タグ別アーカイブ: はっぴいえんど

「高田渡」の歌に思うこと


はっぴいえんど(大滝詠一、細野晴臣、鈴木茂、松本隆)」を一番最初に評価したのは、「高田渡」だったとの事です。(大滝詠一談)それは、1970年ごろに、「はっぴいえんど」が「ロック」に「日本語の歌詞」を載せて歌う試みを始め、日本の新しい音楽の方向を模索していたからだとの事です。

そして、そのころ「はっぴいえんど」は「高田」のライブのバックバンドをしてたり、高田が1971年にリリースし、一番売れたアルバム、「ごあいさつ」の中の曲のバック演奏も担当していました。

「ごあいさつ」からシングルカットされた「しらみの旅」は、「高田渡+はっぴえんど」のヒット曲です。「流浪の旅」を原曲に、すでに替え歌としてあった元歌は、明治・大正の演歌師「添田 唖蝉坊(そえだ あぜんぼう」の「しらみの旅」。それがあまりにも暗い曲なので、明るいマウンテンミュージックの「弾丸列車 ワダッシュキャノンボール(Wabash Cannon Ball)」のメロディに乗せて、かつ「チャックべりー(Chuck Berry)」のリズムに変えて歌ったのが、「しらみの旅」との事です。

高田渡+はっぴいえんど|しらみの旅
https://www.youtube.com/watch?v=9g6rmzpvp8Q (YouTube)

ごあいさつ

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「流浪の旅」は何故か、そのメロディをおぼろげながら覚えています。東海林太郎(昭和初期の歌手)や鶴田浩二(戦後の東映映画の主要な俳優)がカバーして歌っていました。
高田の「しらみの旅」は、フォークロックの曲調でとても乗りやすく、今聴いても全く時代の異和感は感じません。

高田渡は、日本を代表する「フォークシンガー」一人だと思います。1949年生まれで、56歳で他界しています。高田の書く曲の歌詞は、シニカルではありますが、決して冷笑的、嘲笑的ではありません。極めて真実を衝いた普遍的な詩となっています。そして、その詩をアメリカの伝統的フォークソングの曲に乗せて歌っています。高田は、「歌とは」の根本に、「歌は、床下からでてくる」という思想、「長く歌われる歌は、宣伝で無理やりヒットさせた曲では無く、ましてや国や支配している側が無理やり流行らせるものでも無く、自然と、人々の中で歌い継がれていく歌である」という哲学的思想にも似た考え方をもっていました。その事が亡くなって10年経ちますが、今でも高田の歌を聴く多くの人を魅了し続けている原点になっているのではと思います。

高田渡|自衛隊に入ろう
https://www.youtube.com/watch?v=mOwvbjEge_I (YouTube)

GROOVIN’昭和!4~自衛隊に入ろう

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マルビナ・レイノルズ(Malvina Reynolds)の「アンドーラ」という曲が原曲です。1969年4月にURCレコードより発売されました。
歌詞の内容は「自衛隊」を風刺し皮肉が込められていますが、嘘か本当か、防衛庁から、自衛隊のPRソングと使いたいとのオファーがあったとの事でした。一時、日本民間放送連盟が要注意歌謡曲に指定し放送禁止歌となりましたが、現在では放送禁止の扱いではありません。
2015年の今、「自衛隊に入ろう」を聴くと、歌詞が皮肉に聴こえなく、まさに真面目に自衛隊の入隊キャンペーン・ソングとして聴こえてしまいます。ここ40年で時代、世の中が大きく変ってしまったように思います。

高田渡|夕暮れ
https://www.youtube.com/watch?v=5R6nj3cBCfI (YouTube)

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この詩がすごくいいです。

夕暮れの町で ボクは見る
自分の場所からはみだしてしまった
多くのひとびとを
夕暮れのビヤホールで ひとり一杯の
ジョッキーをまえに 斜めに座る
その目がこの世の誰とも 交わらないところをえらぶ
そうやってたかだか 三十分か一時間

雪の降りしきる夕暮れ ひとりパチンコ屋で
流行歌の中で 遠い昔の中と
その目は厚板ガラスの向こうの 銀の月を追いかける
そうやって たかだか 三十分か一時間

たそがれがその日の夕暮れと 折り重なるほんのひととき
そうやってたかだか 三十分か一時間

夕暮れの町で ボクは見る
自分の場所からはみだしてしまった
多くのひとびとを

世の中のしがらみから逃避したくなるひととき、夕暮れ。
酒の力を借りて、やりきれなさから、ほんのわずかな時間解放されたくなる。
そして、まわりには自分のような人たちでいっぱい。

歌った後の、「どうもありがとうございました」が暖かいですね。

「ナイアガラ・トライアングル」に「夢で逢えたら」


はっぴいえんど解散後、大滝詠一は、1974年に自主レーベル「ナイアガラレコード」を設立しました。名前の由来は、大滝=ナイアガラです。

そして、「NIAGARA TRIANGLE Vol.1(ナイアガラ・トライアングル ヴォリューム・ワン)」は、1976年に発売されました。
「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」は大滝詠一、山下達郎伊藤銀次、3名のシンガーソングライター、プロデューサーが、各々の曲を持ち寄って、アルバムを作るという、それまでのレコード業界で無かったやり方でレコーディングされました。
大滝が、「ごまのはえ」というバンドで活動を始めていた伊藤銀次、「シュガー・ベイブ」で活動していた山下達郎を誘い、音楽的のにもいろいろ新しい手法を駆使してレコーディングしました。

NIAGARA TRIANGLE Vol.1
SIDE A:

  • ドリーミング・デイ
    作詞 : 大貫妙子、作曲・編曲 : 山下達郎
  • パレード
    作詞・作曲・編曲 : 山下達郎
  • 遅すぎた別れ
    作詞 : 伊藤銀次、作曲・編曲 : 山下達郎
  • 日射病
    作詞・作曲・編曲 : 伊藤銀次
  • ココナツ・ホリデイ’76
    作曲・編曲 : 伊藤銀次

SIDE B:

  • 幸せにさよなら
    作詞・作曲・編曲 : 伊藤銀次
  • 新無頼横町
    作詞・作曲・編曲 : 伊藤銀次
  • フライング・キッド
    作詞 : 吉田美奈子、作曲・編曲 : 山下達郎
  • FUSSA STRUT Part-1
    作曲・編曲 : 大滝詠一
  • 夜明け前の浜辺
    作詞・作曲・編曲 : 大滝詠一
  • ナイアガラ音頭
    作詞・作曲・編曲 : 大滝詠一

この「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」で一番の話題になった曲は、布谷文夫(ぬのや・ふみお)が歌う「ナイガラ音頭」でした。
また、ほとんどの曲のキーボートは坂本龍一が担当しています。そして、パーカッションの齋藤のぶ、ベースの吉田健と、大滝、山下、伊藤に加えて、次に来るの音楽シーンに無くてはならないミュージシャンたちががこのレコーディングには参加しています。

伊藤銀次|幸せにさよなら
https://www.youtube.com/watch?v=DCBMp0tD2G4 (YouTube)

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伊藤銀次のプロとしての音楽キャリアが始まった曲と言われています。大滝にこの曲を聴いてもらい、大滝もこの曲を気にいって、「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」を作る時大滝が誘ってくれたきっかけになった曲との事です。

「NIAGARA TRIANGLE Vol.2(ナイアガラ・トライアングル ヴォリューム・ツー)」は、1982年3月発売されました。大滝詠一、佐野元春杉真理、メンバー3人の2作目のスタジオ・アルバム。
1981年7月、「新宿のルイード」で行われた「JAPACON(ジャパコン・ウィーク)」で、大滝詠一がお客さんに向かって「Vol.2を杉と佐野と作ろうと思っている!」と発表して、その場で作ることが決まったとの事です。

3人は共に大好きな「リヴァプール・サウンド」を基本テーマに、各自が持つ独自のセンスを発揮した楽曲で構成されたアルバムとなりました。このアルバムは、オリコンで最高2位を記録し、50万枚の販売したヒットアルバムになりました。

NIAGARA TRIANGLE Vol.2
SIDE 1:

  • A面で恋をして
    作詞 / 松本隆、作曲 / 大滝詠一
  • 彼女はデリケート
    作詞・作曲 / 佐野元春
  • Bye Bye C-Boy
    作詞・作曲 / 佐野元春
  • マンハッタンブリッヂにたたずんで
    作詞・作曲 / 佐野元春
  • Nobody
    作詞・作曲 / 杉真理
  • ガールフレンド
    作詞・作曲 / 杉真理
  • 夢みる渚
    作詞・作曲 / 杉真理

SIDE 2:

  • Love Her
    作詞・作曲 / 杉真理
  • 週末の恋人たち
    作詞・作曲 / 佐野元春
  • オリーブの午后
    作詞 / 松本隆、作曲 / 大滝詠一
  • 白い港
    作詞 / 松本隆、作曲 / 大滝詠一
  • Water Color
    作詞 / 松本隆、作曲 / 大滝詠一
  • ♥じかけのオレンジ
    作詞 / 松本隆、作曲 / 大滝詠一

大滝詠一|A面で恋をして
https://www.youtube.com/watch?v=NRnKEepGV80 (YouTube)

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「A面で恋をして」はアルバム「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」の発売に先行して出したシングルです。大滝は、この曲ヒットと1981年にリリースした「A LONG VACATION(ア・ロング・バケイション)」のヒットで「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」の制作を決断したとのことです。

「A LONG VACATION」には、私の大好きな、「恋するカレン」が入っています。
元歌は1979年に「スラップスティック」に提供した「海辺のジュリエット」。またこの曲はアーサー・アレキサンダーの「Where Have You Been All My Life」とメロディラインが酷似しています。大滝の楽曲は意図的に既存の曲を下敷きにすることが多いとの事です。

そして、「A LONG VACATION」では大滝の「さらばシベリア鉄道」がヒットしました。
太田裕美、小林明がカバーしています。「霧の中のジョニー」をプロデュースした、「ジョー・ミーク」へのトリビュートソングと大滝はいっています。

大滝詠一|さらばシベリア鉄道
https://www.youtube.com/watch?v=0G-0oMzdE64 (YouTube)

A LONG VACATION 30th Edition

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それから、大滝詠一、作詞・作曲で大好きな曲があります。
「夢で逢えたら」です。
この曲は、本当に多くのミュージシャンに歌われています。

リミックス|夢で逢えたら
https://www.youtube.com/watch?v=Z4R7lhjV5J4 (YouTube)

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※大滝詠一歌唱の「夢で逢えたら」収録アルバムです。

大滝詠一自身が歌っている録音が遺されていたことが、2014年1月4日の「内田樹」のツイートにより明らかとなりました。そして、大滝の葬儀にて、出棺時のレクイエムとして用いられたという事です。
内田樹のブログ「内田樹の研究室」に、内田がいかに大滝詠一に影響され続けてきたか、詳しく書いています。
内田は「日本辺境論」とか「街場の憂国論」などを含め多くの思想的、哲学的書を書いています。

2年前、渋谷の円山町にあるビートルズ好きが集まるライブハウス「Lantern」(ランタン)に私の友人が出演していて、そこに観に行ったとき、お客さんとして杉真理が来ていました。そして、杉真理が飛び入りでビートルズを2曲歌いしました。
杉真理は、慶応大学で竹内まりやの先輩で、竹内が音楽の世界に入る切っ掛けを作った人です。また、「ウイスキーが、お好きでしょ」の作曲者としても有名です。

「はっぴいえんど」の世界


何回かこのブログで紹介していますが、私は大滝詠一の「恋するカレン」が大好きで、当然、大滝詠一ってWho?、ということで、まずは「はっぴいえんど」、そして「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」(ナイアガラトライアングル ヴォリュームワン、1976年3月25日発売。メンバー、大滝詠一、山下達郎、伊藤銀次)、「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」(ナイアガラトライアングル ヴォリュームツー、1982年3月21日発売。大滝詠一、佐野元春、杉真理)にもとても興味を持つようになりました。

で、「はっぴいえんど」ですが、やはりこのグループは只者では無いグループだったと思います。活動期間は、1969年から1972年までの3年間でしたので、それほど長い期間ではありませんでした。メンバーは、細野晴臣(ベース、ヴォーカル、ギター、キーボード)、大滝詠一(ヴォーカル、ギター)、松本隆(ドラムス)、鈴木茂(ギター、ヴォーカル)の4名でした。私は実際、「はっぴいえんど」の活動をリアルタイムでは全く知りませんでした。

いまや伝説的となった、「はっぴいえんど」の細野と大滝の出会いは、いろいろなところで語られています。そのきっかけは、「ヤングブラッズ(The Youngbloods )」の「ゲット・トゥゲザー(Get Together)」という曲だったと言われています。

ヤングブラッズ(The Youngbloods)|ゲット・トゥゲザー(Get Together)
https://www.youtube.com/watch?v=OCiLxRCBf40 (YouTube)

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学生最後のころ、細野は、大滝に出会い、音楽勉強会をやっていたとの事です。初めて会った日に、この曲をお互いが知っているということが二人がともにお互いの音楽への造詣の深さを理解したとの事です。そして、細野、大滝、中田義彦(ギター)の3人で 「ランプポスト」というバンドで「新宿ビレッジゲート」というお店のオーディションに行ったのですが、そのオーディションに落ちてしまい、ランプポストは、あえなく解散したとの事です。

その後、細野(ギター)と松本(ドラム)は「エプリルフール」というグループをやっていて、細野がFENで聴いた、「バファロー・スプリングフィールド(Buffalo springfield)」の「ブルーバード(Bluebird)」という曲に強烈な印象を受け、この曲の凄さを大滝もわかった!と細野に話、それが切っ掛けで、細野、大滝、松本のグループになり、昔からの知り合いの鈴木茂(ギター)を加え、「はっぴいえんど」の前身、「バレンタインブルー」が結成されたとの事です。

バファロー・スプリングフィールド(Buffalo springfield)|ブルーバード(Bluebird)
https://www.youtube.com/watch?v=ki5KVZ5RQuM (YouTube)

Again

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「はっぴぃえんど」の代表曲の一つは「12月の雨の日」です。この曲のコードを細野が弾いていたら、そこにいた、そのころ18歳の鈴木が、メロディーを弾き始め、その曲が「12月の雨の日」となり、鈴木が「はっぴぃえんど」に参加する切っ掛けとなったとの事です。
こういう話を聞くと、これはあくまで偶然なのですが、それが、全くの偶然に思えず、何か革新的、新しい動くを造りだす時、人と人の出会いは、必然であったかのように思えてなりません。

はっぴいえんど|12月の雨の日
https://www.youtube.com/watch?v=0Z_-7IzSAjg (YouTube)

そして、もう一曲、風街ロマンの「風をあつめて」。

はっぴいえんど|風をあつめて
https://www.youtube.com/watch?v=hUQSJvzCAsc (YouTube)

CITY/はっぴいえんどベスト・アルバム

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「風をあつめて」は、「ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)」の東京を舞台にした、映画、「ロストイントランスレーション(Lost in Translation)」に採用された曲。映画は、2004年のアカデミー賞、主要4部門の作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞にノミネートされアカデミー脚本賞を受賞。映画で日本でのカラオケボックス風景を写したのシーンでちょっと曲が流されて、そして最後のエンドロールで「風をあつめて」がずっと流され続けていました。

「はっぴいえんど」の活動は、その後、ニューミュージック系に限らず、日本のミュージックシーンに登場する多くのミュージシャンに多大な影響を与え続けたと思います。また、各メンバー自身も、その後のそれぞれの活動に、強い影響を与え続けていくという強烈な個性を発揮した「グループ」だったと思われます。

大滝は冒頭に書いた、ナイアガラレーベルで多くのミュージシャンを世に送り出し、細野は、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆とキャラメル・ママ(のちにティン・パン・アレーと改名、その後、元サディスティック・ミカ・バンドの高橋幸宏、当時スタジオ・ミュージシャンでもあった坂本龍一とイエロー・マジック・オーケストラ (Y.M.O.) を結成、活躍します。
松本は、アグネス・チャン、太田裕美、中原理恵、近藤真彦、松田聖子、薬師丸ひろ子、斉藤由貴、中山美穂、等のアイドル系の曲から、大滝との大ヒット・アルバム「A LONG vACATION」など、ヒット曲の多くの歌詞を手掛け、鈴木は、細野らとキャラメル・ママを結成、ティン・パン・アレーへと、そしてその後、アレンジャーやセッションミュージシャンとして活動、活躍しています。

2013年12月30日に大滝詠一は亡くなり、「はっぴいえんど」の再結成は不可能になりましたが、一度、1985年に国立競技場で再結成ライブを行っています。「はっぴいえんど」の存在は、日本のミュージックシーンから消えることは無いように思います。

<おくやみ>大滝詠一さんが死去「A LONG VACATION」「EACH TIME」


ミュージシャンでプロデューサーの大滝詠一(おおたきえいいち、本名:大瀧栄一)さんが12月30日、東京都内の病院で亡くなりました。65歳でした。

ミュージシャンの大滝詠一さんが死去 (NHK)

1970年、細野晴臣さん、松本隆さん、鈴木茂さんとロックバンド「はっぴいえんど」でデビュー。はっぴいえんど解散後ソロ活動を本格化し、1974年には自身のレーベル「Niagara」を設立しました。

1980年代以降、ヒット曲「君は天然色」を収録した「A LONG VACATION」(ア・ロング・バケーション)や「EACH TIME」(イーチ・タイム)などのアルバムを出しました。また、松田聖子さんの「風立ちぬ」(1981年)、森進一さんの「冬のリヴィエラ」(1982年)、小林旭さんの「熱き心に」(1985年)などの作曲も手がけました。

2005年より「ナイアガラ不滅プロジェクト」と題した各アルバムにおける30周年記念事業を展開しており、2014年3月21日に発売予定だった「EACH TIME」の30周年記念盤で「ナイアガラ不滅プロジェクト」は終了する予定となっていました。

謹んで、哀悼の意を表します。

(編集長)

 

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EACH TIME 30th Anniversary Editionのジャケット写真は、まだ掲載されていません。

シタールとノルウェイの森(3)


シタールとノルウェイの森(2)の続き

シタールとノルウェイの森(2)の最後で聞いていただいた「はっぴいえんど|風をあつめて」は、アルバム「風街ろまん」に収録されています。これは、「はっぴいえんど」のセカンドアルバムとして1971年にリリースされました。

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このアルバムに細野晴臣に誘われてミキサーとして参加したのが、東芝音楽工業(当時、後に東芝EMI、現EMIミュージック・ジャパン)を退社した直後の「吉野金次 (1948年、東京生れ)」でした。
伝説のレコーディング・エンジニア、プロデューサーである吉野金次の、フリー初仕事でした。
吉野が東芝音楽工業(録音部)を解雇に近い形で辞めた直接の原因は、ザ・ランチャーズにいた喜多嶋修との匿名ユニットで活動していたことに起因するようです。
ザ・ランチャーズは加山雄三のバンドとして有名ですが、その従弟の喜多嶋は女優:喜多嶋舞の父です。また、妻は元女優の内藤洋子です。彼女は「白馬のルンナ」という曲と共に、私の記憶に残っています。

そんな吉野金次は、先の(1)で紹介したビートルズのアルバム「Rubber Soul」を含めて、殆どのビートルズのアルバムをプロデュースした、ジョージ・マーチン(Sir George Henry Martin,1926年-)の影響を強く受けたそうです。
ビートルズの音楽に強い影響を与えたといわれるジョージ・マーチンは、イギリスでナイトの称号を受けており、「5人目のビートルズ」と呼ばれます。この表現は、元マネージャーのブライアン・エプスタインなど他の人にも使われますが、彼もその一人です。

さて吉野金次の足跡ですが、日本におけるフォークやロックの黎明期の頃から、音楽のジャンルに囚われず、J-POP、歌謡曲、そしてクラシックまで幅広く携わり、数々の名盤を世に送り出しました。『素晴らしい音楽は素晴らしい』を実践し、日本の音楽界の至宝とも言える人だと思います。

先のジョージ・マーチンは、プロデュース業を専門し、録音などは他のスタッフを使っていたと思いますが、当時、分業制の進んでいなかった日本の音楽業界では、幅広く活躍する吉野の役割は大きかったと思います。

今回は、彼の関わった一つひとつの作品には触れません。秘蔵のアルバムのクレジットに、「吉野金次」探すのも一興かと思います。CDやLP盤のアルバム購入の魅力は、そのリーフレットも重要な楽しみの一つです。最近は簡単な物も増え、その楽しみは減りましたが。

そんな彼は2006年に脳梗塞で倒れました。
その復帰を願うチャリティ・コンサートが、矢野顕子、細野晴臣の提唱で、佐野元春、大貫妙子、友部正人、ゆず等が参加して行われました。そのコンサートの様子は「音楽のちから ~吉野金次の復帰を願う緊急コンサート」としてDVD化されています。

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そして、吉野金次がミキサーとして復帰したのが、「矢野顕子|音楽堂」の10年振りの弾き語りアルバムのレコーディングとなりました。2009年夏に、彼の提唱した「神奈川県立音楽堂」で、5日間1発録りプロジェクトです。

矢野顕子「音楽堂」トレイラー(Long Version)
http://www.youtube.com/watch?v=ITb7s2GnYJo (YouTube)

「コンビニで才能売ってないかな?」と言いつつ、必死に音作りをする矢野と、最後に車椅子の不自由な体で漸く「OKマーク」を出す吉野など、二人の交流プロセスを描く短編映像です。詳しくは、「矢野顕子の音楽堂」公式サイトを参照下さい。

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そんな「ハッピーエンド|風街ろまん」の時代から約30年後のボストンに、吉野金次を「日本の宝」と崇拝する若者が、バークリー音楽大学で学びました。 当ブログでRecommendationしている”monolog”こと、”Yuki Monolog Kanesaka(1981年、千葉県生れ)”です。
幼少の頃、忍者ハットリくんに憧れ、彼の母親の「忍者になるためには、ピアノのレッスンが必要だよ」という言葉で、ピアノ教室に通いだしたのが、音楽を志す第一歩でした。
バークリー卒業後もボストンに留まり、忍者(音楽)修行を未だに続けているようです。 そんな彼が、今年11月28日にmonolog名義でリリースしたアルバムが「monolog|Re:Live – JAZZ meets HIP HOP CLASSICS-」です。 打ち込みやサンプリングを使わず、100%「生音一発録り」の「オーガニックな音の世界」を確かめてみて下さい。

そのクレジットの一部を紹介します。彼の「こだわり」の一端が見えてくるかも知れません。他の隠された秘密等は彼のTwitter(@yukikanesaka)に委ねます。

monolog as known as Yuki Kanesaka plays
Drums set&percussion,Electric Bass&Electric Upright bass,
Electric Piano,Clavinet,Synthesizer,Grand Piano,Organ&Melodica,
Electric&Acoustic Guitar,
Alto Saxophone,Turn Table&Disco Mixer,Vibraphone,Voice
Vocalists Shakyma Horacius,#1,4,8,  OJ Matori#3,4,5,9,12, Saucy Lady#11
Piano Tuning:Fred Mudge
Microphone set up and signal pass setting:Matt Hayes
Recording operation:Yuki Ohnishi
Produced,Arranged,Recorded and Mixed by Yuki Kanesaka
at Komugiko Studio Boston,MA,USA
Over dub recorded at Wellspring sound,Acton,MA,USA
Mastring by Tom Waltz at Waltz Mastering,Watertown MA,USA

その彼のスタジオのあるボストンのニューベリー・ストリート(Newbury St.)の風景をご覧ください。原宿の表参道のような場所で、ボストンで一番のお洒落な通りです。

IMG_1406 IMG_1402

最後に、このシリーズのきっかけとなった、ラヴィ・シャンカール氏のご冥福を祈り、このシリーズを一旦終わりといたします。

シタールとノルウェイの森(2)


シタールとノルウェイの森(1)の続き

ビートルズの「ノルウェイの森」は、シタールが使われています。この曲にシタールを持ち込んだのは、故ジョージ・ハリスンといわれています。ジョージはビートルズ時代にインド音楽に傾倒し、ラヴィ・シャンカールに師事しました。ラヴィとジョージの二人の交流は大変有名です。

この曲でシタールを弾いているのはジョージですが、作詞と作曲はレノン=マッカートニー名義(作風はジョン・レノン?)になっています。シタールが効果的に使われた、いわばフォーク・ロックの名曲です。
ラヴィが影響を与えた最初のラーガ・ロック(インドの音楽や楽器を取り入れたロック)はこの曲といわれています。ただし別の説もあります。ラーガ・ロックの諸説は、また別の機会に紹介します。

さて、当時のビートルズの映像を紹介します。残念ながら、ジョージがシタールを演奏する様子はありません。

The Beatles|Norwegian Wood
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=N3cUejOltsA (YouTube)

前回、予告編を紹介した映画「ノルウェイの森」ですが、原作は村上春樹の同名の小説です。

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

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単行本の装丁は作者本人による「クリスマスカラー(赤と緑)」を使ったものだそうです。文庫本も同様ですので、この季節に如何でしょうか。

べトナム系フランス人のトラン・アン・ユン脚本・監督で映画化され、2010年に公開されました。
公式サイトがありますので、主題歌を含めて確認してみて下さい。
私は今年になってから、見ました。因みに、非常に懐かしい響きのある「映倫」のPG12指定です。

原作者の村上春樹(1949年、京都生れ兵庫県育ち)は、今や世界的ベストセラー作家です。今年のノーベル文学賞の最有力候補になり、ブックメーカーのオッズでも2倍という大本命でしたが、残念ながら受賞を逃しました。
彼は早稲田大学卒業後、一時期ジャズ喫茶を経営していたこともあります。この辺の話題も、別の機会に触れてみたいと思います。

小説「ノルウェイの森」の冒頭は、37歳の主人公の僕=ワタナベ・トオルが、ドイツに降り立つ飛行機の中で聞いたビートルズ「ノルウェイの森」により、高校時代の同級生、直子のことを思い出し、取り乱す場面から始まります。
1968~69年頃の時代背景をベースに、主人公の20歳になる前の複雑に揺れ動く心象風景と、複雑な恋愛感情が綴られて行きます。

ビートルズの「ノルウェイの森」の原題「Norwegian Wood」は、単に森を指すのではなく、英国の安アパートに良く使われている「ノルウェイ産の木材を使った家具」とのことで、その詩の内容も結構意味深なようです。
主人公が暮らした、当時の学生寮やアパートと妙に符合してくるようにも思えます。当初、村上はこの「ノルウェイの森」というタイトルが気に入らなかったようですが、そんな所に原因があるのかも知れません。

映画「ノルウェイの森」は、主人公のワタナベ(松山ケンイチ)、その神戸の高校生時代の同級生直子(菊池凛子)を中心に、東京の大学へ入学後の二人の微妙な関係と、精神的に破綻の生じた直子の京都の療養先とその周辺を舞台に描かれています。
学生運動の激しかった頃、当時の東京の大学キャンパスとその周辺の風景、そして直子の療養先と緑の多い高原(森)の情景が走馬灯のように駆け巡る様が印象的です。

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監督が漸く探し出したロケ地は兵庫県神河町の高原や兵庫県香美町の香住海岸です。これらの情景は非常に印象深く、見終わった後も残像のように残ります。
そして、その施設で直子と一緒に療養生活を送っている、元ピアノ教師レイコがギターを弾きながら、ビートルズの「ノルウェイ森」を歌うシーンも印象的です。
最後に、「風を映像として捉えたような」森の風景が、何故か深く心に残りました。

そんな映画「ノルウェイの森」には、大学教授役で糸井重里(1948年生れ)、ワタナベのバイト先のレコード店の店主役で細野晴臣(1947年生れ)、直子の療養所の寮の門番役で高橋幸宏(1952年生れ、別名:高橋ユキヒロ)が出演しています。
原作者の村上そして主人公のワタナベと同世代、この映画で描かれている1969年前後に学生生活を送り、同じ時代を共有していた人達で集結しているのが象徴的でした。
その世代の人達が、当時の記憶を呼び戻しながら観てみるのも良いかも知れません。

その細野は、日本におけるロックの先駆的バンド「はっぴいえんど」を1969年に結成しました。細野晴臣作曲(作詞:松本隆)の「風を集めて」をお聴き下さい。映画「ノルウェイの森」の1シーンと妙にオーバーラップしました。

はっぴいえんど|風をあつめて
http://www.youtube.com/watch?hl=ja&v=7QX1w_PazZU&gl=JP (YouTube)

シタールとノルウェイの森(3)へ続く