思い出のドーナツ盤(4)の続き
思い出のドーナツ盤として私のコレクションからイギリスを中心にヨーロッパの曲を何曲か紹介しました。今回はヨーロッパを離れ、アメリカ、カナダの曲を紹介します。
最初の紹介は「ドーン(Dawn)」の「ノックは3回(Knock Three Times)」(1970年)です。
この曲を聴いたのも1970年と今から40年以上も前の事ですが、やはり当時はラジオで頻繁に流れ大ヒットとなりました。
ドーンはジャケットからもお判りのように4人組のグループです...と書きましたが、当時はドーンについての情報はジャケット写真や裏面の解説くらいしかなく、解説にもメンバー4人の紹介が書かれ、誰もがこの4人のグループだと思って聴いていました。
実はドーンも、思い出のドーナツ盤で紹介したエジソン・ライトハウスと同様に正体不明のグループで、1973年に「幸せの黄色いリボン(Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree)」が世界的な大ヒットとなった、「トニー・オーランド & ドーン(Tony Orlando & Dawn)(日本では当時はドーン)」という、トニー・オーランドとセッション・シンガーの女性2名による3人がドーンの正体だったのだとこの曲で初めて知りました。
- トニー・オーランド(Tony Orlando)
- ジョイス・ビンセント・ウィルソン(Joyce Vincent Wilson)
- テルマ・ホプキンス(Telma Hopkins)
ドーンの中心となるトニー・オーランドはハイ・スクールの頃から音楽活動を開始し、1960年にはソロ・シングルをリリースしています。
その後、ドン・ガーシュナーに認められ、ソング・ライターとしてドン・カーシュナーとアル・ネヴィンスが設立した音楽出版会社「アルドン・ミュージック」と契約となります。
アルドン・ミュージックといえば、契約作曲家にニール・セダカ、キャロル・キング、ジェリー・ゴフィン、フィル・スペクターなどが所属、ニューヨークにある同社が入居のブリル・ビルディングという建物には多くの音楽事務所などが入居し、当時この建物および周辺のミュージシャンによって数多くのヒット曲が誕生しアメリカ音楽の中心になった事から、ブリル・ビルディング・サウンドと呼ばれました。
また、ドン・ガーシュナーはアメリカン・ポップス界の中心人物で、当ブログで紹介のモンキーズを成功させた事でも知られています。
契約後、ドン・ガーシュナーの勧めで歌手となり10枚のシングルをリリースしますが、チャートに登場した曲も3曲とヒットとはならず、歌手を断念し、レコード会社、そして音楽出版社に勤めることとなります。
音楽出版社に勤めていた時の事、友人が売り込みに来た曲を気に入りレコード化したいと働きかけ、ベル・レコード(ジャケット左上のロゴでお馴染み)と契約を結びます。
ここで問題となったのが誰に歌わせるかでしたが、売り込みの為に作成したデモ・テープで歌ったトニー・オーランドが採用となり、歌手に戻る気のなかったトニー・オーランドは名前を出さないことを条件にセッション・シンガーのジョイス、テルマの2人を迎え録音したのが「恋するキャンディダ(Candida)」で、この曲、この3人によってドーンがデビューとなります。
このような経緯で作られた曲ですが、1970年にBillboard最高3位、続く今回紹介のノックは3回も同年に1位となり、レコード・セールスだけでなくライブ活動の必要性が出てきました。
表舞台に出ることにト二ー・オーランドは渋々承諾しましたが、他の女性2人はあくまでもセッション・シンガーとしてレコーディングに参加した事もあり、2人がドーンとして表に出ることの交渉に時間が掛かるだろうとという事から、当初はジャケットの4人をドーンのメンバーだという事にしました。
その後はメンバーを全員入れ替え、ようやくトニー・オーランドが登場し、今度は6人組みのグループという事にしました。
やがて2人も承諾し正式にドーンがデビューとなりましたが、この曲以降はドーンは聴かなかったのか、前記のように、幸せの黄色いリボンのヒットでこの事を知りました。
「ノックは3回」と、ドーンと言えばこの曲「幸せの黄色いリボン」を紹介します。
ドーン(Dawn) | ノックは3回(Knock Three Times)
http://www.youtube.com/watch?v=9Px3_g9qOc4 (YouTube)
トニー・オーランド & ドーン(Tony Orlando & Dawn) | 幸せの黄色いリボン(Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree)
http://www.youtube.com/watch?v=wWn1Oj2V7Xw (YouTube)
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その後、ヒット曲も何曲かリリースし活躍しますが、トニー・オーランドの独立とともにドーンは消滅となります。
続いての紹介は「ザ・オリジナル・キャスト(The Original Caste)」の「ミスター・マンディ(Mr. Monday)」(1970年)です。
ザ・オリジナル・キャストはカナダのカルガリー出身の5人組のグループです。
このグループの魅力はやはり「ディクシー・リー・イネス」という女性リード・ボーカルの歌声かと思います。
母国カナダでは人気があったようですが、アメリカ進出として活動拠点をロサンゼルスへ移し、シングル「天使の兵隊(One Tin Solder)」、そしてアルバムをリリースしますが、アメリカでは「天使の兵隊」は1970年2月のBillboard最高34位で終わっています。
私は天使の兵隊は知らなかったのですが、続く今回紹介のミスター・マンディでザ・オリジナル・キャストを知りました。
2曲ともカナダでは大ヒットしたようですが、アメリカでは「Billboard Top 40 Hits」という私がチャートの参考にしている書籍を見ても40位以内には「天使の兵隊」の1曲しか掲載されておらず、ミスター・マンディもアメリカではヒットとはならなかったようです。
日本では当時、このミスター・マンディもラジオで頻繁に流れ大ヒットとなり、私もですが、このシングルを購入した友人も結構いたほどの人気でした。
私はこのシングルしか購入していませんが、日本ではこの後も「愛する未来に歌おう」「虹をかけよう」「カム・トゥゲザー」「朝やけの二人」が連続ヒットとなり、来日公演も行い、その演奏がライブ・イン・ジャパンとしてアルバムもリリースされています。
ミスター・マンディはザ・オリジナル・キャストの自作曲ではなく、グループのプロデューサーであり腕利きソングライターチームでもある、デニス・ランバートとブライアン・ポッター作です。
ダンヒル・サウンドでも紹介した「ハミルトン、ジョー・フランク&レイノルズ」の「恋のかけひき」もこの2人による曲と大ヒット曲も多く、この曲の良さもお判りかと思います。
アメリカでもヒットしそうな曲調だと思うのは私だけでしょうか。
ザ・オリジナル・キャスト(The Original Caste) | ミスター・マンディ(Mr. Monday)
http://www.youtube.com/watch?v=XfVO74K2WeM (YouTube)
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Billboard Top 40 Hitsという書籍を紹介しましたが、チャートを調べるのには役立つ1冊です。
最初に購入したのは1985年でしたが、時代とともに現在は9th Editionとなっています。
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最後に紹介する曲もカナダ出身のグループ、「マッシュマッカーン(Mashmakhan)」の「霧の中の二人(As The Years Go By)」(1970年)です。
「マッシュマッカーン」はカナダはモントリオール出身の4人組のグループです。
この「霧の中の二人」も当時はラジオで頻繁に流れ大ヒットとなり、日本のオリコン・チャートでも1971年の1月11日、18日に邦楽を抜き1位を獲得しています。
因みに1月11日の2位は「ザ・ショッキング・ブルー」の「悲しき鉄道員」、3位が「ジェリー・ウォレス」の「男の世界」と洋楽です。
しかし、母国であるカナダで日本のようなヒットとはならず、アメリカでも1970年11月にBillboard最高31位で終わっています。
私はシングル盤ではなく、掲載のジャケットのようにコンパクト盤と呼ばれる、今で言うマキシ・シングルのような1枚に4曲収録されたものでした。コンパクト盤はサイズはシングル盤と同じ17cmですが、回転はLP盤と同じ33回転です。
当時はこのような日本のみの企画盤がヒット・シリーズとしてリリースされました。
私が購入したこのコンパクト盤はシリーズの1枚ですが、来日記念盤として販売されました。
この来日とは、当時、嵐雨の中で開催され伝説となった、グランド・ファンク・レイルロードの後楽園球場コンザートの前座としての出演でした。
フランス語圏で日常会話もフランス語であるモントリオール出身なだけに、聴かれる方によっては英語の発音が…かもしれませんが、英語を学び始めた頃でしたので気にもなりませんでした(今聴いてもですが)。
曲調も日本人(グループ・サウンズ世代?)に受けそうな感じで、ヒットとなったのではと思います。
マッシュマッカーン(Mashmakhan) | 霧の中の二人(As The Years Go By)
http://www.youtube.com/watch?v=uNAmfCq6zRo (YouTube)
尚、コンパクト盤で聴いてみたのですが、イントロのオルガンのみの部分はカットされています。シングル盤はどうだったか忘れてしまいました。
また、2枚のコンピレーションCDも1枚はオリジナル、1枚はカットされた曲が収録されていした。
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この曲に続きセカンド・シングル「水色の世界(Gladwin)」をリリースしますが、ヒットとはなりませんでした。
思い出のドーナツ盤(6)に続く