日別アーカイブ: 2013年3月29日

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(5)


JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(4)の続き

多少話は横道に逸れますが、もう少しキース・ジャレットの話題にお付き合い下さい。
「キース・ジャレットのCDを買ったら、志村けんの声が入ってた。。返品したい。。」と、ネット上で話題になった動画です。

Keith Jarrett TrioRider (excerpt)
http://www.youtube.com/watch?v=6BBWNaytGNs (YouTube)

(4)で紹介したDVD「スタンダーズI+II」における「Ⅰ(1985年)」にある映像だと思います。
日本のチンピラ風○○○に似た風貌、中腰でなよなよ動く姿、そして志村けんに似たあの変な声ですから、好き嫌いはあるとは思います。
しかし、本人は次のように語っています。

ぼくは演奏中に変な声を出すことで有名だけど、これは純粋に集中し、打ち込んでいるからなんだ。音楽がぼくを通してあふれ出てくる。

出典:キース・ジャレットの芸術:ケルンコンサート

前に紹介した1986年の「Georgia on My Mind」の映像でもその様子が確認できるように、これも含めてキースの個性と云えるのでしょう。

そのキースも17歳で高校を卒業後バークリーに進んでいます。しかし、そこでのエピソードは「ボストンで自己のバンドを結成し、ジャズ・ピアニストとしての活動を始めた。」とある程度です。
彼にとってのバークリーとは、音楽活動の起点として存在していたに過ぎないかも知れません。
「バークリーで最も優秀な生徒は、忙しくて学校では見かけず、卒業もせずに、いつのまにか有名になっている。」と云われる生徒の一人だったのでしょう。
以前、風が強く吹いているで紹介した「ジョー・ザヴィヌル」の在籍期間よりは多かったと思いますが、真面目に学んだとも思えませんし、教壇に立つことも無かったと思います。
キースについてはジャズの分野に留まらず、ジャンルを越えた音楽表現を身上とし、演奏する楽器も多岐に渡ります。
しかし、今年で55回を数えるグラミー賞には縁が無かったようです。それを阻んできたのは、ある意味、この賞の「権威」であったかも知れません。

さて、今年のグラミー賞の話題を続けます。
次なるジャズ分野3番目のウィナーはジャズ・ギタリストのパット・メセニー(Pat Metheny、1954年 -、ミズリー州出身)です。彼の新生カルテットによる新たななプロジェクト「Pat Metheny Unity Band|Unity Band 」で受賞しました。

33. BEST JAZZ INSTRUMENTAL ALBUM
WINNER:Unity Band
Pat Metheny Unity Band
Label: Nonesuch

Unity Band

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そのユニティ・バンド(Unity Band)のプレビューがあります。サックスがフューチャーされ、4年半振りとなるバンドとしてのアルバムです。メンバーはクリス・ポッター(ts)、ベン・ウィリアムス(b)、アントニオ・サンチェス(ds)と豪華な顔ぶれです。

Pat Metheny Unity Band Preview
http://www.youtube.com/watch?v=_iE0kZQxnFw&list=UUpGyfPjwhD2JnF1ev69RkVA&index=3 (YouTube)

このパット・メセニー・ユニティ・バンドによる東京公演が5月21日(火)から26日(日)の6日間、ブルー・ノート東京(東京都港区)で開催されます。

チケットぴあ一般発売 / パット・メセニー・ユニティ・バンド | 2013/5/21(火) ~ 2013/5/26(日) | ブルーノート東京icon

パット・メセニーもグラミー賞ジャズ分野の常連です。
昨年の第54回グラミー賞はソロによる「What’s It All About」で「Best New Age Album」を受賞しています。1983年の初受賞から今年で延べ20回目の受賞(個人及びグループ)になります。

What’s It All About

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そのパット・メセニーの輝かしい経歴のスタートは、18歳の時にゲイリー・バートンのグループへの加入を志願したことに始まります。
既にバークリーで教鞭を執っていたバートンは、独学でギターを習得していた彼の実力を認め、その推薦により講師を務めました。若干18歳の時です。

前出のエスペランサがバークリーで学びだした頃、音楽キャリアに行き詰まり政治学の道に方向転換しようとしていた時、音楽における可能性の追求に踏み止まれたのはパット・メセニーの言葉でした。
「彼女は自分の中にある感情やヴィジョン、エネルギーを表現する類まれなる才能がある。」と後押ししてくれたと当時を語るエスペランサのインタビュー記事があります。

そのパット・メセニーが最初のグラミー賞を獲得したアルバムは「Pat Metheny Group | Offramp」です。このアルバムの中の1曲に、彼のオリジナルで歌手のジェームス・テーラーに捧げられた「James」という曲があります。
モントリオール・ジャズ・フェスティバル(2005年)でのライブ映像がありますので聴いてみて下さい。

Pat Metheny GroupJames (Live at Montreal)
http://www.youtube.com/watch?v=2HkELUJ_G-o (YouTube)

Offramp

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この曲に歌詞を付け自らのレパートリーに加え、昨年アルバム・デビューした日本人ジャズ・シンガーがいます。岐阜県可児市出身の粟田麻利子(あわだまりこ)です。

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(6)へ続く