新・名盤探検隊のお気に入り(2)の続き
これまで新・名盤探検隊のお気に入りとして、アメリカ東部、南部のミュージシャンを紹介しましたが、やはり最後はアメリカ西部、ウェスト・コーストのミュージシャンを2回に渡って紹介します。
ネッド・ドヒニー(Ned Doheny)
- ネッド・ドヒニー・ファースト(Ned Doheny)
今回紹介のアルバムは「ネッド・ドヒニー」の同名タイトル「ネッド・ドヒニー」です。
私が最初にネッド・ドヒニーを聴いたのはセカンド・アルバム「ハード・キャンディ」でした。 以降もベストを含め何枚か購入しましたが、何故かファースト・アルバムだけは聴いていませんでした。
ネッド・ドヒニーは1948年、ロサンゼルス生まれのシンガーソングライターです。 ロサンゼルスでも有名な財閥の家系というのは知っていましたが、調べてみると祖父がエドワード・ドヒニーという、ブラック・ゴールド・ラッシュと呼ばれる金ならぬ石油を掘り当て巨万の富を得た人物です。
その財力は凄く、地元への貢献もあり、ビバリーヒルズには「ドヘニー通り」と名前が付けられた道があります。また、その道沿いに息子のために建てたドヘニー・マンションと呼ばれた豪邸があり、多くの映画の撮影地としても使用されています。
ご覧になった方も多いかと思いますが、、映画「ボディー・ガード」でホイットニー・ヒューストン演じるレイチェルの住む豪邸、あの豪邸がネッド・ドヒニーの生家という事からもその凄さがお判りかと思います。 現在はビバリーヒルズが管理しグレイストン・マンション公園と呼ばれ、観光スポットとして人気のようです。
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子供の頃から父の膨大なレコード・コレクションやラジオで音楽に目覚め、8歳からギターを弾きはじめます。すでにハイ・スクールではバンドを結成をし、演奏もサーフ・ロックと、如何にもロサンゼルスだなと思います。
やがてロサンゼルスの名門ライブ・ハウス「トルバドゥール」に出入りするようになり、そこでジャクソン・ブラウンらと交流を持ち、一緒に音楽活動を行います。また、プロとしての活動ではジャズのサックス奏者、チャールズ・ロイドのバンドにギタリストとしてツアーに参加するなど、ネッドにとっては作曲などを学ぶ良い機会となります。
その後、イギリスの人気グループ、トラフィックの活動休止とともに頻繁にロサンゼルスに来ていたギタリストのデイブ・メイソンと交流を持ち、ライブを一緒に行なったりします。 また、デイブと交流のあったキャス・エリオット(ママス&パパス)とも親しくなり。3人でグループ結成の話となりますが、実現とはなりませんでした。
なお、デイブ・メイソンとキャス・エリオットは2人組によるアルバムを1971年にリリースしますが、このアルバムにネッド・ドヒニーは「オン・アンド・オン」という曲を提供しています。
やがてネッド・ドヒニーにもチャンスが訪れ、ジャクソン・ブラウンの紹介でデヴィッド・ゲフィンが設立したばかりのレーベル、アサイラムと契約となり、1973年に今回紹介のファースト・アルバムのリリースとなります。
アサイラムは皆さんご存知のとおり、ジャクソン・ブラウン、イーグルス、J.D.サウザーなど当時としてはまだ新人や、リンダ・ロンシュタットやジョニ・ミッチェルを移籍により獲得し何れも大ヒットさせるなど、ウェスト・コーストを代表する名門レーベルです。
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このアルバムについてですが、先に聴いたセカンド・アルバムのような派手さはありませんが私好みの曲ばかりで、どの曲もアコースティック・ギターが心地よく、まさにウェスト・コースト・サウンドかと思います。
ファーストアルバム1曲目の「ファインライン」と「デイブ・メイソン&キャス・エリオット」にも収録された「オン・アンド・オン」です。
ネッド・ドヒニー(Ned Doheny)|ファインライン(Fineline)
http://www.youtube.com/watch?v=W1dGvgciTuc (YouTube)
ネッド・ドヒニー(Ned Doheny)|オン・アンド・オン(On and On) http://www.youtube.com/watch?v=F8PB07-0Brw (YouTube)
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残念ながら、アサイラムからはこのファースト・アルバムのみでCBSへ移籍し、1976年にAORファンにも人気の名盤「ハード・キャンディ」、そしてアメリカではリリースされず日本のみとなった「プローン」が1979年にリリースとなります(のちにヨーロッパでもリリース)。
アルバムのリリースはこの3枚のみで、以降はアーティストへの曲の提供といった活動となり、代表曲として「アヴェレイジ・ホワイト・バンド」の「ハミッシュ・スチュアート」との共作で、「チャカ・カーン」でヒットとなった「ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー」などがあります。
そしてプローンから9年近くと月日が経ちますが、何と日本の「ポリスター」と1988年に契約し、ベスト盤を含め5枚のアルバムをリリースしています。
また、日本とは関わりも深く、ポリスター絡みのようですが、FM横浜で1990年から1991年の日曜のお昼に放送された「ポストカーズ・フロム・ハリウッド」という番組のDJとして活動しました。
月に1度アコースティック・ギター1本による弾き語りを紹介し、この曲を集めたアルバムが1991年にポリスターからの1枚としてリリースされています。
ギター1本とシンプルではありますが、ボーカル、ギターとも心地よく、私も購入しよく聴きました。
番組名のポストカーズ・フロム・ハリウッドは曲のタイトルでもあり、この曲もオリジナルがファーストに収録されています。
ネッド・ドヒニー(Ned Doheny)|ポストカード・フロム・ハリウッド(Postcards From Hollywood)
http://www.youtube.com/watch?v=xXY0-_jONC8 (YouTube)
その後の活動については詳しくないのですが、2010年に17年振りとなる自主製作のアルバムをリリースしています。 新曲ではなく、ポリスター時代の曲のセルフ・カバーといった内容です。
そして、同年には16年振りとなる来日を果たし、東京と大阪でライブが行われています。 また、2011年3月にもプライベートでも来日し、忘れる事のない3月11日、その日は東京にいたとの事です。
新・名盤探検隊のお気に入り(4)へ続く