シタールとノルウェイの森(3)


シタールとノルウェイの森(2)の続き

シタールとノルウェイの森(2)の最後で聞いていただいた「はっぴいえんど|風をあつめて」は、アルバム「風街ろまん」に収録されています。これは、「はっぴいえんど」のセカンドアルバムとして1971年にリリースされました。

風街ろまん

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このアルバムに細野晴臣に誘われてミキサーとして参加したのが、東芝音楽工業(当時、後に東芝EMI、現EMIミュージック・ジャパン)を退社した直後の「吉野金次 (1948年、東京生れ)」でした。
伝説のレコーディング・エンジニア、プロデューサーである吉野金次の、フリー初仕事でした。
吉野が東芝音楽工業(録音部)を解雇に近い形で辞めた直接の原因は、ザ・ランチャーズにいた喜多嶋修との匿名ユニットで活動していたことに起因するようです。
ザ・ランチャーズは加山雄三のバンドとして有名ですが、その従弟の喜多嶋は女優:喜多嶋舞の父です。また、妻は元女優の内藤洋子です。彼女は「白馬のルンナ」という曲と共に、私の記憶に残っています。

そんな吉野金次は、先の(1)で紹介したビートルズのアルバム「Rubber Soul」を含めて、殆どのビートルズのアルバムをプロデュースした、ジョージ・マーチン(Sir George Henry Martin,1926年-)の影響を強く受けたそうです。
ビートルズの音楽に強い影響を与えたといわれるジョージ・マーチンは、イギリスでナイトの称号を受けており、「5人目のビートルズ」と呼ばれます。この表現は、元マネージャーのブライアン・エプスタインなど他の人にも使われますが、彼もその一人です。

さて吉野金次の足跡ですが、日本におけるフォークやロックの黎明期の頃から、音楽のジャンルに囚われず、J-POP、歌謡曲、そしてクラシックまで幅広く携わり、数々の名盤を世に送り出しました。『素晴らしい音楽は素晴らしい』を実践し、日本の音楽界の至宝とも言える人だと思います。

先のジョージ・マーチンは、プロデュース業を専門し、録音などは他のスタッフを使っていたと思いますが、当時、分業制の進んでいなかった日本の音楽業界では、幅広く活躍する吉野の役割は大きかったと思います。

今回は、彼の関わった一つひとつの作品には触れません。秘蔵のアルバムのクレジットに、「吉野金次」探すのも一興かと思います。CDやLP盤のアルバム購入の魅力は、そのリーフレットも重要な楽しみの一つです。最近は簡単な物も増え、その楽しみは減りましたが。

そんな彼は2006年に脳梗塞で倒れました。
その復帰を願うチャリティ・コンサートが、矢野顕子、細野晴臣の提唱で、佐野元春、大貫妙子、友部正人、ゆず等が参加して行われました。そのコンサートの様子は「音楽のちから ~吉野金次の復帰を願う緊急コンサート」としてDVD化されています。

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そして、吉野金次がミキサーとして復帰したのが、「矢野顕子|音楽堂」の10年振りの弾き語りアルバムのレコーディングとなりました。2009年夏に、彼の提唱した「神奈川県立音楽堂」で、5日間1発録りプロジェクトです。

矢野顕子「音楽堂」トレイラー(Long Version)
http://www.youtube.com/watch?v=ITb7s2GnYJo (YouTube)

「コンビニで才能売ってないかな?」と言いつつ、必死に音作りをする矢野と、最後に車椅子の不自由な体で漸く「OKマーク」を出す吉野など、二人の交流プロセスを描く短編映像です。詳しくは、「矢野顕子の音楽堂」公式サイトを参照下さい。

音楽堂

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そんな「ハッピーエンド|風街ろまん」の時代から約30年後のボストンに、吉野金次を「日本の宝」と崇拝する若者が、バークリー音楽大学で学びました。 当ブログでRecommendationしている”monolog”こと、”Yuki Monolog Kanesaka(1981年、千葉県生れ)”です。
幼少の頃、忍者ハットリくんに憧れ、彼の母親の「忍者になるためには、ピアノのレッスンが必要だよ」という言葉で、ピアノ教室に通いだしたのが、音楽を志す第一歩でした。
バークリー卒業後もボストンに留まり、忍者(音楽)修行を未だに続けているようです。 そんな彼が、今年11月28日にmonolog名義でリリースしたアルバムが「monolog|Re:Live – JAZZ meets HIP HOP CLASSICS-」です。 打ち込みやサンプリングを使わず、100%「生音一発録り」の「オーガニックな音の世界」を確かめてみて下さい。

そのクレジットの一部を紹介します。彼の「こだわり」の一端が見えてくるかも知れません。他の隠された秘密等は彼のTwitter(@yukikanesaka)に委ねます。

monolog as known as Yuki Kanesaka plays
Drums set&percussion,Electric Bass&Electric Upright bass,
Electric Piano,Clavinet,Synthesizer,Grand Piano,Organ&Melodica,
Electric&Acoustic Guitar,
Alto Saxophone,Turn Table&Disco Mixer,Vibraphone,Voice
Vocalists Shakyma Horacius,#1,4,8,  OJ Matori#3,4,5,9,12, Saucy Lady#11
Piano Tuning:Fred Mudge
Microphone set up and signal pass setting:Matt Hayes
Recording operation:Yuki Ohnishi
Produced,Arranged,Recorded and Mixed by Yuki Kanesaka
at Komugiko Studio Boston,MA,USA
Over dub recorded at Wellspring sound,Acton,MA,USA
Mastring by Tom Waltz at Waltz Mastering,Watertown MA,USA

その彼のスタジオのあるボストンのニューベリー・ストリート(Newbury St.)の風景をご覧ください。原宿の表参道のような場所で、ボストンで一番のお洒落な通りです。

IMG_1406 IMG_1402

最後に、このシリーズのきっかけとなった、ラヴィ・シャンカール氏のご冥福を祈り、このシリーズを一旦終わりといたします。

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