思い出のドーナツ盤(7)の続き
前回はウェスト・コースト・ロックとしてドゥービー・ブラザーズとイーグルスのレコードを紹介しました。
何れもスタジオ・レコーディングでリリースされたアルバムには収録されていない曲であり、レアな音源かと思います。
今回もイーグルス繋がりとなります。
最初の紹介は、「ティモシー・シュミット(Timothy B. Schmit)」の「ソー・マッチ・イン・ラヴ(So Much In Love)」(1982年)です。
ティモシー・シュミットはランディー・マイズナーの後任としてイーグルスに加入したベーシストです。
この2人はミュージシャンとしての活動が似ており、ランディー・マイズナーはウェスト・コーストのグループ「ポコ(Poco)」を脱退しイーグルスに加入しますが、ランディー・マイズナーの後任としてポコに加入したのがティモシー・シュミットでした。
そのランディー・マイズナーも「ホテル・カリフォルニア」を最後にイーグルスを脱退しますが、その後任としてイーグルスに加入したのがポコを脱退したティモシー・シュミットでした。
ティモシーはアルバムはロングランからの参加ですが、大ヒット曲「言いだせなくて(I Can’t Tell You Why)」の歌声でお馴染みかと思います。
イーグルス(EAGLES) | 言いだせなくて(I Can’t Tell You Why)
https://www.youtube.com/watch?v=aCa9oLo65fk (YouTube)
また、先に紹介の「ふたりだけのクリスマス」のジャケットにも右隅に映っており、この曲がイーグルスとしての初仕事かと思います。
さて、今回紹介するソー・マッチ・イン・ラヴは、オリジナルは「タイムス(Tymes)」というグループが歌い、1963年6月にBillboardで1位を獲得した大ヒット曲です。
1982年のイーグルス解散後、ソロ活動を開始したティモシー・シュミットですが、映画「初体験リッジモンド・ハイ」のサウンド・トラックとしてレコーディングしたのがこの曲で、アメリカでもヒットとなり、実質的な初のソロ・シングルとも言えます。
多重録音を屈指したア・カペラ・スタイルのこの曲は日本ではパイオニアのミニ・コンポのCMソングとして使用されヒットとなりました。
山下達郎も多重録音によるア・カペラ・アルバム「On The Street Corner 2」でこの曲をカバーしています。
ティモシー・シュミット(Timothy B. Schmit) | ソー・マッチ・イン・ラヴ(So Much In Love)
http://www.youtube.com/watch?v=Q-TRYvuQz-g (YouTube)
その後、ティモシー・シュミットは1984年に「プレイン・イット・クール(Playin It Cool)」でアルバム・デビューとなりますが、このアルバムにも収録されています。
初めてジャケットを見た時の髪の毛の短さに驚きました。

続いての紹介は、今度はパイオイアのCMソング繋がりとなりますが、1980年に「PROJECT A77」という製品のイメージ・ソングとしてシングル盤でリリースされた、「愛のサスペンス(I Believe In You)」です。
この曲も1980年のリリースですのでシングル盤の購入としては遅いほうですが、CDがハード・ソフトとも世に出たのが1982年と、まだレコードの時代でした。
この頃になると聴く音楽もクロスオーバー、フュージョンが中心で、レコードもLP盤で購入することが多かったのですが、この曲はCMソングとしての企画物だったのかシングル盤のみのリリースでした。
曲の良さはもちろんですが、なによりボーカルがニューヨークのトップ・ベーシスト「ウィル・リー(Will Lee)」、演奏が「ニューヨーカーズ(Newyorkers)」という、やはりニューヨークのトップ・ミュージシャンが参加し、当時はブームとはいえ、CMソング1曲でこのメンバーとは、今では考えられないものでした内容でした。
歌と演奏はニューヨークのトップ・ミュージシャンですが、曲はCMソングという事で日本で作られ、何れも亡くなられてしまいましたが、作曲がブルーコメッツの「井上忠夫(大輔)」、作詞が「八木正生」、そして編曲が「鈴木宏昌(コルゲンさん)」と日本のトップ・ミュージシャンによるものです。
また、先日購入したジャンル毎にアーティストやアルバムを紹介するシンコーミュジック・エンタテイメント発行の「ディスク・コレクション」という書籍の「FUSION」編にも、「“レア音源”の宝庫、シングル盤&プロモ盤」としてこのレコードが紹介されていました。

ニューヨーカーズ メンバー
- ウィル・リー: ボーカル、エレクトリック・ベース
- スティヴ・ガッド: ドラムス
- マイケル・ブレッカー: テナー・サックス
- ランディ・ブレッカー: トランペット
- ジョン・ファディス: トランペット
- バリー・ロジャース; トロンボーン
- ウォーレン・バーンハート: キーボード
- クラッシャー・バネット: パーカッション
- クリフォード・モリース: ギター、ジョージ・ウェイドゥネアス
- 松木恒秀: ギター
(ジャケット裏面より)
YouTubeへ曲としての投稿もなく聴いていただくことができないのが出来ないのが残念です。曲は同じ演奏をバックに、A面がウィル・リーのボーカル、B面がインストゥルメンタルとして松木恒秀がメロディーを弾いています。
参考までに、パイオニアCM集という映像があり、当時のCMをご覧いただけます。
「愛のサスペンス」は7分31秒から15秒だけご覧いただけます。短く、音、映像とも良くないことをご了承ください。
また、15分41秒から先に紹介のソー・マッチ・イン・ラヴもあります。
1977~1993パイオニアCM集
http://www.youtube.com/watch?v=hYB-uumFAnE (YouTube)
因みに登場の女性は79年度プレイボーイ誌、No.1プレイ・メイト「ミッシェル・ドレーク」と書かれています。
このレコードは紹介を迷っていたのですが、たまたまワーナーのサイトを見ていると、ワーナーが今年の6月、7月に70年代、80年代のフュージョンの名盤を「
FUSION BEST COLLETION 1000」として復刻し販売しますが、何とこの曲がCD化され、このシリーズを3枚購入して応募すると200名に当たるとの事です。
CDとして販売しても聴きたい方は多いかと思うのですが、非売品とは残念です。
まずはCDを3枚購入しなければなりませんが、欲しいCDは何枚かあるものの、200名というのが困りものです。
レコードはCD-Rにしていますのでノイズを我慢して聴く事はできるのですが、是非ともCDで聴いてみたいです。
最後の紹介はウェスト・コーストを離れ大好きなハワイとなりますが、「ミュージック・マジック(Music Magic)」の「ワン・マン・レディ(One Man Lady)」(1981年)です。
この曲は「Ever Green」な曲を私も」でも紹介しましたが、ハワイで活動したフュージョン、AOR系のグループです。
この曲が収録されたアルバムはレコード(輸入盤、国内盤),CDとも購入しましたが、シングル盤がリリースされていると知りませんでした。
10年ほど前の事ですが、千葉県は鴨川に野外コンサートを見に行った時の事でした。
開演まで時間があり市内をブラブラしていると、外観はどう見ても雑貨屋か駄菓子屋といった古いお店でしたが、中を覗いてみるとレコード店でした。
狭い店で壁には演歌歌手のポスターが貼られていたりでしたが、片隅の洋楽コーナーで見つけたのがこのレコードでした。
サーフィンで有名な鴨川ですのでハワイの音楽を置いているのかとも思いましたが、どうみても店の雰囲気からはそれは無いのですが、これを見つけた時は驚き、即購入しました。
アルバムも国内盤は曲順を入れ替えこの曲を1曲目にするなど、私にとって今でもよく聴く「Ever Greenな曲」です。
これからの季節にもピッタリかと思います。
ミュージック・マジック(Music Magic) | ワン・マン・レディ(One Man Lady)
http://www.youtube.com/watch?v=K5ByDB0TPh4 (YouTube)
こちらのジャケット写真は、リンク先のAmazon.co.jpで、ご覧いただけます。
今はCDでしか聴いていませんが、このレコードを見ると当時の事を思い出します。
あのお店はどうなったのでしょうか?。
さて、イギリスから始まったこのシリーズですが、一旦、今回で終わりとなります。
まだまだ紹介したい曲も多くあります。邦楽曲もありますので、機会をみてまた紹介したいと思います。