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映画「セッション」にみる指導論


先日、ジャズ・サックスをずっと続けている友人から、映画「セッション」、面白そうだから行こうと誘われ、ドラミングをちょっと齧った端くれとして、この映画は是非観ておかなければと。
もちろん、「セッション」は映画としても評判の高い作品ということもありましたので。

セッションWhiplash)」は昨年(2014年)、米国で製作・公開された映画です。監督・脚本はデミアン・チャゼル(Damien Chazelle)、主演はマイルズ・テラー(Miles Teller)。第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、J・K・シモンズ(J.K. Simmons)が助演男優賞を受賞、その他「編集賞」、「録音賞」を受賞しました。

映画『セッション』公式サイト

舞台となった音楽大学のモデルは、残念ながら、「バークリー」ではなく、「ジュリアード音楽院The Juilliard School)」のようですが・・・

映画の原題で、劇中で何度も演奏される「ウィップラッシュWhiplash)」は1973年にハンク・レヴィが作曲した曲です。
目まぐるしくリズムが変わる激しいジャズナンバーで、ダイナミックなアンサンブルが乗りの良さを味あわせてくれる1曲です。

ハンク・レヴィ(Hank Levy)|ウィップラッシュ(Whiplash)
https://www.youtube.com/watch?v=HJrTYOyXHA0 (YouTube)

ハンク・レヴィは「変拍子の神様」と言われたトランペッター「ドン・エリス(Don Ellis:フレンチ・コネクションの音楽を担当)」のビッグバンドのコンポーザーとして数多くの作品を残しています。「ウィップラッシュ」もその中の一曲です。曲の中で目まぐるしくリズムの変わる曲作りを好むことで有名でした。

ドン・エリス(Don Ellis)|ウィップラッシュ(Whiplash)
https://www.youtube.com/watch?v=pCykgzrwIw0 (YouTube)

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「ウリップ」は「ムチ」で、「ラッシュ」は激しく叩く、という意味です。
「バディ・リッチ」を目指す、ジャズドラマー志望の男子学生が、有名な音楽院に入学して、そこで有名な先生に出会い、その先生のやっているビッグバンドのドラムを担当させてもらうのですが、そこで、まさに「ウィップラッシュ」「鞭打ち」にも似た厳しい指導にあいます。ストーリーは2転3転していきますが・・・
(ネタばれでは無いのでストーリーは映画を観てのお楽しみということで)

映画の中で、先生が何故、生徒にとても厳しくするのかを語るシーンがあります。
その中で、「チャーリー・パーカー」という有名なジャズミュージシャンが、17歳の時、「リノ・クラブ」というところで「カウント・ベイシー・オーケストラ」のジャムセッションに参加していた時、「I Got Rhythm」を演奏中、ハイになりすぎて演奏をロストして、ドラマーの「ジョー・ジョーンズ」にシンバルを投げつけられ、演奏中止になる屈辱を受けた・・・。だけど、「チャーリー・パーカー」はこの屈辱に反発し、更にサックスの猛特訓をして、一層演奏に磨きをかけ、「バード」と言われる天才ジャズマン、サックスのモダンジャズの先駆者になったんだと話します。
その時、シンバルを投げつけられなければ、チャーリー・パーカーは「バード」にはなれなかったんだ!と。
だから先生は並みのジャズメンを育てるのでは無く、真の天才ジャズメンを創る出すために、身を削って教えてきたんだ・・・と。

チャーリー・パーカー(Charlie Parker)|アイ・ゴット・リズム(I’ve Got Rhythm)
https://www.youtube.com/watch?v=3fgxyyrqZ-I (YouTube)

After You’ve Gone

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そして、主人公が先生に奈落の底に突き落とされる、その後、凛として先生に立ち向かい、バディ・リッチをも凌ぐ、一流ジャズ・ドラマーとして羽ばたいていくということを想像させる一曲が、キャラバン(Caravan)です。

バディ・リッチ(Buddy Rich)|キャラバン(Caravan)
https://www.youtube.com/watch?v=Eq1z0nOPSbs (YouTube)

Blues Caravan (Dig)

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この映画は、ジャズ、ドラミングの音楽映画ではありますが、所謂、「根性もの」の映画で、「先生」と「生徒」の、漫画「明日のジョー」を彷彿とさせる、殴り合い(精神的)の映画だと思いました。そして、何事にもくじけずに、「何くそ」の精神で突き進んで行く事で本物になっていくのだ!という。

横濱ジャズプロムナード ジャズ・コンペティション(1)


Hiroさんがジャズの街「横浜」で紹介した「横濱ジャズプロムナード」ですが、その楽しみ方は幾つかあります。

一般的には、有料のフリーパス(当日:5,000円、前売り:4,000円)を購入して、お目当てのミュージシャンやバンドを中心に「ホールライブ」や「Jazz Club」めぐりだと思います。開催2日間共通のの「両日券」や「ペア券」を購入すれば、更に安くチケットが買えます。
日本でも、これだけ多くのジャズ・ミュージシャンが出演するイベントは他に無いと思います。大ベテランから若手まで、多少のジャズ好きでも、知っているミュージシャンに出会えると思います。

もう一つは、市内の街角や観光スポットがステージになる「街角ライブ」です。ジャズの音色に耳を傾けながら、秋の「横浜みなとみらい周辺のぶらり散歩」を楽しむのも良いでしょう。
また、無料ライブ会場となっている「ランドマークプラザ」では、若手ジャズ・ミュージシャンの演奏も楽しむことができます。
「街角ライブ」なら、食事やショッピング以外の余計な出費はありません。

そして、私が個人的に一番楽しみにしているのが「ジャズ・コンペティション」です。
新人ミュージシャンの登竜門として位置付けられるこのコンペティションは、ジャズプロムナードの開催日より前に決勝大会が行われました。
そしてジャズ・プロムナードでは、この大会のグランプリ・バンドのライブ演奏を、「ランドマークプラザ」で楽しむことができました。比較的音響効果も良く、通りがかりに誰でも楽しめる絶好のライブ会場です。

この「ジャズ・コンペティション」ですが、2011年と2012年と2年連続で開催されていません。非常に残念なことです。

その最後になった2010年の「ジャズ・コンペティション」は、「横浜赤レンガ倉庫1号館」ホールで行われました。

並み居る実力派バンドを尻目にグランプリを獲得したのは、スーパー女子高校生(当時)二人が中心の「あきは・みさき・BAND」でした。
グランプリ獲得後、ジャズプロムナード1日目にランドマークプラザで行ったライブ演奏の映像があります。

あきは・みさき・BAND|Byrd Like @YOKOHAMA JAZZ PROMENADE 2010

サックスの中島あきは(なかしまあきは、1992年和歌山県生まれ)は高校3年生、ドラムの中道みさき(なかみちみさき、1993年大阪府生まれ)は高校2年生でした。
二人は2008年にそれぞれ16歳と15歳で出場した、「神戸ネクストジャズ・コンペティション」の決勝大会で知り合い、バンド結成に至ったようです。
この時「みさき」は最年少での決勝進出でした。
「あきは」は中学入学の頃流行った上野樹里主演の「スウィング・ガールズ」に憧れ、「みさき」は小学6年生の時に「上原ひろみ」に感銘を受け、それぞれ「JAZZ」に傾倒したようです。
その時の「ジャズ・コンペティション 2010」入賞者は次の通りです。

  • グランプリ:あきは・みさき・BAND
  • ベストプレイヤー賞:中道みさき(ドラム)from あきは・みさき・BAND
  • ジャズクラブ賞&洗足学園音楽大学賞:二見勇気トリオ
  • 横浜市民賞:山吹桜・東野恵祐Duo
  • よしだまちアート&ジャズタウン賞:嘉本信一郎トリオ

それぞれ既に実績のあるバンドです。
「山吹桜・東野恵祐Duo」はバークリー音楽大学を卒業したばかりの二人組みでした。
これらのバンド以外に、「既に、新人とは言い難い」として賞を逃したグループには、同大のパフォーマンス、ジャズコンポジション学科を首席で卒業したばかりの伊東亜紀子(Flute)率いる、多国籍の「Happy Dreams」が出場していました。
全員がバークリー卒の「Happy Dreams」による彼女のアルバム、「伊東亜紀子|メモリー・レーン~思い出の小道」(2011年)があります。

メモリー・レーン~思い出の小道

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お洒落なブラジリアン・サウンドに仕上がっています。
尚、このアルバムには、monologことYuki Kanesakaがレコーディング&ミックス・エンジニアとして参加しています。
その中の代表曲、「エウ・アーモ・オ・ブラジル(Eu amo o Brasil)」の映像があります。彼女がバークリー時代に行った、BPC(Berklee Performance Center)における演奏風景です。
三重県桑名のお姫様コンテスト優勝経験を持つ、彼女の演奏をご覧下さい。

Akiko Ito|Eu amo o Brasil
http://www.youtube.com/watch?v=6JYtZtecYYQ (YouTube)

審査の舞台裏では喧々諤々(けんけんがくがく)、意見は色々あったと思います。更に、大変だったのは結果発表でのできごとでした。

結果発表も大詰め、最後の「グランプリ」発表の際に、大問題が起きました。
審査委員長(本人は委員長代理を主張していました)の、ピアニスト板橋文夫(1949年生まれ)による発表の時、「あきは・みさき・BAND」のメンバーは誰一人ステージに現れなかったのです。

 横濱ジャズプロムナード ジャズ・コンペティション(2)に続く