月別アーカイブ: 2013年3月

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(5)


JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(4)の続き

多少話は横道に逸れますが、もう少しキース・ジャレットの話題にお付き合い下さい。
「キース・ジャレットのCDを買ったら、志村けんの声が入ってた。。返品したい。。」と、ネット上で話題になった動画です。

Keith Jarrett TrioRider (excerpt)
http://www.youtube.com/watch?v=6BBWNaytGNs (YouTube)

(4)で紹介したDVD「スタンダーズI+II」における「Ⅰ(1985年)」にある映像だと思います。
日本のチンピラ風○○○に似た風貌、中腰でなよなよ動く姿、そして志村けんに似たあの変な声ですから、好き嫌いはあるとは思います。
しかし、本人は次のように語っています。

ぼくは演奏中に変な声を出すことで有名だけど、これは純粋に集中し、打ち込んでいるからなんだ。音楽がぼくを通してあふれ出てくる。

出典:キース・ジャレットの芸術:ケルンコンサート

前に紹介した1986年の「Georgia on My Mind」の映像でもその様子が確認できるように、これも含めてキースの個性と云えるのでしょう。

そのキースも17歳で高校を卒業後バークリーに進んでいます。しかし、そこでのエピソードは「ボストンで自己のバンドを結成し、ジャズ・ピアニストとしての活動を始めた。」とある程度です。
彼にとってのバークリーとは、音楽活動の起点として存在していたに過ぎないかも知れません。
「バークリーで最も優秀な生徒は、忙しくて学校では見かけず、卒業もせずに、いつのまにか有名になっている。」と云われる生徒の一人だったのでしょう。
以前、風が強く吹いているで紹介した「ジョー・ザヴィヌル」の在籍期間よりは多かったと思いますが、真面目に学んだとも思えませんし、教壇に立つことも無かったと思います。
キースについてはジャズの分野に留まらず、ジャンルを越えた音楽表現を身上とし、演奏する楽器も多岐に渡ります。
しかし、今年で55回を数えるグラミー賞には縁が無かったようです。それを阻んできたのは、ある意味、この賞の「権威」であったかも知れません。

さて、今年のグラミー賞の話題を続けます。
次なるジャズ分野3番目のウィナーはジャズ・ギタリストのパット・メセニー(Pat Metheny、1954年 -、ミズリー州出身)です。彼の新生カルテットによる新たななプロジェクト「Pat Metheny Unity Band|Unity Band 」で受賞しました。

33. BEST JAZZ INSTRUMENTAL ALBUM
WINNER:Unity Band
Pat Metheny Unity Band
Label: Nonesuch

Unity Band

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そのユニティ・バンド(Unity Band)のプレビューがあります。サックスがフューチャーされ、4年半振りとなるバンドとしてのアルバムです。メンバーはクリス・ポッター(ts)、ベン・ウィリアムス(b)、アントニオ・サンチェス(ds)と豪華な顔ぶれです。

Pat Metheny Unity Band Preview
http://www.youtube.com/watch?v=_iE0kZQxnFw&list=UUpGyfPjwhD2JnF1ev69RkVA&index=3 (YouTube)

このパット・メセニー・ユニティ・バンドによる東京公演が5月21日(火)から26日(日)の6日間、ブルー・ノート東京(東京都港区)で開催されます。

チケットぴあ一般発売 / パット・メセニー・ユニティ・バンド | 2013/5/21(火) ~ 2013/5/26(日) | ブルーノート東京icon

パット・メセニーもグラミー賞ジャズ分野の常連です。
昨年の第54回グラミー賞はソロによる「What’s It All About」で「Best New Age Album」を受賞しています。1983年の初受賞から今年で延べ20回目の受賞(個人及びグループ)になります。

What’s It All About

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そのパット・メセニーの輝かしい経歴のスタートは、18歳の時にゲイリー・バートンのグループへの加入を志願したことに始まります。
既にバークリーで教鞭を執っていたバートンは、独学でギターを習得していた彼の実力を認め、その推薦により講師を務めました。若干18歳の時です。

前出のエスペランサがバークリーで学びだした頃、音楽キャリアに行き詰まり政治学の道に方向転換しようとしていた時、音楽における可能性の追求に踏み止まれたのはパット・メセニーの言葉でした。
「彼女は自分の中にある感情やヴィジョン、エネルギーを表現する類まれなる才能がある。」と後押ししてくれたと当時を語るエスペランサのインタビュー記事があります。

そのパット・メセニーが最初のグラミー賞を獲得したアルバムは「Pat Metheny Group | Offramp」です。このアルバムの中の1曲に、彼のオリジナルで歌手のジェームス・テーラーに捧げられた「James」という曲があります。
モントリオール・ジャズ・フェスティバル(2005年)でのライブ映像がありますので聴いてみて下さい。

Pat Metheny GroupJames (Live at Montreal)
http://www.youtube.com/watch?v=2HkELUJ_G-o (YouTube)

Offramp

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この曲に歌詞を付け自らのレパートリーに加え、昨年アルバム・デビューした日本人ジャズ・シンガーがいます。岐阜県可児市出身の粟田麻利子(あわだまりこ)です。

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(6)へ続く

新しいJazzの息吹「マーク・ジュリアナ」斬新な天才ドラマー


新しいJazzの息吹「グレッチェン・パーラト」の続き

続いて、「グレッチェン・パーラト」の共演者を、紹介します。
グレッチェン・パーラトのアルバム「In a Dream」に収録されている「Weak」のドラムを担当している「マーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)」です。
彼にも、またまた魅せられてしまいました。ドラムソロがとても新しい感覚のドラミングで引き込まれます。

Gretchen Parlato | Weak
http://www.youtube.com/watch?v=WXH8g1M2Q78 (YouTube)

In a Dream

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Mark Guiliana – Drum Solo
http://www.youtube.com/watch?v=CbZ23rHKO2w (YouTube)

マーク・ジュリアナのblogには、以下のようにあります。

“What happens when you add hard bop drum masters Elvin Jones and Art Blakey to a 1980s Roland 808 drum machine, divide the result by J Dilla and then multiply to the power of Squarepusher?”
Answer: Mark Guiliana. ?
-Time Out London.

私なりに訳すと、「あなたは、1980ローランド808ドラム・マシンにハード・バップドラムの巨匠エルヴィン・ジョーンズ、アート・ブレイキーを追加して、J DILLAによるて結果を区分けして、スクエアプッシャーの力を掛けると、何が起こると思う? 答:マーク・ジュリアナ」。
意味が良くわかりませんが、要は、非常に斬新な天才ドラマーということでしょうか。

Now vs Now | Magical Fantasy
http://www.youtube.com/watch?v=q98wRmaEknk (YouTube)

Now Vs Now

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この演奏も、すばらしいです。

マーク・ジュリアナは、米国ニュージャージー州モリスタウン生まれの28歳。ドラミングは「トニーウィリアムズ」の影響を受けたと語っています。お気に入りのサービアシンバルは、アルティザンライトライドです。

マーク・ジュリアナにも、「新しいJazzの息吹」を感じました。

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(4)


JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(3)の続き

このシリーズの(2)(3)で紹介したテリ・リン・キャリントンエスペランサ・スポルディングですが、二人の交流がどのような形で始まり、進化して行ったかは定かではありません。

Boylston_St

ボイルストン通り

しかし、その舞台がボストンであり、バークリーであったと想像されます。
バークリー前のボイルストン通りをフェンウェイ・パーク方面に、楽器を背負って歩いて行く女性3人が見て取れます。こんな日常的な風景にも音楽が溶け込んでいます。
脇のカフェテラスでは、音楽談議に夢中な若者の姿も見掛けることでしょう。

さて12歳でバークリーの全額奨学金を獲得しボストンで学んでいたテリ・リンが、ドラムの巨匠ジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette、1942年 -)の勧めで、18歳でニューヨークに移ります。

その後幾多の音楽的キャリアを積み、天才ドラマーと称賛される地位を築きます。80年代後半に移ったロサンゼルスを経て、近年はボストンに居を戻し、活動拠点としているようです。
2003年に母校のバークリーから名誉博士号を授与され、2006年には息子も授かり、2007年に教授に就任しています。
そんな頃、エスペランサと共にジャズフェスに出演した時の映像があります。イスラエルの南端の街で毎年開催されるRed Sea(紅海) Jazz Festivalでの模様です。若い才能を中心に据え、グルーヴ感満点のステージを繰り広げています。

Carrington Allen Spalding Postma 2007 Red Sea Jazz Festival

この時のメンバーであるアフリカ系アメリカ人ピアニストのジェリ・アレン(Geri Allen、1957年 -)とオランダの美人サックス奏者ティネカ・ポスマ(Tineke Postma、1978年 -)の二人も、その後のモザイク・プロジェクトに参加しています。
2008年末には、異なるメンバーによるカルテット編成で、ブルー・ノート東京公演「Terri Lyne Carington Group ft. Esperanza Spalding」も敢行しています。

テリ・リンの2009年のアルバム「Terri Lyne Carington|More to Say (Real Life Story: Next Gen)」があります。彼女の20年以上のキャリアを物語るゲスト陣に注目です。

With guests including:
George Duke, Kirk Whalum, Everett Harp, Patrice Rushen, Jiommy Haslip, Gregoire Maret, Christian McBride, Danilo Perez, Dwight Sills, Anthony Wilson and co-producer Robert Irving III.

More to Say (Real Life Story: Next Gen)

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そしてテリ・リンをニューヨークに誘ったジャック・ディジョネットの2012年のアルバム「Sound Travels」では、エスペランサがゲストで共演しています。これも「世代を越え、ジャンルを越えたプロジェクト」と云えます。

Jack DeJohnetteSound Travels

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テリ・リンとディジョネットの二人は、先の(2)で紹介したグラミー賞の「Radio Music Society」に共にドラムで参加しています。
そのディジョネットが近々「キース・ジャレット・トリオ」で来日します。
5月6日(月)、9日(木)、15日(水)の3回に渡って、オーチャードホール(東京都渋谷区)で東京公演があります。

チケットぴあ一般発売 / キース・ジャレット(p)/ゲイリー・ピーコック(b)/ジャック・ディジョネット(ds)| 2013/5/6(月・祝)・2013/5/9(木)・2013/5/15(水) | オーチャードホール icon

「キース・ジャレット・トリオ」は1983年の「スタンダーズVol.1」「スタンダーズVol.2」「チェンジス」の3つのアルバムを発表後、今年で結成30周年となります。
30年間固定メンバーのこのトリオは、スタンダード曲をメインとしてインタープレイ(interplay、英語で相互作用、交錯を意味する)で繰り広げられるライブ演奏にこそ、その醍醐味はあると思います。
1985年と86年に行われた日本でのライブを収めた2枚組DVD「スタンダーズI+II」の廉価版が3月6日に発売されました。お薦めだと思います。

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その中に含まれている1曲の映像です。

Keith Jarrett TrioGeorgia on My Mind[1986]
http://www.youtube.com/watch?v=iY0QZ_hbNMw  (YouTube)

未だ40歳頃のキース・ジャレット(Keith Jarrett、1945年 -)のピアノが圧巻です。時折、中腰になって声を発して演奏する姿が印象的です。
一番の年長はベースのゲイリー・ピーコック (Gary Peacock、1936年 -)ですが50歳です。

今回の東京公演は、彼等のプレーを確かめる最後の機会かも知れません。30年の時を経て、年輪を重ねた演奏の中に「不易流行」を見付けるのも楽しみの一つでしょう。
最近(2009年)のスイスでのライブ音源によるアルバム「Keith Jarrett Trio|サムホエア(SOMEWHERE)」は5月1日発売予定です。





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JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(5)へ続く

花の季節に


3月後半となり、このところの暖かさで桜前線の北上のスピードは予想より早まりました。
当初東京の開花は3月25日ごろと言われていましたが、そろそろ満開の声が聞こえてきます。
都内のさくらの名所ではお店を出す業者のみなさんがあわてて出店の準備をしています。

「桜」「花」「春」にまつわる歌を紹介します。

先にこのブログで紹介しました、「ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell), trumpet」が、「ホレス・シルヴァー(Horace Silver), piano」の「ホレス・シルヴァ―・クインテット(HORACE SILVER QUINTET)」に参加していた時代、1962年に来日しました。
この帰国後、彼らは「The Tokyo Blues」をリリースしました。その中に「Cherry Blossom (Ronnell Bright)」という曲が収められています。

ホレス・シルヴァー(Horace SILVER) | Cherry blossom (1962)
http://www.youtube.com/watch?v=nvoIC-0XK-M (YouTube)

Tokyo Blues

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この曲から、日本ののどかな春の心地よさが、ピアノの旋律から伝わってきます。

1963年~1970年ごろまで、イタリアの「カンツォーネ・ポップス」が流行りました。
「ボビー・ソロ(Bobby Solo)」「ジリオラ・チンクェッティ(Gigliola Cinquetti)」とともによく覚えている歌手が「ウィルマ・ゴイック(Wilma Goich)」です。

花のささやき(In Un Fiore)」は、恋する女性が「その愛を好きな男性にわかってもらえないはがゆさを、花からの愛のささやきとして、早く気付いて欲しい」と歌っているのです。
桜の花に重ねてみますと、「開花」から、あっという間に花吹雪となって散っていく「はかなさ」、そしてウィルマ・ゴイックの歌声とで、本当に切ない気持ちになります。
まさに今のこの春爛漫の華やかな季節の中、花開いた一瞬を好きな人に見てもらいたいという「花のささやき」を感じますね。

ウィルマ・ゴイック(Wilma Goich)| 花のささやき(In Un Fiore)
http://www.youtube.com/watch?v=JIrwfQO61k0 (YouTube)

カンツォーネ~イタリアン・ポップス・ベスト・セレクション

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この曲は1966年の「サンレモ音楽祭(イタリア語:Festival della canzone italiana)」の入賞曲です。

春の如く(It Might As Well Be Spring)」は、1945年のミュージカル映画「ステート・フェア(State Fair)」の主題歌です。

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オスカー・ハマースタイン2世(Oscar Hammerstein II)リチャード・ロジャース(Richard Rodgers)の二人がこの映画のために曲を書きおろしています。
「ロジャース&ハマースタイン」として知られるこのコンビは、「王様と私」「南太平洋」「サウンド・オブ・ミュージック」など多くのミュージカルを手掛けています。

サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan) ft マイルスデイビス(Miles Davis) on Trumpet|It Might As Well Be Spring
http://www.youtube.com/watch?v=g1VEifmf9Uw (YouTube)

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クロッカスの花も、バラの蕾も、コマドリの翼も見たことがない・・・、
憂鬱なのに・・・
けれども、また、陽気な気分・・・
それはまるで春のよう・・・

春の予感を感じて心騒ぐ気分を表現しています。

「サヨナラ」ダケガ人生ダ


唐の詩人、于武陵(う ぶりょう、810年 – ?)の作品に、唐詩選に収められた『勧酒(かんしゅ)』と題する五言絶句があります。

  『勸酒』   酒(さけ)を勧(すす)む
勸君金屈巵  君(きみ)に勧(すす)む 金屈卮(きんくつし)
滿酌不須辭  満酌(まんしゃく) 辞(じ)するを須(もち)いず
花發多風雨  花(はな)発(ひら)いて 風雨(ふうう)多(おお)し
人生足別離  人生(じんせい) 別離(べつり)足(た)る

出典:WEB漢文大系

この漢詩を小説家の井伏鱒二(いぶせますじ、1898年 – 1993年)は次のように訳しました。

コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

出典:井伏鱒二『厄除け詩集』

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桜の開花予想も早まり、例年より大分早い桜の訪れになるようです。卒業や転勤の多いこの頃、何故かこの言葉が気になります。
「サヨナラ」ダケガ人生ダ...

前にも書いた1969の頃に、「時には母のない子のように」でデビューしたカルメン・マキ(本名は非公表、1951年 -)の歌った曲に、「さよならだけが人生ならば」もありました。

カルメン・マキさよならだけが人生ならば
http://www.youtube.com/watch?v=gbHq2Yg2ZMc (YouTube)

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この曲の作詞も「時には母のない子のように」と同じく、演劇実験室「天井桟敷」を主宰し、メディアの寵児的存在であった寺山修司(1935年 – 1983年)でした。
詩人や劇作家としてだけではなくマルチなタレントぶりで、「僕の職業は寺山修司」と言っていたそうです。競馬にも造詣が深く馬主でもありました。

その寺山修司の主催する「天井桟敷」の舞台を見て、感銘し入団したのがカルメン・マキ(当時の通称は伊藤牧)です。
初舞台となった「天井桟敷」の公演『書を捨てよ、街へ出よう』がきっかけで歌手デビューします。寺山修司監修アーティスト「カルメン・マキ(17歳)」の誕生です。

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デビュー・アルバムとなった「カルメン・マキ|真夜中詩集 - ろうそくの消えるまで -」に「さよならだけが人生ならば」は入っています。
井伏鱒二の訳詞にある言葉に触発されて生まれたと思われる、寺山修司作詞のこの曲を、その歌詞と合わせて味わってみて下さい。
そして、そのアンサーソングとも云われる曲、「だいせんじがけだらなよさ」と続けて聴くと、より印象的です。同じアルバムの収録曲です。

カルメン・マキだいせんじがけだらなよさ
http://www.youtube.com/watch?v=6Ja5P0I_GY8 (YouTube)

彼女は「時に母のない子のように」のヒットのご褒美で貰ったレコードプレーヤーで聴いたジャニス・ジョプリン(以前の記事)の影響を受け1970年にロックに転向します。
その後、出産や育児による一時的な休止期間がありましたが音楽活動を続けています。
最近ではジャズ・ミュージシャンとの活動も多く、昨年の横濱ジャズプロムナードでは、ジャズの街「横浜」でHiroさん紹介のドルフィーに出演していました。
首都圏だけでなく関西方面のツアーもあるようです。

一般発売 / カルメン・マキ|2013/4/5(金)|ウィンターランド(兵庫県)icon チケットぴあ

井伏鱒二の弟子であった太宰治(だざいおさむ、本名:津島修治、1909年 – 1948年)は、未完の遺作となった『グッド・バイ』における「作者の言葉」で次のように綴っています。

唐詩選の五言絶句の中に、人生足別離の一句があり、私の或る先輩はこれを「サヨナラ」ダケガ人生ダ、と訳した。まことに、相逢った時のよろこびは、つかのまに消えるものだけれども、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。

出典:太宰治『グッド・バイ』

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この太宰の小説の題名と同じタイトルのアルバム「グッド・バイ」でデビューしたのが、今で云うシンガーソングライターの森田童子(もりたどうじ、本名不詳、1952年 -)でした。
学園闘争が未だ盛んだった1969の頃に高校生活(中退)を送り、友人の死をきっかけに歌い始めたそうです。
シングルとしてデビュー曲となった「さよなら ぼくの ともだち」が、最後に収まっています。1975年のリリースです。

森田童子さよなら ぼくの ともだち
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=g3W-B-LYQI8 (YouTube)

当時のフォーク系のシンガーに多かったように、彼女もメディアへの露出は殆どありませんでした。独特のカーリーヘアとサングラス姿だけが印象に残っています。
そんな彼女の作品を広く世間に紹介することになったのは、1993年にTBS系列で放送されたテレビドラマ「高校教師」でした。

脚本家の野島伸司(のじましんじ、1963年 -)が高校生の時に、たまたま行ったライブハウスで歌う彼女を知り、強く印象にあったようです。そのドラマの主題歌が「ぼくたちの失敗」です。

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森田童子ぼくたちの失敗
http://www.youtube.com/watch?v=KF77sQz1hIQ (YouTube)

ぼくたちの失敗 森田童子/ベスト・コレクション

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「ぼくたちの失敗~森田童子/ベストコレクション~」には何れの曲も含まれています。
このアルバムのギターは、アコースティックでは草分けの石川鷹彦(いしかわたかひこ、1943年)が担当しています。
「六文銭」の初期メンバーで、カルメン・マキと同じ「さよならだけが人生ならば」を出した1968年は未だ所属していました。

混沌とした1969の頃に卒業や別れを経験し、何の抵抗感もなく浪人生活に入った者にとって、それも「ぼくたちの失敗」のひとつだったかも知れません。

我が家の庭先の早咲きの桜は既に満開です。Sakura01

CD復刻を希望するのは私だけでしょうか?(2)


CD復刻を希望するのは私だけでしょうか?(1)の続き

シンガー・ソングライター「フレッド・ノブロック(Fred Knoblock)」が1980年にリリースしたアルバム「Why Not Me」も、CD復刻を期待する1枚です。

Why Not Me

このアルバムは、AOR系のアーティスト、アルバムを探しては聴きまくっていた頃に見つけた1枚です。
購入の切っ掛けは、お店の推薦です。渋谷界隈のレコード店を廻った時に、店のお勧めとして壁に飾ってありました。
ジャケット写真からは、「この風貌のアーティストがAOR?」と不安でした。しかし、お店のお勧ということで購入し、家に帰って早速聴きました。
1曲目の「Why Not Me」から、なんとメロディー・ラインの美しい曲なのかと聴き入ってしまいました。
私が以前に紹介したアウディ・キムラ(Audy Kimura)とまったく同じ状況です。
この曲以外にも全曲とも私好みの曲であり、「ジャケ買い」の中でもお気に入りの1枚です。

フレッド・ノブロックについてはこのアルバムを購入するまで知識は無く、後になって知るのですが、1953年、米国ミシシッピ州ジャクソン生まれのシンガー・ソング・ライターです。
地元ジャクソンでのバンド活動や、セッションマンとしてレコーディングに参加したのが切っ掛けとなり、アルバムのリリースとなります。

このアルバムについてですが、ジャケット、出身からもカントリーの雰囲気を感じさせますが、AOR系と勧めるように都会的なサウンドの曲も多く、全曲ともお勧めです。
現在はカントリー系のソングライターとして活動しており何曲か聴く機会がありましたが、このアルバムとはイメージが違うようで、AOR系としてリリースしたのはこの1枚だけかと思います。

また、CD化されてないかと海外のサイトなども結構探したのですが、未だLP、シングルとレコードで出品され、海外でも未だCD化されてないようです。
なお、「Why Not Me」についてはコンピレーション・アルバムに含まれているのを見つけましたが、そちらも既に廃盤にとっています。
やはりこのアルバムは全曲ともCDとして聴きたく、こちらもCDでの復刻を希望する1枚です。

アルバムより2曲紹介します。

1曲目はシングルとしてもリリースされた大好きな曲「Why Not Me」です。
Fred Knoblock | Why Not Me
https://www.youtube.com/watch?v=pJxGrWZ6l0c  (YouTube)

2曲目は「A Bigger Fool」というミディアム・テンポの曲で、AORアルバムとして相応しい曲かと思います。
Fred Knoblock | A Bigger Fool
http://www.youtube.com/watch?v=-kbLVts5P5g  (YouTube)

もう1枚、女性シンガー「ラニ・ホール(Lani Hall)」の1980年リリースの「Blush」を紹介します。

Blush

このアルバムを購入した切っ掛けは、ラジオで聴いた「Where’s Your Angel?」という曲でした。
私好みの曲であり、どうしてもレコードが欲しくて探しました。
当時はインターネットも無い時代で、アーティスト名はもちろん、曲名すらわからず、探すのに時間がかりました。
やっとこのアルバムに収録されていることを知り早速購入しました。

ラニ・ホールは初めて聞く名前でしたが、1945年、米国イリノイ州シカゴ生まれのシンガーです。
私は当時からブラジルの音楽が好きでボサノヴァなどをよく聴いていたのですが、なんとラニ・ホールは「セルジオ・メンデス&ブラジル ’66(Sergio Mendes & Brasil ’66)」の元メイン・ボーカルで、当時大ヒットした「マシュ・ケ・ナダ(Mas Que Nada)」、「フール・オン・ザ・ヒル(Fool On The Hill)」もラニ・ホールの歌声だったと後で知りました。本人は知らなくても、その歌声は耳にしていたのかと驚いたものでした。
セルジオ・メンデスのグループ名がブラジル ’77となるのと同時に脱退し、ソロ・シンガーとして活動を開始します。

アルバムは今回紹介の「Blush」以外にも何枚かリリースしています。
ショーン・コネリーがボンド役として復帰した映画、「ネバーセイ・ネバーアゲイン(Never Say Never Again)」のテーマ曲もラニ・ホールが歌っています。
また、ご存じの方も多いかと思いますが、このブログにも登場したトランペット奏者でA&Mレコードの設立者「ハーブ・アルパート」の奥さんで、現在も夫婦でアルバムをリリースしたりと活躍しています。

このアルバムですが、「Where’s Your Angel?」以外にも良い曲ばかりです。
私が「クリス・モンタン」を紹介した時に触れた「ローレン・ウッド(Lauren Wood)」も2曲提供ているほか、「デヴィッド・ラズリー(David Lasley)」も曲を提供しています。

このアルバムも海外のサイトなどで結構探したのですが、未だLPレコードで出品されており、海外でも未だCD化されてないようです。やはりCDでの復刻を希望する1枚です。

アルバムより2曲紹介します。

1曲目は最初に聴いた「Where’s Your Angel?」です。
このブログを書くにあたりクレジットを見てみると、作曲は大好きなキーボーディスト「グレッグ・フィリンゲインズ(Greg Phillinganes)」だっだのには驚きました。

Lani Hall | Where’s Your Angel?
http://www.youtube.com/watch?v=1n7kHTARa5g (YouTube)

2曲目は「In The Dark」です。
この曲は「ローレン・ウッド」の作曲で、自らもセカンド・アルバム「Cat Trick」に収録しています。
Lani Hall | In The Dark
http://www.youtube.com/watch?v=cHMBy5IspdY (YouTube)

前編と合わせて未CD化アルバムを3枚紹介しましたが、この他にもまだまだCDでの復刻を期待するアルバムがあります。また紹介したいと思います。

卒業の季節に


この時期は、毎年、卒業、異動があり「別れの季節」でもあります。
そして、卒業、送別の定番ソングが色々あります。

邦楽なら、「卒業」で思い浮かぶのは、「卒業写真(荒井由実)」「『いちご白書』をもう一度(バンバン)」「卒業(尾崎豊)」「また逢う日まで (尾崎紀世彦)」「今日の日はさようなら(森山良子)」「22才の別れ(風)」等が有名です。

でも、洋楽なら、次の3曲が大好きです。

映画「卒業(The Graduate)」の「サウンド・オブ・サイレンス」は、切ない曲です。

サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)|サウンド・オブ・サイレンス(Sound of Silence)
http://www.youtube.com/watch?v=cpOxTL1ueDM (YouTube)

卒業-オリジナル・サウンドトラック

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「卒業」の意味は、「学校の卒業」では無く「青春からの卒業」だったと思います。
たぶん、今まで映画館、テレビ、レンタルビデオで、5~6回は観ています。

映画の日本公開は1968年でした。「サイモン&ガーファンクル」は、この映画のテーマソング「サウンド・オブ・サイレンス」から、いろいろ聴く様になりました。
もちろん、MAHALOさん紹介の挿入曲「ミセス・ロビンソン(Mrs. Robinson)」も大好きです。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)」で、主人公が、自分の父と母を結びつける卒業記念パーティ「プロム」のシーンで使われたのは、「ザ・ペンギンズ(The Penguins)|アース・エンジェル(Earth Ange)」です。

ザ・ペンギンズ(The Penguins)|アース・エンジェル(Earth Ange) 
http://www.youtube.com/watch?v=t3ykKpDMsvU (YouTube)

アース・エンジェル

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「プロム」は、アメリカの高校生が、女子は「ドレス」、男子は「タキシード」をびしっと決めて、ダンスをしながら楽しむという、日本では考えられない「卒業イベント」です。
とてもうらやましく、このようなパーティは「青春」というイメージにぴったりで本当に憧れでした。

「ピーター・ポール&マリー(Peter, Paul & Mary)」のヒット曲として有名な「悲しみのジェット・プレイン(Leaving on a Jet Plane)」は、別れの歌です。
作詞・作曲者は「ジョン・デンバー」です。ジョン・デンバーはこの曲を当初250枚自費製作して、家族とか友達に配ったそうです。それを、「ピーター・ポール&マリー」が大変気に入り、彼らもレコード化したとの事です。

ジョン・デンバー(John Denver)|悲しみのジェット・プレイン(Leaving on a Jet Plane)
http://www.youtube.com/watch?v=vLBKOcUbHR0(YouTube)

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最初に「ジョン・デンバー」を知ったのは、実は歌手としてではなく、主演映画でした。その映画のタイトルは、「オー!ゴッド(OH, GOD!)」です。

OH, GOD!
http://www.youtube.com/watch?v=VNUUFVLkYII(YouTube)

「オー!ゴッド」は、1977年10月に米国で公開されたコメディ映画です。
主人公ジェリー・ランダースをジョン・デンバーが演じ、神をジョージ・バーンズ(George Burns)が演じています。
人間は「神」とどう向き合えば良いのか、どう信じれば良いのか、奇跡とは…、ということをユーモラスに、そして、シニカルに描いています。

この季節、「別れ」と新しい「出会い」が私たちの廻りでいろいろな物語を造ります。歌はその情感を長く記憶にとどめておく魔法の薬かもしれません。

CD復刻を希望するのは私だけでしょうか?(1)


以前、2組の復刻CDを紹介しました。
ウィリアム・ソルター(William Salter) | It So Beautiful To Be
CBS Jazz All-Stars | Montreux Summit Volume 1、 Volume 2
私の所有しているレコードには、未だCD化されていないものや、CD化されても既に廃盤になったアルバムも数多くあります。
皆さんもCD復刻を希望しているアルバムが、あると思います。

さて、CDセールスが昔に比べて落ち込んだとはいえ、日本は他国(おもにアメリカ、イギリス)に比べて、メジャー、インディーズを問わず、CD復刻が結構行われています。
私はインターネットなどで新譜情報をこまめにチェックしていますが、諦めていたアーティスト、アルバムの復刻CDを見つけては驚く事がしばしばあります。

また、アメリカのamazon.comなどの海外のショッピング・サイトでも、日本レーベルのCDが「INPORT」として数多く取り扱われているのを、よく目にします。

今回は私の所有レコードから、CD復刻を希望するアルバム3枚を紹介します。

CD復刻を希望する3枚

CD復刻を希望する3枚

1枚目はニューヨークを中心に活躍するセッション・ギタリスト「デヴィッド・スピノザ(David Spinozza)」のセカンド・アルバム「Here’s That Riny Day(写真右)」です。
セッション・ギタリストが好きな私にとって、ニューヨークには多くのギタリストが活躍しています。
ジョン・トロペイ(John Tropea)、今は亡き「スタッフ(Stuff)」のコーネル・デュプリー(Cornell Dupree)、エリック・ゲイル(Eric Gale)の二人、そしてスティーヴ・カーン(Steve Khan)と挙げればきりがありません。今でもよく聴いています。
中でもデヴィッド・スピノザが大好きなのですが、フュージョン・ブームがあったとは言え、他のギタリストに比べリーダー・アルバムは2枚のみです。
テレキャスターとピッグノーズがジャケットに描かれたファースト・アルバム「SPINOZZA]」は全世界でリリースされ、聴かれた方も多いかと思います。

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私もレコードで購入し、A面2曲目の「On My Way The Liquor Store」が大好きでよく聴きましたが、よほどアドリブのテイクが良かったのか、ミストーンが1ヶ所入っているのを今でも聴くたびに思い出します。

David Spinozza | On My Way The Liquor Store
http://www.youtube.com/watch?v=NTtdROJcAps (YouTube)

Here's That Rainy Day

今回紹介するセカンド・アルバム「Here’s That Rainy Day」はフュージョン・ブームの企画物か、日本のみのリリースだったと思います。
ギタリスト好きの友人に聴かせるのですが、このアルバムの存在を知らない方も多いです。
アルバムのリリースは1983年ですが、まだレコードとCDが併売されていた頃です。
私はアナログ志向からかCDプレイヤーの購入は遅く、レコード・ショップでレコードとCDの売り場スペースの広さが逆転した後でした。
実は私も何年か前に知ったのですが、このアルバムは発売当時、レコードと同時にCDも発売されたそうです。
しかし初回プレスだけだったのか既に廃盤となり再発も無く、オークションを覗いても出品される事も殆んど無く、今では幻のCDとも呼ばれているようです。
もっと早くにCDプレイヤーさえ買っていれば絶対にCDを購入していたと思うと今でも後悔しています。
このような事もあり、私のライブラリの中でも特にCD復刻を希望するアルバムです。

このアルバムは、ファーストアルバムに比べるとカバー曲中心で、オリジナル曲は8曲中3曲です。
ファーストアルバムも良いのですが、このアルバムは選曲が良く、カバー曲の演奏が多いからかもしれませんが、セッション・ギタリストとしての一面も見せているような感じもあり、私はこちらのアルバムのほうが良いかなと思います。
もちろんオリジナル曲も良く、「You Are The One」というオリジナル曲が、このアルバムの一押しです。

Here’s That Riny Day曲目リスト

  • Atlantic Crossing (*)
  • Here, There And Everywhere
  • You Are The One (*)
  • Antonio’s Song
  • Here’s That Rainy Day
  • Autumn Leaves
  • My Funny Valentine
  • Miss D (*)

(*) Original

では「Here’s That Rainy Day」から、2曲紹介します。

1曲目は「Here, There And Everywhere」で、皆さんご存知、「ビートルズ」のカバーです。
フルートとのかけ合い(絡み)が心地よいかと思います。

David Spinozza | Here,There And Everywhere
http://www.youtube.com/watch?v=-PWgtKwnyEI (YouTube)

2曲目はJazzスタンダード曲の「Autumn Leaves (枯葉)」です。
皆さんご存知の曲ですが、アレンジ、フレーズともデヴィッド・スピノザらしさが聴けるかと思います。

David Spinnoza | Autumn Leaves
http://www.youtube.com/watch?v=qxsE5Uj1bt8 (YouTube)

CD復刻を希望するのは私だけでしょうか?(2)へ続く

新しいJazzの息吹「グレッチェン・パーラト」新感覚のジャズ・ボーカリスト


Kojiさんから、エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)の紹介がありましたが、このエスペランサのアルバム「チェンバー・ミュージック・ソサイエティ(Chamber Music Society)」の中で共演しているJazzボーカリスト「グレッチェン・パーラト(Gretchen Parlato)」を紹介します。
曲目は「善悪の知識(Knowledge Of Good And Evil)」と「無意味な風景(Inotil Paisagem)」です。

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「グレッチェン・パーラト」を知ったのは本当につい最近です。「BLUE NOTE TOKYO」の3月のスケジュール紹介で知りました。
GRETCHEN PARLATO : BLUE NOTE TOKYO 2013 trailer

すぐにYouTubeで何曲か聴いたのですが、歌声が、瞬間的に気持ちを和らげ、しっとりした、海の波間を漂うような心地よさを与えてくれます。

グレッチェン・パーラト(Gretchen Parlato)|Butterfly
http://www.youtube.com/watch?v=ZmYRllome8Q (YouTube)

In a Dream

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グレッチェン・パーラトは、2004年のセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションで優勝し、彼女自身のblogに載せているように、ハービー・ハンコックやウェイン・ショーターから、高く評価されています。

“a singer with a deep,
almost magical connection to the music.”
– Herbie Hancock
“In an inconspicuous way,
Gretchen Parlato knows how to play
the same instrument that Frank Sinatra played.
There’s no one out there like Gretchen.”
– Wayne Shorter

ハービー・ハンコックは、「音楽への深く、ほぼ魔法の繋がり持った歌手」と称え、ウェイン・ショーターは、「めだたない方法で、グレッチェン・パーラトは、フランク・シナトラが演じたのと同じ楽器を演じる方法を知っている。グレッチェンのような歌手はどこにもいません」と褒めます。

音楽一家に生まれ、祖父はトランペット奏者、父はベース奏者でした。カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)にて民族音楽、ジャズの学士号を取得しています。
現在はニューヨークに拠点を移して活動してます。
暖かで清らかな声と、やわらかな表現力から、多くのファン魅了しています。

Gretchen Parlato | Flor de Lis
http://www.youtube.com/watch?v=xju6Vb3GVpI (YouTube)

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今のこの春の季節と相まって、「新しいJazzの息吹」を感じました。

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(3)


JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(2)の続き

テリ・リン・キャリントンのプロジェクト(The Mosaic Project)は、昨年の第54回グラミー賞における「Best Jazz Vocal Album」のカテゴリーでもウィナーになっています。
そして何と言っても快挙と云われるのが、その前年の第53回グラミー賞における最優秀新人賞(Best New Artist)をエスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)が受賞したことです。

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この最優秀新人賞をジャズ界で受賞したのは、前に当ブログで紹介したノラ・ジョーンズ(2003年、第45回)以来となります。但し、ノラ・ジョーンズの対象楽曲は「Pop分野」であったのに対し、エスペランサは「Jazz分野」からであったということは特筆に値すると思います。

彼女初のリーダーアルバムは2006年の「JUNJO」、そしてメジャーデビューとなった2008年の「Esperanza」と続き、2010年の「Chamber Music Society」がグラミー賞初ノミネートでした。

 

JUNJO

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その対象となった「Chamber Music Society」の公式映像があります。
Esperanza Spalding | Chamber Music Society

Chamber Music Society」は既に通算3枚目のアルバムですし、売上が特に多かった訳ではないと思います。ノミネートされた他のアーティストの中には、遥かにCD売上も良く人気のあったメンバーも存在していました。
グラミー賞が単なる人気投票でなく、実力や将来性を含めた上での評価であり、業界人の審査するこの賞の面目躍如といった所です。
ただ、多くの実力派ミュージシャンとの共演実績、そして彼女の大ファンであるオバマ大統領の招待で実現した、2009年ノーベル平和賞受賞式での演奏等も評価された故の結果だと思います。
そんな2009年頃のライブ映像があります。エレクトリックとアコースティックの両方のベースと歌のステージです。
Esperanza SpaldingI Know You Know / Smile Like That
http://www.youtube.com/watch?v=2aRC3YY3svs (YouTube)

エスペランサはGED(日本の高等学校卒業程度認定試験、旧大検に相当)を16歳で突破し、音楽特待生として地元の州立大学に入ってから転入という形でバークリーに学びます。当然のように全額奨学金を得ていたようです。
2005年に20歳で卒業すると同時にバークリーの講師として教鞭を執ることになります。

彼女の在学時の2004年に副学長のゲイリー・バートン曰く、「エスペランサは素晴らしいタイム感があり、非常に複雑な曲も難なくこなせる演奏家だ。」と評しているとの記事が、バークリー公式サイトのStudent Profileにあります。

Boylston_Apt3

ボイルストン通り沿いのアパート外観

エスペランサがそんな学生時代に過ごしたアパートは、バークリーから程近くのボイルストン通り(Boylston St.)沿いにありました。
日本からの留学生も多く住んでいたこのアパートには、エスペランサと同じ授業を受けたこともるYuki Kanesaka=monolog以前の記事)も居ました。

このアパートの大家さんが日本人の彼に、二の腕に彫られたタトゥーを誇らしげに見せてくれたそうです。そこには上から「道士武」となっていました。monologは、「それじゃ、どうしぶじゃないか!」とは言えなかったみたいです。

Fenway_Park

フェンウェイ・パーク球場

そしてこのアパートのすぐ近くには、ボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パーク(Fenway Park)球場があります。グリーン・モンスター(左翼側の高いフェンスの通称)で有名なメジャーリーグ最古の100年の歴史を持つ球場です。

松坂大輔投手や岡島秀樹投手が活躍していた頃、この球場にある公式ショップには「赤靴下軍団」とプリントされたTシャツも置かれていました。

SkyWalk_View

プルデンシャル・センター50階スカイウォークからの眺め

そのフェンウェイ・パークの方向を、ボストンで2番目に高いプルデンシャル・センター(Prudential Center)50階のスカイウォーク(Skywalk)から写した写真です。
球場と緑の多い庭園(Fenway Victory Garden)の間にある長い建物がアパートになっています。庭園の外周に沿ってボイルストン通りがあり、左に行けばバークリーのある街の中心地に行けます。

この通りを小柄な体でベースを引いて歩く、エスペランサの可憐な姿が思い浮かびます。
野球の試合が開催された日には、熱狂的なレッドソックス・ファンの集団にも遭遇していたかも知れません。

話を戻して、エスペランサの最初のアルバムのタイトル曲「JUNJO」の題名の意味や由来は良く判りません。
インターネットの翻訳サイトで「JUNJO」を英語やスペイン語で調べると「純情」と翻訳されます。
彼女の学生時代の日本人との交流でヒントを得ていたとしたら素晴らしい事だと思います。
Esperanza SpaldingJUNJO
http://www.youtube.com/watch?v=j6YUS5X45e4 (YouTube)

JAZZと不易流行~第55回グラミー賞より~(4)へ続く