JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(3)


JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(2)の続き

テリ・リン・キャリントンのプロジェクト(The Mosaic Project)は、昨年の第54回グラミー賞における「Best Jazz Vocal Album」のカテゴリーでもウィナーになっています。
そして何と言っても快挙と云われるのが、その前年の第53回グラミー賞における最優秀新人賞(Best New Artist)をエスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)が受賞したことです。

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この最優秀新人賞をジャズ界で受賞したのは、前に当ブログで紹介したノラ・ジョーンズ(2003年、第45回)以来となります。但し、ノラ・ジョーンズの対象楽曲は「Pop分野」であったのに対し、エスペランサは「Jazz分野」からであったということは特筆に値すると思います。

彼女初のリーダーアルバムは2006年の「JUNJO」、そしてメジャーデビューとなった2008年の「Esperanza」と続き、2010年の「Chamber Music Society」がグラミー賞初ノミネートでした。

 

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その対象となった「Chamber Music Society」の公式映像があります。
Esperanza Spalding | Chamber Music Society

Chamber Music Society」は既に通算3枚目のアルバムですし、売上が特に多かった訳ではないと思います。ノミネートされた他のアーティストの中には、遥かにCD売上も良く人気のあったメンバーも存在していました。
グラミー賞が単なる人気投票でなく、実力や将来性を含めた上での評価であり、業界人の審査するこの賞の面目躍如といった所です。
ただ、多くの実力派ミュージシャンとの共演実績、そして彼女の大ファンであるオバマ大統領の招待で実現した、2009年ノーベル平和賞受賞式での演奏等も評価された故の結果だと思います。
そんな2009年頃のライブ映像があります。エレクトリックとアコースティックの両方のベースと歌のステージです。
Esperanza SpaldingI Know You Know / Smile Like That
http://www.youtube.com/watch?v=2aRC3YY3svs (YouTube)

エスペランサはGED(日本の高等学校卒業程度認定試験、旧大検に相当)を16歳で突破し、音楽特待生として地元の州立大学に入ってから転入という形でバークリーに学びます。当然のように全額奨学金を得ていたようです。
2005年に20歳で卒業すると同時にバークリーの講師として教鞭を執ることになります。

彼女の在学時の2004年に副学長のゲイリー・バートン曰く、「エスペランサは素晴らしいタイム感があり、非常に複雑な曲も難なくこなせる演奏家だ。」と評しているとの記事が、バークリー公式サイトのStudent Profileにあります。

Boylston_Apt3

ボイルストン通り沿いのアパート外観

エスペランサがそんな学生時代に過ごしたアパートは、バークリーから程近くのボイルストン通り(Boylston St.)沿いにありました。
日本からの留学生も多く住んでいたこのアパートには、エスペランサと同じ授業を受けたこともるYuki Kanesaka=monolog以前の記事)も居ました。

このアパートの大家さんが日本人の彼に、二の腕に彫られたタトゥーを誇らしげに見せてくれたそうです。そこには上から「道士武」となっていました。monologは、「それじゃ、どうしぶじゃないか!」とは言えなかったみたいです。

Fenway_Park

フェンウェイ・パーク球場

そしてこのアパートのすぐ近くには、ボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パーク(Fenway Park)球場があります。グリーン・モンスター(左翼側の高いフェンスの通称)で有名なメジャーリーグ最古の100年の歴史を持つ球場です。

松坂大輔投手や岡島秀樹投手が活躍していた頃、この球場にある公式ショップには「赤靴下軍団」とプリントされたTシャツも置かれていました。

SkyWalk_View

プルデンシャル・センター50階スカイウォークからの眺め

そのフェンウェイ・パークの方向を、ボストンで2番目に高いプルデンシャル・センター(Prudential Center)50階のスカイウォーク(Skywalk)から写した写真です。
球場と緑の多い庭園(Fenway Victory Garden)の間にある長い建物がアパートになっています。庭園の外周に沿ってボイルストン通りがあり、左に行けばバークリーのある街の中心地に行けます。

この通りを小柄な体でベースを引いて歩く、エスペランサの可憐な姿が思い浮かびます。
野球の試合が開催された日には、熱狂的なレッドソックス・ファンの集団にも遭遇していたかも知れません。

話を戻して、エスペランサの最初のアルバムのタイトル曲「JUNJO」の題名の意味や由来は良く判りません。
インターネットの翻訳サイトで「JUNJO」を英語やスペイン語で調べると「純情」と翻訳されます。
彼女の学生時代の日本人との交流でヒントを得ていたとしたら素晴らしい事だと思います。
Esperanza SpaldingJUNJO
http://www.youtube.com/watch?v=j6YUS5X45e4 (YouTube)

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(4)へ続く

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