2月3日の節分には気温も上昇し、庭先の紅梅も春の兆しを感じたのか一斉に咲き出しました。
ところが一転、翌4日の立春には雪に見舞われ、寒さも一段と増した冬の気候に逆戻りといった状況でした。
一面の雪景色となった5日の朝は、まさに氷の世界でした。
窓の外ではリンゴ売り 声をからしてリンゴ売り
きっと誰かがふざけて リンゴ売りのまねをしているだけなんだろう
僕のTVは寒さで 画期的な色になり
とても醜いあの娘を グッと魅力的な娘にして すぐ消えた
今年の寒さは 記録的なもの こごえてしまうよ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界
~「井上陽水 | 氷の世界」より~
昨年暮の12月28日にNHK-BSプレミアムで放映された、「井上陽水 ドキュメント”氷の世界40年”~日本初ミリオンセラーアルバムの衝撃とその時代~」(テレコムスタッフの番組紹介ブログ記事)を観たばかりだったので、思わずその光景を思い浮かべました。
流石にリンゴ売りの声を聞くこともないですし、今のTVでは寒さで色が変化するような事もありませんでしたが。
井上陽水 | 氷の世界
http://www.youtube.com/watch?v=XWVtA5nR360 (YouTube)
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確かに、このアルバム(LP盤)がでた時のインパクトは大きかったと思います。1973年12月1日に発売され、日本レコード史上初のLP販売100万枚を記録したアルバムでした。当時としては珍しいロンドン録音が行われています。
参加ミュージシャンを確認しても、安田裕美、高中正義、細野晴臣、深町純、松岡直也、林立夫、村上修一(秀一)、ピート・ロビンソン、ジョン・ガスタフソン、見砂和照、星勝といった錚々たる面々でした。
全13曲の編曲はモップスのメンバーであった星勝(ほしかつ)が担当しており、作詞には小椋佳(「白い一日」)や共作者として忌野清志郎(「帰れない二人」「待ちぼうけ」)の名前もあります。
レコードジャケットに写っている陽水の持っているギターは忌野清志郎の所有物とのことでした。更に、ジャケットの裏側の写真は吉田拓郎のアルバム「元気です」を意識したようで、雰囲気が似ています。
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1969年にアンドレ・カンドレとしてデビューした陽水(関連記事「1969」の頃~オールナイトニッポン~)でしたが、当時からその曲は気になる存在で、「傘がない」「夢の中に」といった曲も好きでした。
アルバム「氷の世界」から先行シングルとして出た「心もよう」がヒットの引き金だったようですが、A面とB面の選曲で揉めたようです。
多くのミュージシャンが押したのはB面となった「帰れない二人」(作詞・作曲:井上陽水・忌野清志郎)だったそうですが、結局プロデューサー(多賀英典)は「心もよう」を主張し決定したそうです。確かにその選択に間違い無かったのでしょうね。
井上陽水with忌野清志郎 | 帰れない二人
http://www.youtube.com/watch?v=0XNcjYwEjrg(YouTube)
今から約40年前、学生運動も一部の過激派を除き下火になり、キャンパスからは立て看板も消えかけていた時代だったと思います。
オイルショックが始まり狂乱物価に踊らされ、高度経済成長が終焉を迎えていました。
井上陽水が1978年に再婚した相手は石川セリですが、彼女の名前は藤田年八監督の映画「八月の濡れた砂」と共に思い出されます。この映画をいつ頃、どこで観たかは忘れましたが、日活が「ロマンポルノ」に移行する前の最後の作品でした。
八月の濡れた砂 (1971 日活) – 予告編
http://www.youtube.com/watch?v=Urmx6jHaZ3M(YouTube)
八月の濡れた砂 (1971 日活) – エンディング
http://www.youtube.com/watch?v=EUtmacYrY20 (YouTube)
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ユーミン(松任谷由実)や陽水の楽曲も含まれており、改てその時代を感じます。
また石川セリと云えば、現代音楽の巨匠で「世界のタケミツ」こと武満徹が晩年に手掛けたポップソングのCD「石川セリ|翼 武満徹ポップ・ソングス」を発表し、別のタケミツを紹介してくれています。晩年のタケミツが惚れ込んだ魅力を感じさせてくれます。
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このアルバムの中の「明日ハ晴レカナ曇リカナ(作詞作曲:武満徹)」を聴いてみて下さい。武満徹の別の側面が伺えます。
石川セリ | 明日ハ晴レカナ曇リカナ
http://www.youtube.com/watch?v=zjTqYPL4oNE (YouTube)
そしてその中の「死んだ男の残したものは」ですが、作詞は谷川俊太郎です。メッセージフォークの高石ともやの歌う反戦歌としても有名な曲ですが、様々な歌手やグループによってカバーされており、それぞれ趣も異なると思います。
武満徹 死んだ男の残したものは / 林光編曲版 東京混声合唱団
http://www.youtube.com/watch?v=ZbmuzQ3schM (YouTube)
1973年ベトナムからアメリカ軍は撤退し、ベトナム戦争も終結に向かいます。
そんな約40年前の頃の私は、ある地方大学の学園祭で実行委員の一人として一つのイベントを企画した記憶があります。それは「日活ロマンポルノ三本立て」の映画上映だったと思います。当然18歳未満入場禁止の成人映画でしたが、その題名については記憶に残っていません。
2月4日の積雪も消えぬ内、その週末には40数年来記憶に無い大雪に見舞われました。更に、14日のバレンタインの日にも大雪となりました。
外は未だまだ「氷の世界」です。
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