JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(1)


江戸時代の俳諧師で俳聖と云われた松尾芭蕉が、「奥の細道」の旅の中で見出した蕉風俳諧の理念の一つに「不易流行」という言葉があります。その意味するところは次のような内容です。

ふえき-りゅうこう【不易流行】
いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。蕉風俳諧の理念の一つ。解釈には諸説ある。
「不易」はいつまでも変わらないこと。「流行」は時代々々に応じて変化すること。

出典:新明解四字熟語辞典

『奥の細道』を旅する

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先月2月24日発表のアカデミー賞(Academy Awards)(当ブログ記事はこちら)でアメリカにおける大きな賞レースは一段落しました。その2週間前のグラミー賞(Grammy Awards)は音楽賞として最も権威があると云われています。その主要部門の結果は当ブログの<音楽ニュース>で紹介しました。
グラミー賞の名称は蓄音機のgramophoneに由来するように、幅広い音楽のジャンルとその業界に関係する多くの才能を対象としています。
今年の第55回グラミー賞の候補としてノミネートされた個人は740名程に上り、最終的には30分野81のカテゴリーにおいてウィナーが誕生しました。表彰を受けた人数は複数カテゴリーの受賞者もあり140名強になります。
詳細については公式ページを御覧ください。

そのグラミー賞で、ジャズ分野の中に「不易流行」を感じさせるウィナー達を見付けました。
まず1番目はゲイリー・バートン(Gary Burton、1943年 -、インディアナ州出身)とチック・コリア(Chick Corea、1941年 -、マサチューセッツ州出身 )です。
彼らの共作になるアルバム「Chick Corea & Gary Burton|Hot House」が受賞しています。

31. Best Improvised Jazz Solo
WINNER:Hot House
Gary Burton & Chick Corea,soloists
Track from: Hot House
Label: Concord Jazz

Hot House

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尚、チック・コリアはこのアルバム収録の「Mozart Goes Dancing」の作曲で、「59.Instrumental Composition」カテゴリーでも同時受賞しています。
1972年に始まったヴィブラフォン(Vibraphone)とピアノ(Piano)による珠玉のアコースティック・デュオが、40年後のニューアルバムについて語る公式映像があります。
Chick Corea & Gary Burton|Hot House (April 2012)

このアルバムではビートルズの名曲「エリナ・リグビー(Eleanor Rigby)」を二人のデュオで聴くことができます。

チック・コリアはHiroさんの「Ever Green」な曲で紹介されているように、ベーシストのスタンリー・クラーク(Stanley Clarke、1951年 -、ペンシルバニア州出身)と結成した「リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever)」のプロジェクトが余りにも有名です。
カモメのジャケットで知られ、ジャズ・フュージョン最大級のヒットアルバム「Return to Forever」ですが、これに収録されている「Crystal Silence」は、ほぼ同時期にゲイリー・バートンとのデュオでも録音されています。

リターン・トゥ・フォーエヴァー

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一方がエレクトリック・ピアノを主体としているのに対し、もう一方はアコースティック・ピアノを駆使しています。その1972年に録音されたアルバムのCD盤は「Chick Corea and Gary Burton|Crystal Silence」があります。

Crystal Silence

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二人のコンサートでは良く演奏されているようで最近の映像があります。バートン・グリップと呼ばれるマレット(バチ)捌きも確かめて下さい。
Chick Corea and Gary Burton|Crystal Silence
http://www.youtube.com/watch?v=VnlAPR_ixo4 (YouTube)

チック・コリアはマサチューセッツ州の出身ながらボストンの大学ではなく、ニューヨークにある音楽の名門ジュリアード音楽院(当時、The Juilliard School of Music)に学んでいます。
当ブログにも何度か登場しているジャズピアニストの上原ひろみですが、16歳の時チック・コリアと出会い共演まで果たしています。
その後バークリー卒業とメジャーデビューを経て、2008年には二人のデュエット・アルバム「デュエット」も発表し、武道館公演も実現します。

デュエット

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CHICK COREA & HIROMI UEHARA | Concierto De Aranjuez / Spain
http://www.youtube.com/watch?v=I5G4c3J-_0U (YouTube)

その彼女が20歳の時、ヤマハの留学支援によりバークリー音楽大学に進んだ訳ですが、在学当時の副学長(Executive Vice President)はゲイリー・バートンが務めていました。

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(2)へ続く

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JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(1)」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(2) | バークリー音楽大学 | TokyoとBostonをつなぐ音楽ブログ

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