JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(8)


JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(7)の続き

このシリーズの最後は、第55回グラミー賞における特別賞(Special Merit Awards)に触れておきます。
まず昨年の12月に92歳で亡くなった(<おくやみ>の記事)、シタール奏者のラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)に生涯功労賞(Lifetime Achievement Award)が与えられました。
ラヴィ・シャンカールの亡くなる1週間前に生涯功労賞の授与が通達されいたようですが、故人に代わってこの賞を受け取ったのは、娘のノラ・ジョーンズ(Norah Jones)とアヌーシュカ・シャンカール(Anoushka Shankar)の二人でした(2月9日のレセプションの様子)。

尚、親子ノミネートで話題になっていた「Best World Music Album」カテゴリーの方も、父ラヴィ・シャンカールが「Ravi Shankar|The Living Room Sessions Part 1 」で受賞しています。

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51. Best World Music Album
WINNER:The Living Room Sessions Part 1
Ravi Shankar
Label:East Meets West Music

娘のアヌーシュカの「Anoushka Shankar|Traveller」は惜しくも賞を逸しました。

Traveller

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ラヴィーとアヌーシュカの親子がシタールで共演した映像があります。
1997年のライブ映像ですから、アヌーシュカが16歳の頃だと思います。

Ravi Shankar & Anoushka Shankar Live: Raag Khamaj (1997)
http://www.youtube.com/watch?v=9xB_X9BOAOU (YouTube)

もう1件の特別賞は、技術賞(Technical GRAMMY Award)においてローランド(静岡県浜松市)創業者の梯郁太郎(かけはしいくたろう、1930年 -)同社特別顧問が、元シーケンシャル・サーキット社社長のデイヴ・スミス(Dave Smith)と連名で受賞しました(ローランド社ニュースリリース)。
二人の功績はMIDI(ミディ、Musical Instrument Digital Interface)を世界共通規格としての制定に尽力されたことです。
今ではMIDIはメーカーを越え、電子楽器の演奏データを機器間でデジタル転送する「架け橋(かけはし)」として重要な役割を果たしています。

ライフワークは音楽 電子楽器の開発にかけた夢

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ANNのニュースとグラミー技術賞レセプションの映像があります。

ローランド創業の梯さんにグラミー技術賞 MIDI開発(13/02/10)

Technical GRAMMY Award Recipients
http://www.grammy.com/videos/technical-grammy-award-recipients-ikutaro-kakehashi-and-dave-smith-at-special-merit-awards (Grammy.org)

Komugiko_Studio

Komugiko Studio(Boston,MA)にあるRD-600

ローランド社のステージ・ピアノRD-600もMIDIで繋がる名機でした。Yuki Monolog Kanesaka も高校生の頃からの愛用しており、彼の渡米を追うように海を渡りました。以来十数年が過ぎた今では、傷みも多くなり新たなRD-600を探しているようです。

このRD-600は、彼のボストン界隈のギグ(Gig、日本で云うライブ)でのパフォーマンス・ウェポンとして、その25kgもある重さは彼の上腕二頭筋のトレーニング・アイテムとして活躍しました。
ローランドRD-600の後継機としてはステージ・ピアノRD-700(製品情報)がありますが、RD-600のお気に入りの音とは異なる様です。

Roland / RD-700NX ローランド デジタルステージピアノ

尚、ローランド社の芸術文化支援活動は(財)ローランド芸術文化振興財団(理事長:梯郁太郎)を通じて行われています。電子楽器だけでなく、芸術と文化の「架け橋」を担っていると云えます。
バークリー音楽大学とローランド社の縁も深く、梯(かけはし)氏には電子楽器の発展と普及による功績で1991年に名誉博士号を授与されており、同大学の奨学金の一つにローランド賞(Roland Award, for outstanding achievement in music synthesis)も設けられています。

世界の90以上の国から集まる、4000人以上のバークリー生の音楽の好みも多様化しています。
最近の学生に「今聴いている曲は?」と尋ねる動画をご覧下さい。

BERKLEE COLLEGE OF MUSIC, What Are You Listening To?
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=NsdATDPAUsI (YouTube)

さて、「 monolog|Re:Live – JAZZ meets HIP HOP CLASSICS」がタワレコを始めとして好評のmonologですが、ニューアルバム「monolog + A.I.April」が4月26日にSecond Factoryよりリリースされます。

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今回はバークリーで出会った、市川愛(Ai Ichikawa、神奈川県藤沢市出身)とのコラボレーションによる楽曲となっています。
タイトル名も二人の共通の誕生日(4月21日)に因んだ「4月」、新たに産声を上げたユニットにご注目下さい。
ボストンの「4月の情景」が目に浮かびそうな、キメ細やかなサウンドに仕上がっていると思います。彼等の曲の中にも「不易流行」が感じられるかも知れません。

彼女もまた、このシーリーズ(6)(7)で紹介した粟田麻利子、横沢ローラ同様に、大学卒業後会社員を経てバークリーで学んだ期待のジャズ・シンガーの一人です。
彼女の公式サイトでその透明感あふれる唄声を試聴してみて下さい。
Ai_Ichikawa_HP_SCAI ICHIKAWA 公式サイト

「月日は百代(はくたい)の過客(くわかく)にして、行(ゆき)かふ年も又旅人也。」(「奥の細道-序-)
松尾芭蕉が「奥の細道」の旅のため千住を立ったのは、元禄二年弥生も末の七日(陰暦)のことでした。そして前途三千里の旅路への不安と惜別の思いを次の俳句に込めました。

(ゆく)春や鳥啼(とりなき)(うお)の目は泪(なみだ)

散りかけた桜の木に鳥(ヒヨドリ)も訪れました。
永らくお付き合い頂いたこのシリーズ「JAZZと不易流行」も一区切りさせて頂きます。
kotori

 

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JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(8)」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(7)横沢ローラ | バークリー音楽大学 | TokyoとBostonをつなぐ音楽ブログ

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