「新星続々 ジャズ界活況」と云った記事(読売新聞2018年7月28日付 「週刊エンタメ」)で特集されていたように、ジャズ界を中心に若手ミュージシャンの台頭が注目されているようです。特に、その記事によると、
1940年代後半から50年代にかけての、進駐軍ジャズの時代、70年代のフュージョン・ブームの時代と、日本ジャズ界は黄金期を築いたが、その後、若者のジャズは離れが進み、90年代以降、新陳代謝がなかなか進まず、停滞傾向が続いていた。そんな中、2003年デビューのピアニスト、上原ひろみが世界的な活躍を展開、この状況に風穴を開けていた。そして、ここにきての新たな流れ。
ジャズ評論家の児山紀芳は「新鋭が続々と飛躍した1960~1970年代の活況に似ている」…
まずはその記事にも登場している1991年生まれで、千葉県流山市出身の「曽根麻央(そねまお)」です。彼の公式ウェブサイトによると、18歳でバークリー音楽大学より全額奨学金を得て渡米し、2016年には同大学の修士(Master)課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業した若き俊英です。その彼がこの4月に異例の2枚組セルフ・プロデュース・メジャー・デビュー・アルバム「曽根麻央(Mao Sone) | インフィニット・クリーチャー(Infinite Creature)」を発表しています。
曽根麻央 (MAO SONÈ)|インフィニット・クリーチャー( INFINITE CREATURE)
https://www.youtube.com/watch?v=W_5c_PggLKk (YouTube)
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このアルバムのディスク1がアコーステック、ディスク2がエレクトリックの構成になっています。各々のメンバーは次の通りです。
[DISC 1-Acoustic]
・Mao Soné – trumpet, piano, percussions, voice
・Yuji Ito(伊藤勇司) – acoustic bass
・Misaki Nakamichi (中道みさき)– drums
-guest musicians-
・Tact Yamada(山田拓斗) – violin , mandolin
・Masateru Nishikata(西方正輝) – cello
[DISC 2-Electric]
・Mao Soné – trumpet, flugelhorn, piano, synthesizers, percussions, voice
・May Inoue (井上銘)– guitar
・Ren Yamamoto (山本連)– electric bass
・Hiro Kimura (木村紘)– drums
アコースティックのトリオによるライブ映像があります。
Mao Soné Trio | Grateful [名古屋スターアイズにて]
https://www.youtube.com/watch?v=JpWmYjy_1sU (YouTube)
以前、当ブログ記事(横濱ジャズプロムナード ジャズ・コンペティション(1)、(2))で紹介した「中道みさき」の成長した姿があります。当時高校生であった彼女は、その後一旦は和歌山大学に入学したようですが、一年後にこちらもバークリー音楽大学の全額奨学金を受け2013年に単身渡米、飛び級にて3年間で優秀な成績を修め卒業とのことです。
テリ・リン・キャリントン(Terri Lyne Carrington)仕込みのドラムを確かめて下さい。こちらも以前の記事(JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(2))に登場したテリ・リン・キャリントンがバークリーで教えていました。
そして一方のエレクトリック・カルテットの映像はこちらです。
Mao Soné Quartet |SkyFloor : Brightness Of The Lives [曽根麻央]
https://www.youtube.com/watch?v=BXPVu2yRW-U (YouTube)
このカルテットにも、過去の記事(60年代の高校生とジャズ「坂道のアポロン」)に登場した「井上銘」がギターで参加しています。彼は昨年3作目となるリーダーアルバム「井上銘 | STEREO CHAMP(ステレオチャンプ)」をリリースしています。
MAY INOUE | STEREO CHAMP : BLUE NOTE TOKYO 2018 trailer
https://www.youtube.com/watch?v=XuZLIvIXBqU (YouTube)
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更に、読売新聞の記事に登場したミュージシャンにBIGYUKI(ビッグユキ、平野雅之[ひらの・まさゆき])がいます。ニューヨークで活動中の彼に密着したドキュメンタリー番組が3月に放映されました。
ニューヨーク この街で生きる BIGYUKI (NHK BS1『明日世界が終わるとしても』)
https://www.youtube.com/watch?v=Vb_GUdGKDgI (YouTube)
ニューヨークでは多くの有名ミュージシャンのサイドマンとして活躍する他、自らの名義BIGYUKIとしては2016年6月に「グリーク・ファイアー(Greek Fire)」、2017年11月に「リーチング・フォー・ケイローン(Reaching For Chiron)」をリリースしています。
そんな彼の紹介記事があります。
【〈越境〉するプレイヤーたち】第5回:BIGYUKI (music review site “MiKiKi”)
この記事のインタビューの中で「BIGYUKI」の名前の由来について次のように語っています。
「バークリー音大に金坂征広(かねさかゆきひろ)ってヤツがいたんですよ。あいつのあだ名がYUKIで、俺も雅之だからYUKIと呼ばれていて。それで最初は、俺が金髪だったから〈キンユキ〉と呼ばれていたんですけど、そのうち金坂のほうもわかりづらいという話になって、あいつは俺より背が低かったからチビユキになって、〈じゃ、お前はデカユキだ〉と。それでいまでも、俺はデカユキ=BIGYUKIなんです」
このブログでも度々登場している金坂征広( monolog こと Yuki Kaneska )との区別が BIGYUKI の名前に繋がったようです。
尚、人気お笑いコンビ「野生爆弾」の「くっきー」が制作した新曲「BIGYUKI | 2060 Chiron」のミュージック・ビデオが公開されています。
BIGYUKI | 2060 Chiron
https://www.youtube.com/watch?v=e2MshM0reYQ (YouTube)