あっという間にゴールデンウィークも後半。
何処かに出かけたいのですが行けそうになく、音楽を聴いて旅行気分を楽しんでいます。
昨年末はHawaiiに旅行した思い出を書きましたが、今回は一度は行ってみたい米国フロリダ州の「マイアミ」に心を馳せます。
そこで生まれたマイアミ・サウンドの系譜と、マイアミ・サウンド最強ユニット「ナイトフライト」(Niteflyte)を紹介します。
マイアミ・サウンドといってもソウル、ラテンなどとジャンルも広く、一言でこれというのは難しいのですが、リゾート地であるマイアミ独特の陽気で明るい風土色を持ったサウンドという印象があります。
まず、ラテン系の代表としては、グループ名にも使われた「マイアミ・サウンド・マシーン」(Miami Sound Machine)です。
場所柄もキューバなどからの移民も多ためか、ラテン系のサウンドは人気も高く、このグループの「Dr.beat」「Conga」などは全米、そして全世界で大ヒットしました。
ボーカルの「グロリア・エステファン」(Gloria Estefan)はソロとしても大成功し、今やアメリカを代表するトップ・シンガーの1人です。
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また、マイアミ・サウンドを決定付けたものとして、「ヘンリー・ストーン」というキーマンによる「TK プロダクション」の設立、そして配下に20余りのマイアミのレーベルを持つ「TKレコード」(TK Records)の成功があります。
TKレコードは1974年頃からのディスコ・ブームもあり、そこに見事にマッチしたマイアミ発の新しいディスコ、ソウル・ミュージックを送り出し、これがマイアミ・サウンドとして確立されます。
TKレコードの所属アーティスト
- KC&ザ・サンシャイン・バンド 「That’s the way (I like it)」
- ジョージ・マクレエ 「Rock Your Baby」
- ボビー・コールドウェル 「What You Won’t Do for Love」
他にも多くのアーティストが所属し、マイアミ・サウンドとして大ヒットのアーティストばかりです。
復刻CDの回で紹介した「ウィリアム・ソルター(William Salter)」も、TKレコードの傘下の「Marlin」レーベルです。
このようにマイアミを拠点とした新しい音楽としてマイアミ・サウンドは注目され、全米、そして全世界へと広まっていきます。
今回紹介するナイトフライトは、「サンディ・トレノ(Sandy Torano)」と「ハワード・ジョンソン(Haward Johnson)」の2人によるユニットです。
セカンド・アルバム「Niteflyte II」にも2人の写真がありますが、「If You Want It」のシングルがありましたのでこちらで紹介します。
- サンディ・トレノ(Sandy Torano) (右側)
キューバ生まれ。セッションマンとして、エドガー・ウィンター、ラリー・ヤング、ジョー・ベック、ブレッカー・ブラザース等と仕事をする。
ギター、作曲、アレンジ、ヴォーカルとプロデュースを担当。
- ハワード・ジョンソン(Haward Johnson) (左側)
マイアミの小さなバーで働いているところをサンディ・トレノに見い出され、ヴォーカル、パーカッションと作曲を担当。
既に2人は地元バンドで共に活動していましたが、1979年に正式に2人のユニットとしてナイトフライトのデビューとなります。
私が最初に聴いたのは、弟に勧められ購入した1979年リリースのファースト・アルバム「Niteflyte(邦題:夢のマイアミナイト)」でした。
まだLPレコードの時代でしたが「A面」、1曲目の「All About Love」から陽気なサウンドで、全曲とも気に入りました。AOR、ブラコンの名盤の1枚だと思います。
シングル・カットされたアルバム2曲目の「If You Want It」は、山下達郎と吉田美奈子の2人によってFMのスタジオ・ライブで取り上げるなど、当時は話題となりました。
Niteflyte | All About Love
http://www.youtube.com/watch?v=Kh5DjCYKn_s (YouTube)
Niteflyte | If You Want It
http://www.youtube.com/watch?v=r9lUvpCLAdk (YouTube)
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なお、ナイトフライトは活動拠点はマイアミですが、アルバムはTKレコードでなく、ロスアンジェルスのレーベル「アリオラ・アメリカ」(Ariola America)からのリリースでした。
マイアミ・サウンドが全米中の関心を集めると、当然レコード会社各社はTKレコードに独占させておくはずもなく、積極的にアーティストの発掘に乗り出します。
そこで、アリオラ・アメリカがマイアミで見つけ出したのがナイトフライトでした。
セカンド・アルバム「Niteflyte II」は翌年1980年のリリースです。
ファースト・アルバムが好評っだったからか、ショップのお勧めとして、アルバムが壁に飾られていたのを見つけ、即購入しました。
早速聴きましたが、1曲目の「You Are」から全曲ともよく、このアルバムは多くの友人に勧めました。しかし、輸入盤(国内盤はリリースされなかったと思います)のため、なかなか入手できなかった覚えがあります。
Nitrflyte | You Are
http://www.youtube.com/watch?v=XSaI1IndmS4 (YouTube)
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この曲のサビの部分は、日本のメジャー曲に、大変似ています。きっとどこかで聴いたことがあるフレーズです。レコード時代からこの曲を聴いていた私にとっては驚きでした。
当時この曲も話題になりましたがア、ルバム全体としても良く、このセカンド・アルバムも、やはり、AOR、ブラコンの名盤の一枚だと思います。
また、この曲は数年前に日本のJazzin’ park(こちらも2人のユニット)がアルバム「We are together」でカバーしており、大変洒落たアレンジに仕上がっています。
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私はこの2枚のアルバムはよく聴きましたが、決してメジャーとは言えず、CDでの復刻は諦めていました。しかし、90年代に「Free Soul」というコンピレーションCDシリーズがブームとなり、ここに「If You Want It」と「You Are」が収録されました。
Free SoulのブームやYou Areの話題性もあり、ナイトフライトをこのCDシリーズで初めて知った方も多いのではと思います。
また、これを切っ掛けに2枚のアルバムがCDで復刻された事は、諦めていただけに嬉しかったです。
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さて、ナイトフライトは活動期間は短く、セカンド・アルバムをリリース後の 1982年にハワード・ジョンソンはソロへと転向し、ファースト・シングル「So Fine」をソウルチャートでヒットさせ、その後も何枚かアルバムをリリースします。
私も1枚購入しましたが、ソウル、R&B色が強くなったように思います。
また、サンディ・トレノもソロとして、またコンポーザーとして、多くのアーティストへの楽曲提供などと活躍します。
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