジャズのナンバーを歌う「別の側面」を見せています。こちらも魅力的です。

チャック・ブラウン & エヴァ・キャシディ(Chuck Brown & Eva Cassidy) | フィーバー(Fever)
http://www.youtube.com/watch?v=MddipQEMbLQ (YouTUbe)

Other Side

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ある意味、最初にエヴァ・キャシディの魅力を引き出したチャック・ブラウンですが、一昨年にエヴァ・キャシディが運ばれた病院と同じジョンズ・ホプキンス病院で75歳の生涯を閉じています。再び、天国で久方振りにデュエットしているのではないでしょうか。

さて、彼女の未発表音源は本人の想像しない形でひとり歩きしているようですが、1998年に自主制作したLP盤が2002年にCD化されています。20代前半のエヴァがヴォーカルを担当したアルバム「Method Actor」があります。エヴァの遺族からは認められていないようですが、楽しそうに音楽をする彼女の原点があるような気がします。

エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy) | ゲッティング・アウト(Getting Out)
http://www.youtube.com/watch?v=Da_bSQb0n1U (YouTube)

Method Actor

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最後に、エヴァ・キャシディのパフォーマンスとなった曲で、彼女の両親に捧げた曲「What A Wonderful World」をお聴き下さい。ブルース・アレイのライブ音源に、グルジア出身でイギリスのシンガーソングライターのケイティ・メルア(Katie Melua、1984年 – )がデュエットしています。1996年の時は未だ11歳ですが、そんな彼女もまたエヴァ・キャシディの信奉者の一人かも知れません。

エヴァ・キャシディ & ケイティ・メルア(Katie Melua & Eva Cassidy) | ワンダフル・ワールド(What A Wonderful World)
https://www.youtube.com/watch?v=cFoXcO8llNI (YouTube)

What a Wonderful World

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日本においてエヴァ・キャシディのアルバムが1枚もリリースされていないのは不思議ですが、彼女の歌声は遙かな時を超えて愛され続けるのではないでしょうか。

Forever Eva!

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