愛を語らずに愛の詩を作る詩人「松本隆」


伝説的バンド「はっぴいえんど」は、細野晴臣、大滝詠一、鈴木茂、という、その後それぞれが音楽の各分野で活躍するグループでしたが、もう一人残るメンバーの元ドラマーの松本隆は、その後、作詞家として数多くの曲をヒットさせています。そして、私は松本隆の詩が大好きで、このブログでも、「はっぴいえんど」の世界を含めて、松本隆作詞の曲をいろいろ紹介しています。
松本が作詞をした曲は、オリコンランキングで1位になった曲が51曲と、群を抜いて多く、如何に日本人の心にぐっとくる詩を書いているか・・・もちろん、私も必ず松本の詩に共感してしまう一人です。

松本作詞の初の大ヒット曲は、太田裕美の歌った「木綿のハンカチーフ (作曲:筒美京平)」でした。

太田裕美|木綿のハンカチーフ
https://www.youtube.com/watch?v=VxtVQqBpooQ (YouTube)

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男と女、都会と田舎、素朴と虚飾、ダイヤと木綿、などなど、高度経済成長まっただ中で、大きく変わって行く日本。その変化の中、古き良き日本の風景が、新しい変化の中でどんどんモダンな風景になっていく様を、恋人同士の別れで表現しているように感じる切ない歌でした。
歌詞の中で、直接、「好き」という言葉は「草に寝ころぶあなたが好きだった」の1ヶ所だけですが、詩、全てから、どんなにこの二人が好き合っていたかが伝わってきます。また、今までの素朴な田舎から、都会という別世界に入って、その恋心が少しずつ、滲んで薄まってしまって行く様が、詩のストーリーから本当によく伝わってきます。男としては切なく、そしてほろ苦い気持ちになります。


マイ・フェイバリット・ウインター・ソングスで紹介しましたが、ストーリー性をもった詩として、好きな曲が、吉田拓郎が歌った「外は白い雪の夜」があります。

吉田拓郎|外は白い雪の夜
https://www.youtube.com/watch?v=kgINSg7txvg (YouTube)

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この曲のメロディも素晴らしいですが、詩も本当に素晴らしいです。

傷つけあって生きるより、慰めあって別れよう
今夜で別れと知っていながら、シャワーを浴びたの悲しいでしょう
最後の最後の化粧するから、私をきれいな想い出にして
いつもあなたの影を踏み、歩いた癖が直らない

たぶん、この女性像は男からみた、一つの”憧れの女性像”なのかもしれませんが・・・そして、もし、こういう別れ方をした男性は、実は、何十年経ったのちも、この別れた女性が忘れられないでいるかもしれませんね。ずっと、男性の心の中に入り込んでしまって・・

そして、「第45回NHK紅白歌合戦」に吉田拓郎が初出場して、この曲を歌いました。日野皓正(トランペット)、渡辺香津美(エレキギター)、宮川泰(キーボード)、日野元彦(ドラム)、大西順子(ピアノ)、石川鷹彦(アコースティックギター)、金沢英明(ウッドベース)、吉田建(ベース)という、すごいミュージシャン達がバックバンドで演奏していました。

吉田拓郎|外は白い雪の夜|第45回NHK紅白歌合戦(1994年)
https://www.youtube.com/watch?v=BllXF4HwPOk (YouTube)
映像が完全ではありませんが、エンディングの演奏が素晴らしいです。日本の一流Jazzミュージシャンの演奏です。


男の未練の歌です。”ルビー”は”情熱”ですが、この曲では別れの象徴となっています。

寺尾聰 | ルビーの指輪
https://www.youtube.com/watch?v=_3D-kKgd43Y (YouTube)

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オリコンシングルチャートで1位、TBS系「ザ・ベストテン」12週連続1位、日本テレビ系「ザ・トップテン」10週連続1位、という大ヒット曲。曲の最後のフレーズ、

そして二年の月日が流れ去り
街でベージュのコートを見かけると
指にルビーのリングを探すのさ
貴女を失ってから・・・・・・

男の未練でしょうか・・・
歌っていると、この歌詞の情景がリアルに浮かんできます。そして、一つのストーリーになって展開していきます。


松本隆は、多くの歌手に曲を書いていますが、特に、

  • 松田聖子(114曲)
  • 南佳孝(78曲)
  • 大滝詠一(29曲)
  • 吉田拓郎(29曲)
  • はっぴいえんど(25曲)
  • 太田裕美(16曲)

の歌手の歌が多く、ヒット曲もたくさんあります。

松本は、作詞をする神髄として、「自然体」であれと言っています。詩を書くとき、いろいろな邪念をそぎ取っていって自分が純粋に感じている世界に辿り着いた時、曲のメロディと詩とが一体となった歌の世界が生まれるということだと思います。
これは人に感動を与える人生の生き方そのもののような気がします。絵画、書物、音楽、映画、等芸術に限らず、人を導く「リーダー」の言葉も虚飾、技巧、小手先に満ちたもので無く、全ての飾りをそぎ落とした真の言葉であって欲しいと思います。
松本隆の言葉で、「『愛を語らずに愛の詩を作る』、これができたら、ラブソングの作詞ができます」という一節が耳から離れません。

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